ダンジョン探索と大聖堂からの呼び出し
休息日を挟み、2回目の探索を再開した戦士達。
今回は休息日にギルドで戦士達が探している杖を持っていた冒険者に、どこで入手したか聞き込みをしていた。
何人かに聞いたことで、持っていそうな獣人種と階層の目途がついた。
その甲斐もあって、無事に炎の杖を入手することが出来た。
僧侶も沈黙の護符を入手できた。一番欲しいものでは無かったが、これも候補だったので満足だ。
この日は念願叶ったということで、盛大に打ち上げをいつもの食事処で開催した。
いい夢が見られそうだ。
翌日の休息日。今日が空き時間の最後とされた5日目だ。
おそらく明日には、大聖堂から呼び出しが来るだろう。
アイテムの補充や準備を整え、ゆっくりと過ごしていた。
そして翌日、予定通りなら今日、大聖堂から呼び出しがあるはずだ。
宿とギルドにメンバーを分けて待機していた。
しかし、誰も来ないまま一日が過ぎてしまった。
翌日も同じように何も起きなかった。
戦士が大聖堂に行ってみたが、入口の司祭には、後日呼ぶから待っていてくれと言われて追い返されてしまった。
肩透かしを食らった感じだが、しょうがない。
こんなことなら、まだダンジョン探索できたのになと思ったが、予定は予定、確定ではないのだ。
翌日、ついに宿に召集を告げる使者がやってきた。
ギルドに待機しているメンバーにも伝え、一緒に大聖堂に向かった。
”夜”の最中の移動になった。
とはいっても道の両脇にはランプが灯され、通り道は分かるようになっていた。
大聖堂の入口にはすでに迎えの者が待ち構えており、すぐに別棟のいつもの会議室へ案内された。
改めて部屋を見渡すと、大聖堂の本堂と同じく白を基調としたもので、天井は濃紺色という部分が同じだ。窓もステンドグラスでカラフルになっており、光が差し込んでいた。
部屋は30m四方あり、天井も5mあり、ほんとにデカい。
部屋の真ん中には、大きなテーブルがあり、長さ10m、幅2mはあろうかというモノだが、大きな部屋の中にあるためか、遠目にはそれほどには感じられなかった。
椅子は白がメインだが、縁は金属質で、金色のコーティングがされており、金色の帯の中に濃紺のひし形が描かれていた。
広い会議室の中央にあるこのテーブルの周りに、騎士団が集まっていた。
戦士「大司祭様もすでにいるようですね」
珍しく大司祭が先に入室していた。いつも遅れてくるクセに。
騎士団の数人が戦士たちの到着に気が付いた。
大司祭のいる中央の大テーブルに通されると、大司祭と挨拶を交わした。
大司祭「さて、有名人も来たようだな。説明を始めるから、騎士団には集合するように指示を頼んだぞ騎士団長」
指示を受けた騎士団長は、近くにいた騎士を伝令に走らせた。
5分程度でぞくぞくと会議室に騎士が集まってきた。
その中にはフェアリー組も混じっていた。
人が集まったことを確認すると大司祭が手を挙げた。
大司祭「さて、遂に情報が出揃ったようだ。まずは調査結果についてまとめたので、報告させよう」
そう言うと脇に控えていた上級司祭が前に一歩進み出た。
司祭「ではこれまでの調査結果を伝えます。騎士団の中にはすでにご存じの方もいらっしゃいますが、今回は冒険者もいますので、まとめて報告致します」
司祭が冒頭の挨拶を述べた。
この挨拶中に、大司祭の横にいたもう1人の上級司祭が、手に持つメモに素早く目を走らせていた。
これから報告する内容を確認しているようだった。
そして挨拶が終わると、メモを見ていた上級司祭は、挨拶していた司祭と交代して前に進み出た。
司祭「まず、制御室は発見に至りませんでした。また制御室への転送装置も未発見のままです」
そこまで聞いたとき、進展してないのに何故集められたんだ?と戦士は不思議に思った。
司祭「そして入口が無かった建物が1つありましたが、こちらのシークレットドア探索も失敗に終わりました。どうやらシークレットドアではないようです」
騎士たちは静かに聞いている。
これを聞いていた戦士達は、この様子じゃまた浮遊大陸の調査再開かなと思った。
しかし調査する新しい建物も無い。となると、メンドウだと考えていた行先の書かれていない小部屋の確認か。行先が書かれている部屋は転送部屋だが、それがない部屋は倉庫や研究室、様々な用途の部屋になり、簡単に言えばハズレだ。そんなハズレの中から、あるかどうかも分からない転送部屋を探せと言われるのだけは勘弁だ。
戦士達は小部屋の確認ではないことを祈りつつ、大聖堂の発表を待っていた。