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疑念

紳士的に接して、大司祭の案を伝えたが、その提案を無駄だと言って一蹴した白衣。

地上の権力者である大司祭。その彼に会ったこともないはずの白衣が、ここまで大司祭をバカにすることを言っていることに戦士は少し苛立ちを覚えた。



戦士「なぜ無駄だと言える!大司祭様も過去から続く文献を根拠に、この提案をしているのです」


白衣「過去から続く文献ねえ。確かに過去に”夜”が発現したことはあったが、それは光の宝珠から闇の宝珠を分離して解決したのだぞ?

天球調整は今回のような大ごとでは役に立たん」


明らかに天球調整について知っている様子の白衣。

その発言を受けて、戦士達にも迷いが出てきた。

この男の言っていることが本当なら、制御室を見つけても意味はない。

大司祭の言うことと、この男の言うこと、どちらが正解なのか。どちらも正解?


戦士「無駄かどうかはやってみないとわからないだろう?」


出会った最初こそ警戒していた白衣だが、いつの間にか警戒は解けて会話していた。


白衣「ハハハ。そんなことで夜を除去できるならとっくに我々がやっているさ。

本当に必要なのは光の宝珠から闇の宝珠を分離する事。

地上のどこのバカか知らんが、闇の宝珠を光の宝珠の力で開放しやがって、余計なことをしてくれたもんだ」


当事者を目の前に言いたいことを白衣は言っていた。

戦士は白熱してしまって、すぐに次の会話に進んでいたが、周りで聞いていた戦士側の何人かは1つのフレーズが気になった。それは”闇の宝珠を光の宝珠の力で開放”というものだった。

”浄化”ではなく”開放”。前者は大司祭が使った言葉だ。後者はこの白衣が言った言葉。

ニュアンスが全然違う。それが気になった原因だった。


戦士「闇の宝珠を分離したら、また元の生活に戻ってしまうし、夜がこのままでは我々地上種としても困ってしまうんだ。その口ぶりからすると、あなた方も夜は除去したい様子。手を貸してくれ!そして制御室への道を教えてくれ。頼む!」


戦士は白衣の手を取ると、目を見ながら依頼した。

突然のことにびっくりした白衣だが、夜を除去したい気持ちは地上種も同じだということは、先ほどの自分の推察通りで間違いないようだ。

白衣は先ほどより落ち着いて話し始めた。


白衣「なるほどな。夜の除去。これは私も協力したい」


戦士たちの顔が明るくなった。しかし、、、


白衣「だが、制御室の場所を教えるわけにはいかないな。あなた方の知識は間違っている。余計な部外者を制御室に入れて、また厄介ごとを起こされてはかなわんからな。ここはおとなしく地上へ帰れ。

そして我々のやることを邪魔しないでもらおう」


戦士「邪魔?」


白衣「そうだ。少し前だが、地上に闇の宝珠を分離するための技術者を派遣したのだが、連絡が取れなくなった。捕縛されたか、殺されたか。どちらかは不明だが、いまだに夜があるところをみると、君らの大聖堂とやらは我々に協力する気が無いようだ」


戦士「そんなことがあったのか。時間的に我々がここで探索しているときの出来事のようだが、先日地上に戻ったときにはそんな話はなかったな・・・」


ここでのやり取りでも戦士側の何人かは1つの疑念を抱いた。

浮遊大陸側の人間が地上、それも大聖堂に来ていた?そんな話は全然なかった。

先ほどの浄化と開放というキーワードの違いもあり、ひょっとして大聖堂は何かを隠しているのではないだろうか。隠さないまでも、説明されていない何かがある気がしてならなかった。

そんな考察を他所に戦士と白衣の会話は続いていた。

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