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長官室会議3

重要な秘密を話すことにした司書長官。

その内容は何なのだろうか。防衛長官と法務長官は話し始めるのを待った。


司書長官「これからお話するのは魔法についてです。

魔法にはクラス1~7があり、7が最上位だということは子供でも知っていることです。

ですが、私の書庫にはクラス9までの書物があるのです・・・」


両膝の上に置かれた司書長官の拳は震えていた。


防衛長官「クラス9?そんな・・・」


2人の長官は初めて聞く内容だった。

部外秘情報とはいえ、これまで一切そのクラスの存在可能性すら議論されなかったことから、長官のみがこの情報を得て、墓まで持っていくことを続けていたのだろう。


法務長官「我々の世界に知られているのは地上も含めてクラス7までです。

なぜ広めなかったんでしょう・・・」


司書長官「クラス8以上の魔法については注意書きがあって、魔力制御が困難であること、それがために魔法開発者以外は使用不可能とあった。

私は魔法学者ではないので、魔法に関する説明書きは何のことかサッパリだったが、魔力制御と生まれ持った魔力の値が重要なようだった。

扱いが極々少数の才能ある者に限られるという汎用性のない性質のため、外に出さないことにしたようだ」


防衛長官「その中に長寿の魔法、寿命を延ばす魔法や若返りの魔法はありましたか?」


今回の謎の1つである年齢問題を解決するには重要な質問だった。


司書長官「若返りの魔法はあったんだが、原理までは書物を読んでもサッパリだった。

元司書長官だった彼も魔法学者ではないし、魔法適正があるかもわからない。

恐らく使えてないと思うぞ」


防衛長官「魔法学者に協力を仰いで詠唱に成功していたとしたら?」


司書長官「実のところ、私は魔法学者数名に協力を仰いで、書物の魔法のいくつかを試してみたのだ。

やり方や詠唱は書物で理解できても、魔力の流れまでは再現できなかった。

頭でわかっても実際は不可能というワケだよ」


防衛長官「元司書長官にセンスがあって、それが可能だったとしたら?」


防衛長官は尚も食い下がった。


司書長官「だとしたら、とっくに死んでいるな」


「!?」


その発言に2人の長官はびっくりしたと同時に、なぜ言い切れるのかという疑問が浮かんだ。


司書長官「反動で寿命が減ってしまうと書かれていた。半ば悪魔との取引に近い魔法らしく、

肉体年齢を若返らせるが、どこかに修復できないダメージが残るんだろうな」


防衛長官「それが嘘の記述だとしたら?」


防衛長官は可能性を潰しきるまで諦められず、あらゆる可能性を探って質問を続けた。


司書長官「試したという記録が残っていて、とある女性に魔法を掛けたようだ。

肉体年齢が数十年若返ったものの、1か月で死んだとある」


防衛長官「・・・・」


法務長官「若返りは無理か。あとはディスペルの応用で犯罪者に刻印した魔法の印を解呪するというモノはどうだろうか」


司書長官「解呪魔法については無かったから、犯罪者の印を解呪魔法で除去という手段も取れないな」


法務長官「となると、謎の解決に至る魔法は無いということか・・・」


再び沈黙が部屋を覆った。


司書長官「魔法の記録は無いが、今現存する種族は肉体と魔力の関係から、理論上はクラス10まで習得可能だという記述もあったな・・・」


防衛長官「クラス10・・・」


法務長官「クラス8以上なんて、想像すらしたことない世界だが・・・そういえばあの神の使いがクラス100超えとかバカげたクラスの魔法を使ったと言っていたな。あいつらの魔法でこの謎を解決したという可能性はどうだろうか」


防衛長官「神の使いが犯罪者に手を貸す理由がわからんが、それくらいしか可能性が無いな」


またもや沈黙が場を覆った。


司書長官「ああ、話は変わるが、宝珠の分離技術者を予備要員含めて失ったと言っていたな」


司書長官は突然防衛長官の方を向いて言った。


防衛長官「ええ。師匠と弟子の間の口伝で伝承とか言っていたものの、彼らの部屋を探索すれば何か出てくると思い、探索したがメモの類も残されておらず、途方に暮れていると天球管理長官から言われています」


司書長官「分離技術の本なら私の書庫にある・・・」


「!!」


司書長官「とても重要なものだし、その書物にも口伝で伝承するが、万が一の事故に備えてここに残すと書かれていた。事故で失われたとき以外は持ち出してはならぬともな」


防衛長官の顔がパァーッと明るくなった。


防衛長官「それはよかった。本当によかった。分離技術者という替えの利かない他部署の貴重な人員を守りきれず、どうしようか、どうしようか、それだけでしたから。

とにかく天球管理長官に報告します!

彼も喜ぶことでしょう!」


防衛長官は司書長官の両手を握って感謝を伝えている。

その横で法務長官は下を向いて何か考え事をしていた。それに気づいた防衛長官。


防衛長官「どうした法務長官」


法務長官は重々しく顔を上げた。


法務長官「私の部署にも機密があってな・・・」


今度は法務長官の番だった。


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