初めての「友達」
「初めまして。もう話しかけないでください。」
「なんでだよ、なんかの冗談か?」
優も電話があった時薄々勘づいてたが、まさか本当だとは思わなかった。
「どうせ、貴方も今の「私」なんていらないのでしょう?前の私しかいらなくて…わかってますよ。」
「本当に記憶を失ったのか…俺の名前は遠山優。君のか…友達だ。」
「私の名前は立花可憐だそうです。本当かは分かりませんが…貴方と昔の「私」は友達だったそうですね。でも、今の「私」とは違います。ですのでこれからは関わらないでくれるとありがたいです。」
「なんで、そんなに人と関わりたくないんだ?」
「今の私は必要とされていないからです。」
「じゃあ、俺が必要としてやる。お前を、だから、また俺と友達になってくれ!」
「信用できません。そう言って本当は私のことなんかどうでもいいのでしょう?」
「そんなことはない!たとえ記憶を失ってもお前はお前だ。俺の大切な友達だ!」
「本当に、信用してもいいのですか?」
可憐は泣きそうな目で見つめてきた。
「ああ、俺を信用してくれ。俺が必ずお前を幸せにするから!」
「それって、告白みたいですね」
彼女はクスッと笑いながらそう答えた。
「そう言う意味じゃないぞ!決して。」
「分かってますよ、遠山さん。じゃあ、私と友達になってください!!」
「ああ、今のお前の友達第1号だ」
「これからよろしくお願いします。遠山さん!」
彼女の笑顔は、どんな彼女の笑顔よりも美しかった。