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ギルド

ギルド。酒場も兼ねているが、ここはある程度冒険者のレベル分けをして座席の区画が決まっている。


以前のパーティー結成時とは違う席に一行は向かった。


ドワーフ冒険者「何だ、兄ちゃんたち見ない顔だな」


戦士「ダンジョンと宿の往復で、ここに立ち寄ってなかったもんですから」


ドワーフ冒険者「ダンジョンで困って、ここを思い出したってか、がははは」


豪快に笑うと、また酒を飲み始めた。


ドワーフ冒険者「その辺にいるやつに声かけてみろよ、一杯おごり付きでな。教えてくれっかもしれんぞ」


ドワーフは別の席を親指で指さした。


魔法使い「何か聞きたいことあるの?」


スカウト「勲章持ちについて、少しな。どれくらいで貰えるのか、どんなクエなのかってとこだな」


魔法使い「ふぅん。なるほどね」


スカウト「おごりの代金は、パーティー資金でやらせてもらうぜ」


魔剣「全員に関係することだしな、いいんじゃないか」


仲間が反対しなかったのでスカウトは、誰に話しかけようか、あたりを見回している。



少しして、首から下げた冒険者証に印のあるエルフのセイジが目に入った。


セイジ。

賢者とも言われる職で神官系と魔法使い系の両方の呪文を修め、ディスペル、アイテム鑑定まで出来る万能職だ。


スカウト「あいつか」


そういうとスカウトは一人で近づいていった。


スカウト「一杯おごらせてもらえないか?」


エルフのセイジに向かってスカウトは話しかけた。


エルフ「何か困りごとかな?」


セイジはニコニコしながら、顔をこちらに向けた。


スカウト「困ってるわけではないんだ。少々知りたくてな」


そういうとセイジの首にかかっている冒険者証に目をやった。

セイジもそれに気づいた。


スカウト「それ勲章だろ?どうやって授与されたんだ?」


セイジ「ああ、これですか?全滅した冒険者たちの場所を大聖堂に報告したら授与されたんですよ」


スカウト「何パーティー分くらい報告したんだ?」


セイジ「1パーティーだ」

スカウト「1!?」


スカウトはびっくりしてすぐ聞き返してしまった。


セイジ「ああ、そうなんだ。私たちもまさか授与されると思わなくて、びっくりしたよ」


スカウト「いや、ほんと助かったよ。ありがとな」


セイジ「こんなんでお役に立ててよかったですよ」


そういうとセイジは笑顔で手を振り、スカウトは手を挙げて応えると一行の元に戻った。



スカウト「1組分を報告すればいいらしいぞ」


仲間の元に戻ったスカウトは報告した。


僧侶「え?」


魔法使い「じゃあ、酒場のとこで全滅してたのを報告していれば今頃・・・」


戦士「ぐううう」


魔剣「仕方ないだろう。次見つけたら報告を優先するか」


スカウト「そうだな」


魔法使い「クエストはどんなの受けれるんだろう。お得なのかな?」


それを聞いてスカウトの顔はハッとした。


魔法使い「その顔。聞き忘れた?あはは」


スカウトは魔法使いに笑われてしまった。


スカウト「うっかりしてた。ギルドに直接聞いてくるから待っててくれ」


魔剣「いや、それなら皆で聞きに行こう」


そういうと全員でギルド職員のいるカウンターに向かった。



ギルド職員はカウンターの向こう側に数人が座っていた。


職員「どうされました?」


スカウト「大聖堂の勲章持ちだと受けられるクエストがあると聞いた。どんなものか確認したい」


職員「勲章をお持ちで?」


スカウト「いや、まだだ。先にクエストを確認したい」


職員「そういうことですか。わかりました」


そう言うと職員は説明を始めた。


職員「大聖堂から出ているクエストはすべて勲章持ち専用です。」


戦士「マジか」


職員「あとは一般クエストでも、大聖堂が有用だと判断したものについては、大聖堂からの報酬が追加されます。こちらも勲章持ち専用です」


職員「以上が勲章持ち専用クエストの中身でございます」


職員の説明が終わったと思った、そのとき、あ!という顔つきで説明が続いた。


職員「あとは、勲章数が一定以上ある人専用のクエストがありますね。数は大聖堂の判断ですが」


以上が説明だったようだ。


スカウト「掲示板やらに出ないし、カウンターでもクエスト提示されなかったのは、こういう仕組みだったからか」


職員「そうですね。こちらでは冒険者証確認時に、勲章も確認してますから」


戦士「なるほどなあ」


職員「あとは、そうですねえ、大聖堂のクエストを専門的にやるパーティーなんかもいらっしゃいますね」


魔剣「それはまずいな。そっちの方が顔が売れるか」


僧侶「売りまくればいいってものでもないですし、危機感は不要だと思いますよ」


スカウト「知りたいことは以上だ。ありがとな」


職員「どういたしまして」


そういうと一行は席に戻った。



魔法使い「専門で受ける人たちなんているのね。敬虔な信者かしら」


スカウト「かもな」


その時、勲章貰ったぜ!という声が聞こえてきた。


その声の方を見ると、入口から入ってきた冒険者が冒険者証を天に掲げ、嬉しそうにギルドに入ってきた。


スカウト「あいつに聞いてみるか」


戦士「何を?」


スカウト「大聖堂のクエストを専門に受けてるやつのこと。勲章持ちなら俺らより知ってるだろ」


戦士「なるほど。まかせた」


よし!とスカウトは席を立つと、その冒険者の元に近寄っていった。



スカウト「おめでとさん、一杯奢らせてもらえないか?」


冒険者「お、いいの?ありがたいねえ」


そういうと冒険者は話を聞く態勢になった。


冒険者「で、何が聞きたい?」


スカウト「大聖堂のクエストを専門でこなしてるやつらがいるって聞いた。何か知ってるか?」


冒険者「ああ、知ってるよ。全滅死体が少ないのも、彼らの仕事のおかげだからな。

まあ、そのおかげで勲章授与の機会が減ってて大変だったわけよ」


スカウト「なるほどな。入手の機会が奪われちゃどうしようもないな。で、どんなやつらだ?」


冒険者「”ホーリーナイト”って名乗ってる固定パーティーだ。

ムジカって色黒のおばさんがリーダーだぜ。ムジカおばさんって呼ばれてる。

で、そいつ自身はパーティーでは弱い方なんだが、カリスマでまとめてるみたいだ。

そのパーティーの仲間にいるダニーってピンク髪のオールバック野郎が、ハイパワーなファイターで、こいつも有名だな。

俺の知ってるのはそんなとこかな」


スカウト「助かった。ありがとな」


そういうとスカウトは皆の元の戻って、今の話をした。


僧侶「パーティー名称まであるんですね。名前もモロ信者って感じですね」


魔剣「勲章入手の機会が奪われるのは痛いな」


魔法使い「全滅した側からすると、助かるけどね」


戦士「事情はわかった。やはり勲章入手のためにも全滅を発見したら優先しよう」


魔剣「さて、このあとどうするか」


戦士「今回はあまりダンジョンにいなかったから、明日休息日にしないで、明日すぐ出発するのはどうだい?」


魔法使い「街にいてもお金にならないしねー。疲れてないし、いいよ」


僧侶「私もかまいません。そういえばランプだけはもう1つ予備を増やしませんか?」


スカウト「ダークゾーン対策か。いいな、そうしよう」


戦士「異論なさそうだし、明日出発としよう」


魔剣「では、明日の準備に出かけるか」


戦士「準備して、食事して、寝るってのが予定ですね」


そういうと一行はギルドをあとにした。



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