大転移
どれくらいの時間が経過しただろうか。
戦闘の傷を癒し、騎士団は立ち直った。
獣人部隊は被害が大きく、まだ治療を継続していた。
だが、騎士団には大転移するという次の任務が残っている。
獣人たちに背を向け、団長のいる場所に集合したのだった。
そこには戦士達冒険者の姿もあった。
団長「手当は済んだか。
これより転移魔法により元居た場所に戻る。
今しばらくここで待機せよ」
部下にはっきりとした力強い口調で指示すると、戦士の方を見て手招きした。
団長「これから大司祭様の元に戻る。君も来てくれ」
戦士「はい」
2人は再度別室へ走っていった。
戦士の仲間はその背中を見守っていた。
そして別室のある場所を見上げると、窓には大司祭と防衛長官が肩を並べて立っているのが見えた。
別室に団長と戦士が到着すると、大司祭は待ってましたとばかりに手を打ち鳴らした。
大司祭「よし、準備はよさそうだな。防衛長官殿。転移を頼むぞ」
にっこりとした顔つきで防衛長官を見ながら大司祭は言い放った。
防衛長官「・・・はい。
では大勢が訓練場にいるので、今騎士団がいる場所に全員集まって転移しましょう」
防衛長官はそういうと大司祭と団長の腰に手を当てて、押し、部屋から退出するよう促した。
戦士はそれに続いた。
僧侶「あ、大司祭様と団長さん、戦士さんもいますね」
歩いてくる4人を見て僧侶は雑談する仲間に報告した。
防衛長官「では約束通り、諸君を元居た場所に転移させる」
すると防衛長官の近くに4人の魔法使いが転移してきた。
防衛長官「この4人が私と諸君を転移させる。警戒しなくても大丈夫だよ」
そう言うと騎士団の中に防衛長官も入っていった。
転移官「長官殿!これより転移を開始します!!」
防衛長官が頷くと4人の魔法使いが詠唱を開始した。
皆の目の前が光に包まれていく・・・
真っ白になったと思ったら、少しずつ光が薄れていき、光が消えるとそこは訓練場に転移する前の場所だった。そう、制御棟に戻ってきたのだった。
防衛長官「さて、制御棟に戻ってきました。
これより制御室に案内したいのですが、この大人数で入る場所ではありません。
中に入る人数を選別していただきたい。
この大人数が待機できる場所はこの先にありません。随伴者以外はここで待機願います」
大司祭「ふむ。仕方が無いの。
団長と冒険者全員、護衛の騎士5人程度・・・といったところか」
防衛長官は頷いた。
それを受けて、団長は5人を選別した。
防衛長官「では案内します。ここからそう遠くはありません」
防衛長官を先頭に一行はゆっくりと制御棟の通路を進んでいった。