長官室会議2
防衛長官、法務長官、司書長官。
3人の長官が1部屋に集まって犯罪者、つまりは大司祭について話をしていた。
謎が多いこの元司書長官だった犯罪者について、現司書長官からヒントを得るべく情報提供を受けるに至ったのだった。
防衛長官「部屋について?」
司書長官「そうだ。ほら、諸君らの長官室にもあるだろう?長官の個室だよ」
あー、あれか。と納得したようで他の長官は頷いていた。
司書長官「諸君らの部屋にあるかどうかは知らんが、私の部屋には個室の中に専用の書庫がある。
住民の目に触れる必要のない、触れさせないほうがいいような、そんな書物もあるんだが、、、」
歯切れ悪く司書長官は話していた。
司書長官「書物の目録を前任から貰っているのだが、私は気になってすべての書物に目を通したんだよ。
するとだな、どうにも”続き”が無い書物があったんだ。
簡単に言えば、ある歴史の一部の期間について記述されたものが無いのだ」
他の長官は何が言いたいのだろうかと首を捻っていた。
司書長官「その失われた書物に答えはあるんじゃないかと思ってな」
防衛長官「どのような?」
司書長官はさぁ?といったポーズをしてみせた。
法務長官「それではヒントになりませんなぁ」
司書長官「あとは、これも役に立つかわかりませんが、その書庫に入るためのカードキー認証機なんだが、古いタイプでこれは新型にするなと代々引き継がれています。
どういった意図があるのか、その理由は途中で失われたようですが、とりあえず守り続けています。
これも何か理由があるんだろうと、書物を読んで答えを見つけようとしましたが、ありませんでした」
法務長官「それも役には立ちそうにない情報ですねえ・・・」
防衛長官「なんか、寿命が延びる魔法の本とか、罰の印を解除する魔法の本とか、そんなのはないんですか?」
少しイラだった防衛長官は、これがあれば一発だ!というものを例に挙げてみた。
それを聞いて司書長官は顔を下に向けてしまった。
防衛長官「司書長官どうされました?」
防衛長官が覗きこむように声を掛けた。
司書長官「うーん。そうだなぁ・・・言ってよいものか・・・」
2人の長官はこの発言を聞いてピンときた。
2人には思い当たることがあったからだった。
そう、部外秘事項だ。
法務長官「長官、なんとなく察しますが、大事なことです。できれば・・・」
そこまで話したとき、司書長官が左手の掌を法務長官に広げてみせ、待ったのポーズをしつつ、右手を頭に当てて何やら考え込んでしまった。
相当な秘密なのだろう。開示してよいのか、それを判断しているようだった。
そのまま司書長官が何か言うまで、他の長官は待つことにした。
ただ座っていてもプレッシャーだろうと思った防衛長官は、飲み物の補充をしに席を立った。
法務長官も思考の邪魔をしては悪かろうと、席を立ち、防衛長官を手伝っていた。
10分くらいしたときだろうか、司書長官は顔を上げると、備え付けの給湯室にいる2人に向けて手を振った。
2人の長官はそれを見て席に戻ってきた。
司書長官「お話ししましょう・・・」
司書長官は意を決したようだった。