大司祭の蘇生
大司祭の魂消滅を狙った蘇生作業が続いており、高位蘇生魔法は2度成功したが、3度目は無かった。
滅魂「無事に失敗しました・・・」
滅魂が団長を見ながら言うと、団長も頷いた。
団長「ついに悪の根源は断たれた。あとはこの遺体をダンジョン地下に移動させるか、土に埋めて1日放置すれば消滅する。手っ取り早いのは埋葬か」
そう、復活できない遺体には特殊な効果がかかり、団長が説明したようなことをすると遺体が消滅してしまうという現象が起こる。
復活できない遺体を、なおもどうにかしようとする団長の行動には理由があった。
これもまた冒険者たちの知恵で生み出された、発見された抜け道なのだが、呪いの武具の中には秘められた力を開放することで死んでしまうという恐ろしいものがあるのだが、復活できなくなった遺体や一回目の蘇生に失敗した遺体で、この呪いの武具の力を開放させると単なる死体に戻れる。つまりは蘇生魔法を1回も受けていない状態に戻れるという抜け道のようなルールがあった。
この方法を使われると、大司祭を復活させることが出来てしまうため、それを防ぐために完全消滅を狙った行動だったのだ。
「おいおい、随分エグいことしてくれるじゃあないか」
騎士たちが遺体を運び出そうとしたとき、突然発せられた声に驚き、その場の全員がその方向に目を向けた。
そこには黒いローブに黒いフードの人影がいつの間にか転移していた。
スフィン「徹底的に隠滅しますってか?まぁ理由は何にせよ、そいつにはまだやってもらうことがあるんでな」
そういうとスフィンの目が光った。
次の瞬間、その場にいた者は誰も動けなくなった。
スフィン「私は神の使いだ。聞いたことないか?」
スフィンがあたりを見まわたし、その場にいる人の反応をみていた。
スフィン「そうか。知らないか。浮遊大陸の奴らはやり取りがあったから知っていただけか。
ふむ。簡単にいうとこの世界を作った神の使いってことになるな。
そのジジイはさっきも言った通り、まだやってもらうことがある。それが終わるまで消えてもらっちゃ困るんだよ」
そう言うと、大司祭の遺体の前に来て、遺体に手を置いた。
スフィン「レイズデッド」
次の瞬間、大司祭の体が少し光り、わずかに動いた。
大司祭「う・・・ん?」
その場にいた騎士たちは我が目を疑った。
復活するはずのない状態にしたのに、復活したからだった。
大司祭「一体何事・・・私は殺されたはずでは・・・」
状況が分かっていない大司祭はあたりを見渡しながら呟いた。
スフィン「大司祭といったな?私は神の使いだ。我々の都合により蘇生させてもらった。
あんたはまだやらねばならぬこと、つまりは伝えねばならぬことがあるだろう?」
大司祭「神の・・・使い?長髪の男女ではないようだが、そうか他にもいるのか」
スフィン「ああ。そいつは私の仲間だ。お前ならあいつらを知っていて当然か」
大司祭は神の使いを知っている?なら何故、同じ大聖堂にいた我々騎士たちは知らないのだ?
騎士たちは大司祭と神の使いの会話が理解できずにいた。