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経験値異世界転生  作者: ハイケーグ
第1章 元ゴブリン生息地
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第18話 橋破壊作戦

 「出撃だ!オジシ様が単身、敵の大将を押さえている!憶するな!」


 「「おおぉぉ!」」


 俺達は隊員と合流し、再度町へと向かって進軍した。


 「ゴブリン!?ゴブリンがまた来たぞー!」 


 「またか!しつこい奴らめ!」


 「今はテオドール様がいる!バカな奴らだ!調子に乗りやがって!」


 大将がいるからだろう、昨日とは打って変わって敵の士気が高い。


 「オジシ様に報いるためにも死ぬ気で頑張れ!ここでもたついてたらオジジ様が死ぬぞ‼」


 「「うおおぉぉ!」」


 こちらも負けじと発破をかける。

 昨日攻め込んだばかりだからだろうか、見張りをしていた敵の数は昨日よりも少ないようだ。

 いくら士気が高くとも、数人程度では20匹のゴブリンを止められなかった。


 また、大将が到着さえすれば勝てる戦いだ。わざわざ死ぬ気で戦う人間は少なかった。

 敵はあっさりと町中へと撤退していく。


 「急げ!時間との勝負だぞ!敵本隊が到着する前に素早く進軍、とりあえず町の西に向かおう!」


 号令を出したその時、突然奥の方で爆発音がした。


 「な、なんだ!?」


 音がした方を見ると、周りの建物よりも頭二つ飛びぬけて高い土の柱が立っていた。

 上には何かの影が見える。


 「オジジ様が戦ってる‼俺達も急ぐぞ!」


 俺は戦闘を眺めているみんなを無理やり前へと進ませた。

 しかし、それでも俺を含む何匹かは進みながら戦闘を見ていた。


 土の柱の方を見ると、火炎がもの凄い勢いで柱を上っていた。


 なんだあれ…敵の攻撃か?


 土の柱からは火炎目掛けて棘がどんどん生えているが、火炎はそれを巧みに避けて上へと進んでいく。

 このままだと火炎が頂上まで届く、そう思った時、土の柱が派手に崩壊した。

 火炎も、柱の上の影も落ちていく。

 戦いの様子は他の建物が邪魔で見えなくなってしまった。


 なんつー戦いだよ...俺たちの戦いとは次元が違う...

 あんなんとまともに戦ったら、俺たち全員一瞬で消し炭にされちまう...


 俺は町を進みながら内心かなりビビっていた。


 町の奥へと進んでいくが、昨日と比べて敵の数は明らかに少なかった。

 恐らく、常に戦えるようにしている者はほとんどが昨日の戦いで死傷したのだろう。


 俺たちは順調進み、橋の近くまで到達した。


 「本当に橋を狙ってきやがった!卑怯なゴブリン共め!」


 しかし、橋を大勢の敵が守っていた。敵はこちらの目標に気が付いていたのだろうか、先回りされているとは。それとも、元からここを守る予定だったのか?


 「橋は死守しろ‼ここを落とされたら、甚大な被害が出る!」


 「ゴブリンの数、少ないですよ!さっさとぶっ殺しましょう!」


 「待て‼あいつらは、魔法が使える。迂闊に突っ込んだら殺されるぞ!それに、狡猾なやつらのことだ、伏兵がいるかもしれん。ここで守りを固めておけば手出しは出来まい。奴らが魔法を使うそぶりを見せたら、石を投げてやれ」


 「ホシノ!敵の数の方が多いぞ!どうする!?」


 「考える時間をくれ‼一旦距離を取って様子見で頼む‼」


 「んなこと言ってる場合か‼敵がもうこの町に迫ってんだ‼一か八か攻勢をかけるしかないだろ‼」


 「ハシモト、待てって!突っ込んで無駄死にするのが一番勿体ない!」


 「じゃあホシノにはなんかいい策でもあんのか!?どっちにしろ、作戦が失敗しても未来が無いってオジジ様も言ってただろ‼だったら、今この場にかけようぜ!」


 俺たちの行動が定まっておらず、議論が激しくなってきた。隊員たちも困っているようだ。


 「なんだあのゴブリン共、ギャアギャア鳴き喚きやがって!」


 「挑発のつもりか?軽く投石してやれ!」


 俺たちに向かって人間達が石を投げてくる。


 「ハシモト、頼む!一旦引いてくれ!話し合っていい案が出なければ、お前に従うから!」


 「っ!わかった!一旦退こう!」


 俺たちは石を投げられて、物陰へと下がっていった。


 「負傷者、いないか?」


 「あぁ、当たった奴は一匹もいない」 


 「で、どうするよ。このままだと町の奥からも敵が来て俺らは囲まれて一巻の終わりだ」


 ハシモトは無理矢理下がらせたからか、少し機嫌が悪そうだ。


 「わかってる。こっちの増援もいつ来るかわからないし、それを戦力のあてにするつもりは無い」


 俺はきっぱりと宣言する。


 「なぁ、正直、町の東側に渡るのは厳しくないか?」


 ハシモトが何か言おうとしたとき、先にユージが口を開いた。


 「それこそ、敵と正面から戦って勝たなくちゃいけないと思うんだよな」

 

