警告コード
浮遊大陸に集合した騎士団と冒険者達、そして大司祭。
この様子を監視していた防衛管理室の管理官は、モニターに表示された警告メッセージに気づいた。
「!?」
管理官は自席に座りながら手を挙げて上官を呼んだ。
上官は何事かと尋ねると、管理官は警告メッセージが表示されたことを話した。
モニターには、見たことないコードが表示されている。
自分の業務範囲外の出来事だと悟った上官は、すぐに防衛長官に連絡した。
上官「長官。監視モニターに見たことない警告コードが表示されました」
上官は手短に事実だけを報告した。防衛長官はそれを聞いて、該当の管理官と上官の元に駆け寄ってきた。
防衛長官「何事だ。警告コードはどれだ?」
防衛長官がモニターを覗き込みながら2人に尋ねた。
2人はモニターの1か所を指さした。
そこには赤字でコードが表示されていた。
”B-24715”
防衛長官が画面に表示されたコードを確認すると、自身の手帳で調べたが、該当するコードの説明は載っていなかった。
記号からすると、どうも法務部門が管理する番号のようだった。
防衛長官「法務長官に確認する。そのまま監視を継続せよ」
長官は2人に監視継続を指示すると、法務長官に連絡をすべく自室へ急いだ。
自室に入って、専用端末を使用して法務長官と連絡を取った。
法務長官。
その肩書のとおり、浮遊大陸の法律を管理、執行する部門の長である。
内容によっては、警備部門である防衛管理室と連携をとることもある部署である。
法務長官「どうしたね、防衛長官。君からとは珍しいな。いつもはこちらから依頼するのに」
笑いながら話す法務長官に対し、真面目な顔のまま防衛長官が返す。
防衛長官「モニターで浮遊大陸に侵入した地上部隊を監視していたところ、警告コードが表示されました。しかし、このコード、私の管轄外の内容らしく、何事か判別できなかったので、長官に連絡した次第です」
笑い顔だった法務長官の顔は、どれどれ何が起きた?というような表情になり、興味を示していた。
法務長官「それで、そのコード番号は分かるかね?」
法務長官の問いに防衛長官がすぐに応える。
防衛長官「”B-24715”です」
それを聞いた法務長官の眉間に少し皺が寄った。
法務長官「B・・・だと? 随分古いな。うーん、それにそれは・・・」
そこまで言うと法務長官は黙った。急かしたい気持ちを抑え、防衛長官は言葉を待った。
法務長官「それは確かに犯罪者を示す記号だ。監獄の外で検出されたとなると、脱走犯ということになるな。だがそれは100年以上前に使われたコードだ。とても生きている年齢ではないな。何かの故障かもしれんぞ。そちらのチェックが先だな。一応こちらでもそのコードに該当する犯罪者を当たっておこう。何かわかればまた連絡する」
防衛長官「そうでしたか。わかりました。こちらでも魔力機器のチェックを実施します。結果がわかれば報告します」
法務長官「わかった。これで用事が終わりなら失礼させてもらうよ」
そういうとモニターが消えた。
防衛長官「100年以上前の犯罪者?・・・機器の確認が先だな」
防衛長官は部屋に入ってきた時とは違い、ゆっくりとした足取りで管理室へ戻った。
防衛長官の帰りを待っていた2人は、ドアが開くとすぐにそちらに目を向けた。
長官が目に入ると、答えを期待して待った。
防衛長官「まずは機器の不具合が無いか、そのチェックを行いたまえ。念のため、別のモニター班と同じ場所を監視して、同じコードが出るか、その確認も併せて実施せよ」
長官がすべき内容を指示すると、2人はすぐに動いた。