番外編 余談2
前回の番外編 108話
さて、本編からわき道に入ったお話です。
最終決戦のおまけと本編の説明していない部分ついて書いておきます。
< ダンジョン攻略を騎士団ではなく冒険者に任せていた理由について >
大司祭はこの浮遊大陸勢力との最終決戦のために、ダンジョン攻略は冒険者に任せ、戦力を温存していました。くだらない事故で騎士団を失いたくなかったためです。
ただ、実戦慣れは必要だったため、ダンジョン内で警備任務や簡単な遭遇戦を経験させていました。
そして、闇の宝珠がないダンジョンであれば、危険性が少しは低くなるので、地方のダンジョンで戦闘経験をさせています。
それだけでは経験内容に不安が残るため、冒険者から情報を集め、別途訓練をしていました。
今回参加した騎士団。騎士団とは言ってますが、全員隊長格なので精鋭中の精鋭だとも言えます。
後衛も全員セイジの上級司祭だし。
全員下級職の獣人部隊と全員上級職の地上勢力。
< 歴史に”もし”はありませんが、浮遊大陸勢が勝つ可能性はあったのか >
後書きでも書いてますが、特異種が相手だった場合、騎士団は全滅します。
大司祭はある意味運がよかったと言えます。
特異種の隊長が3つの口から同時に放つ全体状態異常魔法は、騎士団ではレジストできません。
副隊長も2つの口から魔法を放ちます。
同じ人物が同時に同じ魔法を複数詠唱すると数倍の威力を持つことを知っているのは、この特異種に関わった浮遊大陸の上層部の一部の人だけです。
そのため、初回の対峙で騎士団前衛が全滅、そこをケンタウロス2匹が両脇から攻速で後衛へ突撃してきたら、獣人部隊の前衛へ魔法詠唱をしている後衛は、迎撃の詠唱が間に合いません。
一方のケンタウロスは高速で移動しつつ、魔法を詠唱してきます。
また、動かなくなった騎士団前衛を無視して4本腕のオークと1つ目巨人のリズマンが中央突破で後衛へ向かってくるため、後衛はそちらの対応も必要です。
そこに一般兵の獣人部隊前衛まで突撃されたら、どうしようもありません。
因みにドラゴン金属武具を持ち込んだ場合、即座に神の使いが妨害にくるので、戦闘は彼らに強制中断され、それら武具を回収されます。死体からの回収になるかどうかは、そのときの獣人部隊の対応によりますが。
< 4話にある進入禁止区域について >
ダンジョン攻略最序盤で、この区域の管理を兵が担っているというセリフがあります。
この区域は地上種と親交のある地下種冒険者が探索する場所となっています。
戦士達が街中で遭遇した吸血鬼種の冒険者。彼らのような存在です。
この区域は戦士達が攻略した区域と異なって悪魔種や吸血鬼種など、より闇の力の影響を受けた種族が跋扈しており、危険と判断されたため地下種冒険者に探索が委ねられました。
彼らなら”友好的な相手”と認知されて、危険少なく地下深くまで行けるからです。
この危険区画と戦士たちが攻略した区画がダンジョンではサンドイッチ構造になっているため、戦士たちは次の階層に移動するには毎回長い階段を下りる必要がありました。これは地下種冒険者も同じです。
今回は小説なのでコボルト王や宝物庫を護る側近の本音を読者は知ることが出来ていますが、元のゲームの方では、地上種ルートでやるとこれらの本音を知ることができません。
本音を知るためのルートとして地下種冒険者ルートがあり、この区域はその名残です。
戦士が呪いの品をうっかり装備して狂っていますが、地下種の職業の中には呪いの品を専門に装備できるものがあります。
呪いの品は地下種を相手にする地上種ルートで主に手に入りますが、そちらのルートでは単なるゴミです。地下種ルートをやるときには貴重品ですが、地下種ルートでは敵が落としません。地上種ルートで店に売却し、地下種ルートでそれを店から購入というのが1つの入手方法です。まさに戦士が店で遭遇した吸血鬼種の冒険者はそれをやっていたのです。
こういった事情なので、この禁止区域がこの小説においてーこれが小説と言えるのかは置いといてー何かの伏線ということはありません。
”兵”という表現もゲームの名残で、大聖堂の騎士ではなく、大聖堂を傘下に持つ王様の兵が守備しているという設定でした。
兵でも騎士でも本編には影響ないのでそのままです。兵にせよ、騎士にせよ、ダンジョンを経験させる場で配置されていることに違いはありません。
”夜”が存在するようになってしまった地上には、この危険区域の住人が夜になると出現する可能性があり、大聖堂と冒険者はそれを警戒しています。
一方、この区域の住人は夜の存在をダンジョンにいる獣人種から聞いていますが、”昼”もあることが確認されているため、まだ周期を探っている段階です。
本編が気づいたら150話に到達していました。