表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/185

地上勢力への対応策

防衛長官は地上勢力への対応に充てる戦力について、今後の戦力維持のことも考えて部隊配置をする必要が出たことで、さらに頭を悩ませていた。

こんなときに今は亡き特異種がいれば、彼らをぶつけて終わるはずだった。

しかし無いものは仕方ない。手持ちの駒でどうにかするしかない。


地上勢力に対して全力で排除に掛かりたいが、万が一のためには、一定水準の戦力保存も必要。

さらには地上勢力が来るまで待機させられる部隊員の疲労も考慮する必要があった。

防衛長官は、それらを考えて考えて考え抜いていた。



不意打ちで負けても地上勢力は納得しないだろう。

正面からぶつかって決着をつけるのが一番か。

防衛長官はそのような答えに行きついたのだった。

ならばやることは、そうだな。

そして、頭に浮かんだアイデアを実行に移すべく、各所に連絡し始めた。



その頃、地下部分を順調に探索していた地上勢力は、遂に地上階へ到着したのだった。

地下部は壁が黒色で金属質のものだったが、地上階は白色だった。

地上階はこれまでの浮遊大陸の建物の内装と同じく、白ずくめで、幅10mの通路、高さ10mの天井であり、高さ7mのところにある天井に並行して描かれた1色の帯がここがどこなのかを示していた。

天井もまた、蛍光灯を半透明パネルで隠したような輝きを放っている。


騎士「先行している冒険者からの情報によると、ここが地上1階のようです。あとはどこに制御室があるかですが、こちらはまだ不明です」


騎士からの報告を受けた大司祭は、何か思うところがあるのか、建物内部を見回していた。


大司祭「・・・」


あたりを見回すも、看板はなかった。


戦士「ほんとにここまで敵対する者に会わないのが気になるな」


魔剣「何か策があるんだろうとしか思えんな」


横ではスカウトと僧侶が頷いていた。

その時、騎士団の団長は通路が広くなったことから、隊列を組みなおすのと同時に、壁からの奇襲攻撃に備えるよう、隊員に指示していた。


しばらく探索していると、広い通路、ーどこも広い通路であるがー その中央に人影があることに皆が気づいた。

その人物は、冒険者のような軽装でもなく、騎士のような鎧でもなかった。となると浮遊大陸勢の何者ということになる。

地上勢力に気づいているようで、近寄っていくと手を振ってきた。


浮遊大陸人「あなた方は地上勢力の方々ですね?」


笑顔でその人物は騎士団に向かって声を掛けてきた。

それを聞いて騎士団の団長と戦士達が応対することにした。


団長「そうだが。あなたは?」


浮遊大陸人「あなた方を出迎える様に仰せつかった者です。害意はありません。見ての通り武器はありません。まあ魔法使いなので魔法は使えますけどね」


自殺志願者でもなければ、これだけの騎士団を相手に魔法をぶっ放すこともないだろう。

出迎えと言ったが、地上勢力としてはどういうことか理解できなかった。


団長「なぜ出迎える?我々を敵と認識しているのだろう?何を企んでいる。と言っても言うわけないか」


団長は至極当然の文句を言い放った。


迎者「もうすぐここの責任者が来ますので、しばし待機していただけませんか?」


戦士「そう言って兵士の到着の時間稼ぎ・・・」


そこまで言ったときにスカウトが止めた。


スカウト「時間を稼ぐならこんなことする必要は無いな。なぜ責任者が来るんだ?帰れとでも直接言うためか?」


迎者「あなた方に話があると言っておきましょう。待つと言ってもそう長くはありません」


そう説明した時だった。壁の一部がドアに変わって、そこから防衛長官が護衛2名を伴い、現れた。

突然の武装兵の出現に騎士と戦士たちは身構えたが、2名しか兵士がいないことを確認すると、警戒が薄まった。

地上勢力を直に目にした防衛長官は、通路の中央に来ると口を開いた。


防衛長官「私がこの建物の長である。そちらの代表者と話をしたいが、どなたかな?」


団長はそれを聞いて大司祭の反応を待っていた。

大司祭は団長と戦士を見ると頷いて、両者の肩を叩くと付いてくるように合図し、防衛長官の前に歩み出てきた。


防衛長官「見たところ、セイジと騎士と戦士・・・のようですが、両脇はこちらと同じく護衛で、中央のセイジの方が代表ということかな」


防衛長官は一応確認をすると、セイジである大司祭は頷いた。

防衛長官の両脇にいる護衛は武器を床に付けて仁王立ちしており、すぐに戦闘態勢になれる状態ではなかった。どうやら戦闘する気はなく、話しがしたいというのは噓ではないと団長と戦士は護衛の態度で理解できた。

防衛長官がこのセイジに貴方は何者か、肩書は何かと確認しようとした時だった。セイジである大司祭が先に話しかけてきた。


大司祭「はて、話があるとのことだが、どういったことで?」


まさかの遭遇と想定外の提案に、後手に回った気がした大司祭は、少しでも取り戻そうと自分から話を振って誤魔化していた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