街中
地下5階で見つけた魔方陣により帰還した一行。
魔法使い「魔法陣で帰還は楽ちんね」
魔法使いは両手を上にあげて背伸びをしている。
戦士「今回もお疲れさん!」
スカウト「無事に地上に戻れれば、あとは換金して邪魔な荷物ともおさらばよ」
僧侶「また売却はお願いしますね」
スカウトは片手を挙げて了解の合図をした。
魔剣「では宿に戻るとするか」
スカウト以外のメンバーは宿に向けて移動を開始した。
戦士「スカウトさんが戻ったら食事に出ますか」
僧侶「疲れた後は、あの塩の利いた肉が欲しくなる」
一行はスカウトが戻ってくるまで、荷物の整理や休憩をとっていた。
しばらくしてスカウトが戻ってきた。
ドアを開けて部屋に入ったスカウトの顔に元気がない。
僧侶「どうしました?」
皆もスカウトの様子に気づいたようだ。
スカウト「みな、すまん。せっかくの地図だが魔物の体液などで汚れて見えない部分ができちまった」
魔剣「戦闘中の事故か」
僧侶「どの部分なんですか?」
スカウト「地下3階部分で、酒場と下層への階段あたりがすべてやられた・・・」
戦士「うーん、これは確かに滲んでいて読み取れませんね・・・」
魔剣「仕方ない。もう一度マッピングするか」
魔法使い「あ!私の魔法で地図出して、それを写せば?」
スカウト「そうだった!その手があったか」
スカウトは胸を撫でおろした。
僧侶「一時はどうなるかと思いましたが、ナイスアイデアでしたよ魔法使いさん」
魔法使い「えへへー」
魔法使いは照れくさそうにしていた。
魔剣「よし、問題も解決したし、食事にいきましょうか」
戦士「行こう、行こう!」
前も利用した食事処
魔剣「この塩味肉がたまらん」
みな無心に口にモノを運んでいる。
戦士「ふう。満足した」
僧侶「ですねー」
スカウト「今回はゴブリンの収納箱から少し金銭も回収できたから、経費はばっちり回収できたな」
魔剣「睡眠撲殺作戦以外に、魔法使いの氷結魔法による行動鈍化効果も新作戦に使えそうだったな」
魔法使い「そうね、火系範囲魔法と氷系範囲魔法を覚えて、やっと役に立てるようになった気がするわ」
戦士「今のところ、氷結魔法は虫どもにぶっぱなして、鈍化させるのが一番いい使い道だな」
魔剣「虫は小さいと攻撃が当たらんからな。あの魔法はありがたい」
僧侶「そうですね。弱いのはダメージで死んで、生き残ったのも鈍化しているから剣で潰しやすいですもんね」
魔法使い「そういうあんたも麻痺治癒を習得して、ちゃんと経費削減に貢献してるじゃない」
スカウト「経費削減はありがたいぜ」
戦士「僧侶さんが麻痺することを考慮して、麻痺治癒薬1つは持っていますけどね」
魔剣「安全策は必要だからな」
僧侶「先ほど沈黙の呪文を習得しましたので、苦戦したゴブリンスペルキャスターでも次は安心ですよ」
魔剣「レジストには気をつけろよ。効かなきゃ意味がない」
僧侶「ごもっともです」
僧侶「ほかには、パーティー防御呪文を習得したので、物理魔法両方に若干の抵抗を得られるはずです。
次回はダンジョンに入ったらすぐに掛けますね」
魔剣「うちのスペルキャスター軍がだんだん頼もしくなってきたぞ。私もうかうかしておれんな」
戦士「魔剣さんは今クラスいくつまで使用できるんですか?」
魔剣「2だな。ダメージ魔法には期待できないから、睡眠や麻痺、石化なんかの呪文を使う予定だが、
そもそも魔力が低いから成功率が期待できるかどうか」
スカウト「ほかになにか、魔力の影響が少ない魔法はないのか?」
魔剣「地図魔法が使えるのと、状態異常魔法も地上に近い場所でザコに状態異常かけて消耗を防ぐのなら、有効活用できそうだな」
僧侶「それはいい案かもしれないですね。どうでもいい雑魚で体力消耗したくないですし」
魔剣「あまりのふがいなさに、一瞬、職業選択を間違ったかと思ったぜ」
魔剣はホッと一息ついている。
戦士「次回はあの遺跡にあった下層への階段から先を探索ですかね」
スカウト「その前にゴブリンで少し稼ぐのはどうだ?」
魔剣「軍資金稼ぎとアイテム狙いか」
スカウト「そうだ。そろそろ装備も新調したいだろ?」
戦士「確かにここまで深層への道探しばかりでしたもんね。これからに備えて戦力増強といきますか」
僧侶「新しい魔法も習熟したいですし、スカウトさんの意見に賛成です」
みなの意見が一致したところで、次の予定がたった。
戦士「さて、予定も決まったし、いつもと同じく、明日は休息日、明後日に探索再開としよう」
僧侶「わかりました」
魔法使い「はーい」
一行は宿に戻るため、食事処をあとにした。
戦士「なあ、魔剣さんよ。よかったら今日の休み、少しばかりつきあってくれんか?」
戦士は部屋で武器を手入れしている魔剣に声をかけた。
魔剣「どうした?」
戦士「武器屋で武器をみたいんだ」
魔剣「武器はゴブリンどもから奪うのではなかったか?」
