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決戦準備

戦士は仲間との打ち合わせを終わらせ、大司祭の元へ戻ってきた。同じように騎士団長も戻ってきていた。


団長「おお戻ったか。そっちは大丈夫か?」


戦士は団長を少し見上げると、ガッツポーズで返した。


団長「頼もしいな。一流冒険者の腕、拝見させてもらおう。

そういえばじっくり見たことなんてなかったな」


戦士「我々としても騎士団と共闘したことないし、こんな集団戦闘は初めてです。

それだけが読めないって仲間が言ってました。

ただ、コボルト王と戦った時にフェアリーチームとは共闘しているので、共闘経験だけはありますけどね」


団長「ダンジョンじゃ少人数戦闘しかやりようがないからな。

それに大規模戦闘なんて我々にとっても昔話の中のものだ。冒険者と認識知識に違いはないさ」


戦士と団長が話している横で大司祭と防衛長官は静かに聞いていた。

そんな雑談をしているときだった。

地上勢力の反対側の壁から浮遊大陸の兵士たちが入場してきた。

騎士団は40人程度。対して浮遊大陸の兵士は100人近くいた。


団長「すごい数だな」


戦士「数の暴力はダンジョンで経験してますが、母数が違いますしねえ」


数の差に圧倒されているのを見て、防衛長官は1つ大事なことを伝えていなかったことを思い出した。


防衛長官「こちらとしては死者蘇生の魔法の用意がある。

復活魔法の失敗は仕方ないとして、仮に全滅しても全損はないと思ってくれていい」


大司祭「こちらに復活魔法を使ってくれるというのか。ありがたい申し出じゃな」


防衛長官「殺し合いが目的じゃない。互いに受け入れがたい条件を相手に無理に飲ますための戦いだ。

その道具にされてしまう者たちへのせめてもの償いだよ」


蘇生魔法も完璧じゃない。文字通りに命を懸けた試合、そんなところだった。


双方の戦闘員は配置についていく。あとは戦闘開始の合図を待つだけだ。


戦士「そういえば戦闘開始は何か合図があるんですか?」


防衛長官「ああ、これから"アナウンス"するよ」


すると会場全体に鐘の音が1回響いた。そして若い女性の声が続く。


「これより今回の戦闘について説明します」


女性の声が会場全体に響き渡った。


戦士「なんだこれ・・・」


防衛長官「魔法道具を用いて会場全体に人を声を届けているといったところかな」


マイク放送のようにアナウンスは続く。


「フィールド中央いる5人に注目ください」


戦士はいつの間にか現れていた軍事訓練場中央にいる人に目を向けた。


「この5名が一斉に転移して消え去るのをもって戦闘開始の合図とします」


スカウト「なるほどな。これなら開始のタイミングがよくわかるな」


「なお、戦闘経過を見て、決着がついたと判断されたときは、開場全体にアナウンスを実施します。

また、その際、死者蘇生魔法の援助をすべく、こちらで用意した僧侶系魔法詠唱者を各陣営に派遣しますので、自由に指示して蘇生活動を実施してください。

以上で説明を終わります。それでは中央の5人の動きに注意して戦闘開始してください」


僧侶「蘇生サービスがあるとはね。まさかワザと失敗するような神力値の低い僧侶ばかり揃えてないだろうな」


冗談めいた言い方で僧侶は茶化した。


魔法使い「こっちは僧侶魔法使いの騎士がたくさんいるし、お手伝いは不要かもね」


スカウト「全滅しなきゃな」


魔剣「全滅か・・・したくないが、そうなったら彼らを信じるしかないな」


皆が黙ったときにチャンスとばかりにフェアリーチームが話しかけてきた。


暗殺職「コボルト王の時と同じく、全体魔法で先制攻撃して、そのあと前衛が敵前衛と当たるって想定だけど」


そこまで言って戦士チームの面々を見回した。


暗殺職「前衛は騎士団がいる。私たちとしてはありがたいことにね。

なので、頃合いを見て私は背後に回る。スカウトさん、あなたもよろしくね」


スカウト「ああ、そのつもりだ。ただあんたより図体がデカいからな。同時にとはいかないぜ?」


暗殺職「それはわかってるから平気」


こんどはセイジ職のフェアリーが話し始めた。


セイジ「全体魔法は相手からも飛んでくる。魔法対策も忘れないようにね。

騎士団はどうするのか知らないけど、彼らにも魔法を軽減する防御魔法を掛けたほうが前衛が崩れにくくていいかもね」


魔法使い「こっちは前衛少ないしね。騎士団を有効活用しましょ」


魔剣「魔法使い殿にとっては魔法強化杖の初実戦登用ということか」


魔法使い「そ。もっと早い時期、ダンジョン攻略中に欲しかったんだけどね、この杖」


魔法使いは杖を手で摩りながら話していた。


僧侶「最初は私に回復の仕事は無いでしょうから、補助に徹しますかね」


冒険者チームは各々のやるべきことを再確認し、戦闘開始の合図を待つことになった。


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