遺物発見
一行は地上に戻ると、鑑定屋に向かった。
スカウトはカウンターに、ゴブリンから回収したモノと一緒に謎の食器を並べた。
店員「ほほう。これはこれは」
店員はそう言うと奥で何やらやり取りをし、鑑定人を引き連れて戻ってきた。
鑑定人「鑑定料は品物の売買相場の一定割合を頂くが、よろしいか?」
スカウト「ああ、かまわない」
そういうと鑑定人は品物を見始めた。
5分くらいして終わったようだった。
鑑定人が書いた紙には”ミスギル製食器”とあった。
遺物である。
スカウト「よし、当たりだぜ」
僧侶「ついにやりましたね」
戦士「これもどっかに売却するのか?」
スカウト「こいつはな、、、」
スカウトが説明しようとしたところで店員が割って入った。
店員「鑑定料はこちらです。お支払いできますでしょうか?」
パーティー共有資金で対応可能な額だった。
スカウト「ああ。支払える。ちょっと待ってな」
そう言うとスカウトは収納ボックスから現金を取り出し、テーブルに並べた。
店員「ご利用ありがとうございました」
戦士「で、途中だったけど、これをどこで売却するんだ?」
スカウト「店で売却するか、大聖堂に持ち込んで顔を売るかって相談なんだが」
僧侶「顔を売る?」
スカウト「ああ、先日ギルドで聞いたんだが、最近大聖堂が遺物収集を始めて、買取もやってるらしい」
魔法使い「なんでだろ?」
スカウト「それは知らん。ただ、この街の権力者たちだ。後々好都合かと思ってな」
魔剣「実際、冒険者の格付けの1つに、大聖堂から授与される勲章がある。これは冒険者の全滅報告を大聖堂にすると授与されるものだ」
魔剣は皆の顔を見まわたして続ける。
魔剣「褒章はそんなでもないが、この勲章があるとギルドで、勲章持ち専用クエストを受けられるようになる」
戦士「報酬のいいクエストが回ってくるってことか」
魔剣「そういうことだ。今すぐ金が欲しいなら店で食器売却だが、そうでないなら大聖堂だな」
魔法使い「お金はゴブリンでの稼ぎ分があるから、大聖堂行ってみない?」
戦士「異論がないようなら、大聖堂へ行こう」
一行は大聖堂に向けて移動を開始した。
白い巨大な教会といった様相の建物で、白を基調とし、窓にはステンドグラスがあった。
入口の大扉は5mはあろうかというデカさだが、空きっぱなしになっていて、通り道に司祭が立っていた。
司祭「ようこそ。ご用は何ですかな?」
スカウト「ミスギル製食器、遺物を持ってきた」
司祭「おお、これはこれは」
近くにいた使用人らしき人に案内され、取引場所に通された。
商人「私はこの大聖堂専属の商人でございます。早速ですが遺物を拝見」
そういうと商人は遺物を確認し始めた。
ふむ。と言うといくらかの金をテーブルに出してきた。
商人「買い取り額はこんなものですね。またよろしく」
有無を言わさず買い取られてしまった。
スカウト「安くはないが、高くもないな」
僧侶「時間単価としてはまあ、よかったですかね」
戦士「予定より早くダンジョン探索を切り上げたから、なんか変な感じだな」
スカウト「またすぐダンジョンって感じでもないし、ギルドに情報収集行くか」
魔法使い「そういえば私、このパーティーに加入するとき以来、行ってなかったな」
僧侶「私もですよ」
僧侶がそう言うと、戦士と魔剣も頷いていた。
スカウト「お前ら・・・情報収集の基礎だろ」
やれやれといった仕草でスカウトは応えた。