大司祭の出陣
この報告会の内容からすると、浮遊大陸の調査再開だなと戦士は考えていた。
しかし、司祭の口から出たのはとんでもない結論だった。
司祭「これらの情報を統合し、この入口の無い建物に制御室があると判断しました」
戦士はどうしてそんな結論になったのか、理解できなかった。
発見できた建物のうち、入口が無くて探索できなかったのは、その建物1つだけ。
だからそれが正解の建物?調査済みの建物にあった小部屋。あれらの先に転送装置があるかもしれないのに、なぜ安易にそんな答えを選択したのだろうと不思議でしょうがなかった。
スカウトも同じ考えの様で、戦士の横に近寄ってきて、おかしくないか?と同意を求めてきた。
それを見たほかのメンバーも寄ってきて、同じような意見になった。
司祭「さて、大司祭様より重要なお話がこのあと予定されています」
そう言うと司祭は大司祭の方を見た。大司祭は頷いている。
それを見て司祭は後ろに下がり、少し間を開けて大司祭が前に出た。
大司祭「さて、この場にいるのは騎士団の隊長格と地下種の王を倒した冒険者だけだ」
そこまで話した時、大司祭がこの会議室の出入り口になる大扉の前にいる騎士に、付近に誰もいないことを確認させた。
大司祭「これだけ情報が集まれば十分と判断し、私も浮遊大陸へ一緒に行くことにした。
現地で目立ちすぎる格好もよろしくないので、冒険者のセイジ職が一般的に使うローブを纏うがね」
戦士「ついに大司祭様が出るのか」
スカウト「ここの対応はどうすんだろうか。というか、大司祭様に同行するとか凄いことになったな」
騎士団はともかく、冒険者が大司祭と行動を共にするなど、これまで一度も無かったことだ。
計り知れない名誉ともいえることだった。
大司祭「まずは着替えてくるとしよう。幸いにも今は”夜”。暗闇だ。私の変装が市井の人々に見られることもあるまい。諸君らは先にダンジョン最下層の転移装置の前に移動していたまえ」
大司祭はそう言うと、近くにいた上級司祭に大聖堂の代表代理を言い渡すと、自室に向かうべく会議室を後にした。
大司祭が姿を消すと、騎士団長の号令で騎士たちは一斉に移動を開始した。
戦士「私たちも移動しましょうか」
今回も戦士たちのパーティーとフェアリー組からは暗殺職のフェアリー、セイジ職のフェアリー、魔法使いフェアリー4人が参加した。
暗い中、大聖堂の裏口から騎士たちが外に出て、ダンジョン入口へ向かった。
戦士「騎士がダンジョン前にこれほど沢山いる光景は、そうそう見られるものじゃないな」
いつもと違う光景に加え、騎士団と一緒に行動できるのが嬉しいのか、戦士が少し興奮した様子で話した。
ちょうどダンジョンから帰還した冒険者とすれ違ったが、彼らは何事かと騎士たちをジロジロ見ながら街へと消えていった。
次々と転移魔法で姿を消す騎士たち。彼らに倣って戦士たちもダンジョン最下層へ移動すべく転移魔法を詠唱した。そして光が彼らを包み、光が消えるとそこには誰もいなかった。
ダンジョン最下層
王の間の前室に転移した戦士達と騎士団。
そのまま徒歩で王の間に入り、宝物庫を経由して転移装置のある部屋へ移動した。
転移装置のある部屋の前に司祭が1人いて、先に浮遊大陸へ転移するよう指示してきたので、騎士団と戦士たちは従うことにした。
大司祭の指示は転移部屋の前に集合だったが、予定が変わったのだろうか。
浮遊大陸へ転送されていく騎士団に戦士達も続いた。
活動報告を書いています。今後のストーリー予定を書いたりすることもあります。時間のある方はお付き合い頂けると幸いです。
今回の話についての活動報告は2020.1.27 17時すぎを予定しています。