その時歴史が動いた
大司祭「ふむ」
落ち着いた声で大司祭が一言発すると、中央の巨大モニターに古代文字が浮かぶ。
”????? YES・NO”
古代文字とはいえ、はい・いいえは今と同じ文字のようだった。
大司祭が操作すると文字が残った。
”YES”
そして画面から文字が消えた。
その時だった。
ビーーーーーッ!ビーーーーーッ!
さっきまでの軽いピーーーという音ではなかった。
画面の外枠が赤く点滅し、文字が表示された。
”??????????????”
”?????????”
”??????:500?”
"??:??????”
”??????? ??????”
”???????????? 500????”
”???????? ?????”
”??:???? ??”
”??:???????”
"??????:???????”
”天球管理システムの変更を受諾”
”夜の固定化を実行”
”固定化期間:500年”
"天球:夜排除モードを解除”
”システム再起動完了 管理コード変更なし”
”ルール改変コード変更を受諾 500年変更不可”
”宝珠システム モード変更を実行”
"宝珠:古の盟約 変更なし"
"天球:昼夜モードに移行"
"天球魔力回路:初期値設定の変更完了"
「!?」
古代文字表記の下には浮遊大陸文字が表示されたため、浮遊大陸文字を読める誰もが文字列の2行目を見て驚いた。
天球長官「な・・・に?」
戦士達は読めなかったが、横にいたセイジ職のフェアリーの顔は明らかに文字を読めて内容を理解している顔だった。そう、床に押さえつけられながら文字を見ている管理員と同じ表情だったからだった。
戦士「なんて書いてあるんだ!」
戦士が叫んだ。
セイジ「夜を固定・・・?どういうこと?除去じゃなくて?私の読み間違え?」
フェアリーも表示された文字に混乱していた。
天球長官「そのフェアリーの言った通りだ・・・夜の除去ではなく固定化されてしまった」
力なく答える長官に団長はビックリした。
団長「どういうことだ?夜の除去じゃないのか?」
地上勢力にとってよくわからない状況になってしまった。
団長は長官がウソを言っているのではないとフェアリーの発言から理解し、護衛達に制圧していた管理員たちの拘束を解くように命令した。
管理員たちが長官のもとに駆け寄った。
管理員たち「長官!これはどういうことですか!」
大司祭は操作盤の操作を終え、椅子に座ったまま、モニターを見ていた。
天球長官「そこの大司祭とかいうジジイが夜を除去できないように設定して、500年の間は夜を消せなくしちまった。ご丁寧にも設定変更のためのコードまで500年変更できないようにしてな!」
吐き捨てるように天球長官が答えた。
この決定をやっぱやーめた、とできないように、夜の有無に関する設定変更不可期間も500年にされてしまったのだった。
団長「500年夜が消えない?」
団長が大司祭を睨みつけ、肩をつかんだ。
団長「大司祭様!どういうことですか?夜が消えない?夜を除去するためにここに来たのではないのですか?」
ゆさゆさと揺らされるままの大司祭。
皆が大司祭の発言を待っていた。
大司祭「聞いての通りじゃよ。これから500年、昼と夜は交代で訪れ、闇の宝珠の分離は出来なくなった」
あっけらかんと言い放つ大司祭。
頭の中で言葉を理解しようと地上勢力の面々は今の発言を頭の中で反芻していた。
そして戦士が大司祭に掴みかかった。
戦士「どういうことだよ!夜が消えないだと?なぁ、どういうことだよっ!!」
護衛の騎士の1人も同じく続いた。
騎士「大司祭様。何かの間違えですよね?夜を除去したんですよね?」
騎士の目に涙が見える。間違っていてほしい、聞き間違えであってほしいという思いからだった。
大司祭「今言ったとおりじゃよ。500年の間、昼と夜は交互に訪れる。
なにも昼が無くなったわけじゃない」
戦士達の手を振りほどき、巨大モニターの前に大司祭が移動した。
大司祭「これまで夜は”無かった”のだ。これで昼と夜が交互に訪れるという本来の世界に戻っただけだ。
そう、元に戻したのだ。これまでの世界がおかしかったのだよ」
この場にいた地上勢力の皆が同じ思いだった。大司祭に騙されていたのか・・・