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長官室会議1

長官室に戻ってきた防衛長官と法務長官。

防衛長官が飲み物を用意し、着座した法務長官に提供した。


防衛長官「あの犯罪者。本物でしょうか?」


法務長官「犯罪者には魔法の印が施されて、消えることはない。

その印に監視システムが反応したのだから、本物だろう」


事実を並べて話を詰めていった。


防衛長官「となると、100年前の人物が生きているということになります。

更には逮捕時にはすでに高齢だったようですし、どういうことでしょうか」


法務長官「そこが一番わからないのだ。種族の特性から寿命はとっくに迎えている。

天上人の寿命は100年もないからな。たまにいる長寿個体ですら、そこまで生きてはおらん」


防衛長官「システムの結果からすると本物だが、生物的に考えると偽物ということになりますね」


法務長官「そうなのだ。矛盾してしまう。あのモニターに映ったジジイは何者なんだろうか」


防衛長官「行動を監視するに重役であることは間違いないですが、それ以外は不明です」


2人の長官は頭を抱えてしまった。

しばしの沈黙が流れたのち、法務長官は何かを思いついたのか、突然頭をあげて膝に手を打った。


法務長官「そうだ。奴は元司書長官。現司書長官に話を聞いてみないか?」


浮遊大陸は業務ごとに長官が配置されており、専門的なことを扱うからというのもあるが、秘密主義なところがあり、互いに関係する業務以外は触れることが無かった。

そのため司書長官なら何か知っているのではないか、と思い立ったのだった。


防衛長官「ダメで元々。やってみましょう」


そう言うと司書長官との通信回線を開き、今起きている問題に関して知恵を貸してほしいということで、この部屋に来てもらうよう要請した。

司書長官が来るまでの間、飲み物と簡単な菓子を手にして時間を潰していた。

すると長官室にアラームが鳴った。

どうやら司書長官が長官専用の転移部屋に到着したようだ。


防衛長官「どうやら到着したようです。迎えに行ってきます」


防衛長官が席を立って別室へ移動したあと、少しして司書長官を伴って防衛長官が部屋に戻ってきた。

司書長官は別の長官もいたことに若干驚きつつも、空いている席に促されるままに着座した。


司書長官「何やら問題が起きているとか」


防衛長官「先ほど通信で少し話しましたが、100年前の犯罪者がこの浮遊大陸に来ているのです」


司書長官「100年、それはまた珍妙な出来事ですね。それで法務長官が同席しているのか。

ふむ、それでなぜ私が?」


防衛長官「その犯罪者というのが、元司書長官なのです」


司書長官は驚いていた。

そして何かを思い出しているのか、顎に手を当てて目をつぶっていた。


司書長官「あぁ、そういえば過去に我が部署から犯罪者が出たという引継ぎを受けましたね。

なんでも天球操作に関する犯罪だとか」


防衛長官「ええ。そして今回、その犯罪者は地上勢力を伴って同じく天球操作をしようと侵入してきたのです」


司書長官「待ってほしい。ウチから出た犯罪者は地上へ追放される罰を受けていると聞いた。

つまりはこの浮遊大陸には戻れないはず。

魔法の印だかなんかで、戻ろうとすると地上に強制転移されるんだろう?」


司書長官は法務長官を見ながら確認した。


法務長官「そうだ。つまり・・・」


法務長官は防衛長官と司書長官を見て話を再開した。


法務長官「今来ている犯罪者は100年前の犯罪者であること、犯罪時にすでに高齢であったこと、

浮遊大陸に戻れないはずの罰なのに、浮遊大陸に侵入できていること。

これらが問題なのだ」


司書長官「うーん。その年齢と時期を考えると、確かに過去にウチから出た犯罪者だな。

とっくに死んだと思っていたが・・・」


防衛長官「そこなんですよ。辻褄が合わないことがあって困っているのです。

今回長官をお呼びしたのは、何か司書長官にだけ引き継がれた事項があれば教えて欲しいというのが理由です」


司書長官は防衛長官の目をじっと見ながら聞いていた。


司書長官「なるほどな。確かに私も前任の長官から引き継いだことがある。

役に立つかどうかわからぬが、話しておくか」


3人の長官は座りなおして、姿勢を正した。


司書長官「そうだな・・・まずは部屋について話しておこうか」







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