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2.自称親友

私には自称親友という知り合いがいる。


「自称」と言うだけあって、私自身は間違っても彼女を親友とは思っていない。それどころか友達とも思っていない。

あくまでも彼女の一方的な好意だ。

ぼっちの私が気の毒なので、一緒にいてあげるという慈善活動のようなものらしい。


公立高校に入学し、ピカピカの一年生の新クラスの初日って、基本誰もがぼっちだ。

それを「一人じゃ可哀そうだから~」とすり寄ってきたのは、同じ中学校出身で顔だけ知っていた彼女の方だ。

顔も可愛いし仕草も女の子らしくて、初友としては上出来と、その時は私も喜んだものだ。


それからは休み時間も選択授業もいつも一緒。下手すると下校も一緒。


私の時間は彼女に奪われ、気付いたら彼女がいないと本当にぼっち状態になってしまった。


これはいかんと奮起し、自らクラスメイトと交流を深めることに奔走し、細々とぼっち脱出。少ないが彼女以外にも友達が出来た。

そして、その過程で、一人の男子生徒に恋心を抱いた。

告白する勇気などない私は、恋バナ大好きの自称親友に話を聞いてもらうことで淡い片思いを楽しんでいた。


ある日のこと。


「ごめんね、唯花ちゃん。私、七海君と付き合う事になっちゃった・・・」


心の底から申し訳なさそうに謝る自称親友を前に、私は何も言えなかった。


可愛くて女子力の高い彼女がモテることは知っていたし、私は特段何の行動もしていない。

ただただ彼に片思いしていただけた。

当然、そんな不毛な片思いに付き合い、彼女が自分の恋心を殺す必要はないし、私だって彼女にそんなことさせる権利などない。


それよりも何よりも、七海君の方が彼女を好きだ告白したというのだから、私に何が言えようか?


「嫌だ~、謝らないでよ! 私なら大丈夫よ! 良かったね、恵梨香ちゃん。応援するね!」


そう言って二人を祝福したのだった。本当に純粋に。

失恋した辛い思いを抱えながらも、本当に純粋に。


だが、少しおかしいと思い始めたのは二回目の時。


二年生になって彼女とは別のクラスになった。

これには私は内心ホッとした。

何故なら、彼女とは少し距離を置きたくなってきたからだ。


どうしてか恵梨香は私の前でやたらと七海君とイチャつく。

友達として良い子と信じて疑っていなかった私だったが、流石にこの行為に首を傾げた。

片思いしていた親友の前でこれ見よがしに仲良くするのはどうなのか?

私と二人きりの時も、彼氏の話ばかりしてくる。

正直、閉口していたが、進級し、別のクラスになった事で自然と距離ができ、ホッとしていたのだ。


しかし、そんなラブラブな二人が突然別れた。

そのタイミングと私の新たな恋がほぼ同時期。


たまに彼女に捕まり、七海君との惚気話を聞かされる中で、つい負けじと自分の恋バナを話してしまったのだ。

もちろん絶賛片思いだったが。


気が付くと私の想い人と恵梨香は仲良く歩いていた。


「ごめんね、唯花ちゃん。私、彼から告白されちゃって・・・」


七海君とはちゃんと清算済みとまで報告を受け、開いた口が塞がらない。

だが、これも私が何を言うべきことではない。

私が勝手に恋焦がれていただけであって、どの女も手出すなよとは言える立場ではないからだ。


「そうかあ。素敵な人だよね。応援するね」


今度は心にもない言葉を口走った。

その時だ。心の奥底でとある疑念が沸いたのは・・・。


そして、その疑念は三回目で確信した。

今度こそ、私は確実に文句と苦情と恨みを言える立場。本来ならば。


なぜなら、今度はやっと出来た人生初彼氏を奪われたからだ。


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