戦士「その前に、どんな武器が一般的にあるのか、ある程度経験を積んだ今なら以前と見え方が
違うかなって思ってな」
魔剣「そこでついでにアドバイスも欲しいといったところか」
戦士「お願いできます?」
魔剣「参考に店に見に行く・・・よしつきあおうぞ」
戦士は魔剣と一緒に武器屋行くため、宿を出ていった。
戦士「前衛用の武器屋もいくつかあるが、値段はどうでもいいから、適当に入るか」
魔剣「転職時に使った店がある。そこのを見に行っていいか?」
戦士「その武器を購入した店ってことですか?」
戦士は魔剣の持っている武器を見ながら、言った。
魔剣「そうだ。自分もあの時と違う目で武器を見れると思ってな」
戦士「じゃあ、そこに行きましょう」
魔剣の誘導で戦士は武器屋に向かった。
「いらっしゃい」
店に入ると店員が挨拶してきた。
戦士はざっと店にある武器を見回すと、目当ての武器種の区画へ目を向けた。
戦士「最初は自分で見てみるよ。意見欲しくなったら声掛けに行くね」
魔剣「あい、わかった」
魔剣は手を挙げて答えると、自身も武器を見始めた。
この店は丁寧にも商品説明が書いてあるものがいくつかある。
”銀の武器”
獣人やアンデッドに最適。銀コーティング製です。
”ケーブソード”
洞窟内での戦闘を想定して長さを調整したものです。
”ホワイトエストック”
見た目の優雅さが人気の商品です。
”ウォーアックス”
力がないと扱いが無理な斧です。試し振り可。
”クロスボウ”
スカウトさんに最適。要射撃練習。
”病めるメイス”
呪いの品です。常人は扱い不可。お手を触れないように注意!
”眠りの短剣”
短剣仕様です。長剣仕様をお望みの場合はオーダーとなります。
力の無い者が戦闘補助するときに最適。
魔剣「ふうむ。こんな感じか。このハンドアクスもよい感じだな」
戦士が近寄ってきた。
戦士「今見ると、違う武器の選択肢もあったなーって思えるな」
魔剣「品物の質はそうでもないな」
戦士「銀武器が欲しいですね。アンデッドに効くのはありがたい」
魔剣「コーティングだからなあ、関係ない奴を切っていて剥げてしまってはもったいない」
戦士「2種類持っていくことも考えないとダメか・・・」
魔剣「収納にぶっこめばいいが、容量も無限じゃないしな」
戦士「銀のショートソードあたりだと、サブ武器として帯剣するんだがなあ」
魔剣「ここの店はわかったから、ほかも見てみるか」
戦士「そうだな」
2人は次の店を見るべく、移動を開始した。
そのころ宿では・・・
スカウト「アイテム募集クエストの確認と、知り合いの店に御用聞きに行ってくるぜ」
僧侶「御用聞きなんてやってるんですか?」
スカウト「あぁ。買う方だって、ネズミの皮ばっか集まったってしょうがねえだろ?
ヘビとかいろんな皮やらなんやらを欲しているからな。
何が欲しいか聞いて、それを持って行ったほうが高く買ってくれる」
魔法使い「売るだけでも大変ね」
スカウト「収納ボックスに入れときゃ腐らないから、1人でやってたときは需要ないと
売らずに持っていて後で売却していたな。
今はパーティーで収集効率がよくなったから、毎回始末しときたい」
僧侶「それであちこち回るってことですね。ありがとうございます」
スカウト「いいってことよ。これも仕事だと思ってるからな」
そう言うとスカウトは宿から出ていった。
魔法使い「私は新魔法の練習してこようかな」
僧侶「私も同じこと考えてましたよ」
魔法使い「訓練場に一緒に行く?」
僧侶「デートのお誘いとは嬉しいじゃないですか」
魔法使い「そんなんじゃないし」
僧侶「わかってますよ。言ってみただけですよ。まったくもう」
魔法使い「恋人が同じパーティーにいたら、優先して補助したくなるってわかるなぁ」
僧侶「魔剣さんが以前言ってたやつですか?」
魔法使い「うん。そう」
僧侶「そんな行為は危険と分かっていても、大事な人がいざ!となると私もわかりませんねえ。
それにしても、どうして突然そんなことを?」
魔法使い「あなたのデート発言がキッカケよ。それで思い出しちゃったの。
まあ、このパーティーではそんな心配ないからいいんだけど、街中の人見てると、
たまに、あれ?って組み合わせがいるし、ダンジョンですれ違ったパーティーにもやけに距離が
近い人いたから、この人たち危険じゃないかなって見てたの」
僧侶「まったく気づきませんでしたよ」
魔法使い「気にしていませんでしたの間違えじゃなくて?」
僧侶「言われてみれば、それが正解ですね」
魔法使い「さてと、私たちも出発しようか」
僧侶「そうですね」
そう言うと2人も訓練場へ向けて移動するため、宿をあとにした。
基本的に戦闘詳細は書かずに、皆さまの想像にまかせる方針です。
読んでいるうちに読者それぞれが冒険者の声や性格、容姿をなんとなく作っていくものだと思っていますので^^