 「だから、俺はそうしようって言ってるだろ」


 「でも、それは被害が大きいし、そもそも勝算も低いだろ?だから、ここはもう橋の破壊だけに集中しないか?」


 元の作戦では、町の東に陣取る手筈だったけど確かにこうなってはそこまで作戦を遂行するのは厳しいか...。


 「良いと思う。ここで橋を破壊するだけでも、帝国軍はかなり困るはずだ」


 「ハシモトも、それでいいか?」


 「まぁ、良いとは思う。でも、結局それってあいつらを倒さなくちゃいけないんじゃないか?」


 「橋を破壊するだけなら、ここから地面を掘り進んでこっそりできないか?」


 「いや、それだとあまりに時間が掛かりすぎる。敵の本隊が到着するまでに橋を破壊しなくちゃ」


 「確かに、そっか...」


 ユージは少し残念そうにし、次の方法を思案しだした。


 「ユージとハシモトが力を合わせれば、魔法であの橋を遠くからでも落とせないか?」


 「土台から壊すってことか?ここからじゃ無理だな」


 ハシモトが答える。ユージも、無言の同意をしていた。


 「どの程度の距離からならいけそう?」


 「さっき俺らがいた場所から50歩ほど近づけば出来なくもないかな」


 「だったら、その位置に土壁をはやして投石を防ぎながら遠隔で橋を破壊する。って作戦でどうだ?」


 「敵もそんなに近くに土壁があったら攻撃してくると思う。その状態で精密な魔法を使うのは難しいな」


 ユージに否定されてしまう。


 「そうか...」


 まずいな、早めに作戦を決めないとハシモトの言うとおり正面突破するしかなくなる。

 俺は今の状況から、橋を破壊する良い方法が無いか考える。


 壁を出す方法は、敵の注意を引きすぎるからダメか...

 だったら...


 「なら、俺が囮になる方法はどうだ?」


 「ホシノが囮に?」


 「あぁ、土壁を二つ出してもらって、ユージ以外の第五小隊で敵の注意を引く。その隙にこっそり第三小隊とユージで橋の近くに行って、橋を破壊してくれ」


 「それだとホシノ達が危険すぎないか?」


 ユージはこの方法に否定的のようだ。


 「ハシモトは?」


 俺はハシモトに意見を求める。


 「ホシノがそれでいいなら、俺はその作戦でも構わない。だけど、俺が無理そうだと判断したらこっちは自由に動かせてもらう」


 「わかった。その条件で大丈夫だ。ユージも、それでいいか?」


 俺は二対一の構図を作りだす。少し、ずるい方法だけどしょうがない。


 「...わかった。その方法で行こう」


 少し、間を置いた後ユージも渋々提案に乗ってくれた。


 「よし。じゃあ早速作戦を開始しよう。まずはユージ、ハシモト、頼む」


 「了解。俺が先に壁をだすよ」


 ユージはそう言うと、手を地面に当ててさっき俺達が石を投げられた辺りに土壁を出した。


 「なんだ!?...土の壁?」


 「ゴブリンの魔法です!しかし、奴ら一体何を?」

 

 人間達は思惑通り、壁の方に気を取られてくれているようだ。


 「ハシモト、あの壁まで一緒に来てくれ。第五小隊!行くぞ!」


 「「了解!」」


 ハシモトと、ユージ以外の第五小隊は土壁の裏まで一気に移動する。


 「ハシモト、ここからできるだけ橋の近くに壁を出してくれ」


 「おう」


 ハシモトにも壁を出してもらう。良い感じの場所に土壁が出現する。


 「まただ!奴ら、あぁやって少しずつ近づいてくるつもりだ!」


 「どうしますか!?」


 「...仕方ない。これ以上接近される前に、あの壁を破壊、ゴブリン共を殺せ!地面に気をつけろよ!」


 「「了解!」」


 敵はこれ以上俺達に動かれるのを嫌い、地面に警戒しつつじりじりとこちらへと向かってきた。


 「ありがとう。じゃあ、俺達がここで耐えてるから。ハシモト、あとは頼む」


 「わかってる。...お前のがよっぽど無茶な事するぜ。死ぬなよ、ホシノ」


 そう言って、ハシモトは素早く下がっていった。

 まったく、正面から突撃しようとしてた奴には言われたくないけどな。


 「あの壁まで移動するぞ!」


 ハシモトに出してもらった二つ目の土壁まで移動する。


 「迎撃!俺達の得意分野だ!ユージがいない分気張れ!」


 「「了解!」」


 第五小隊の面々は例の如く、迂闊な敵兵を転倒させるべくいつでも魔法を起動できるように準備する。

 俺も土壁の横から矢を射り、数人を射抜く。


 「あのゴブリン、弓を使っています!」


 「あいつが...!盾をしっかり構えろ!陣形を乱すな!」


 敵兵は、守りをより厳重にしつつこちらへとにじり寄って来る。


 くそ。数が多い。


 俺はそれでも隙を見ては敵を射抜いてはいるが、敵の数の方が多い。

 

 訓練の想定では、敵に合わせてこちらも後ろへと後退するのだが、今回は俺達は囮だ。

 そうやすやすと下がれない。


 敵はずっと地面を警戒しているので、土魔法もあまり効果的ではなかった。


 まずい。さすがに接近戦は出来ない。


 「俺の合図で徐々に下がるぞ!敵をぎりぎりまで引き付けるんだ!」


 敵が土壁へと接近する。もうこれ以上は無理だ。


 「少しずつ、後退!」


 「「了解!」」


 二つ目の土壁から出て、俺達は後ろに下がりだす。


 「ゴブリン共が出て来たぞ!」


 「今だ!投石!」


 まずい。敵は手ごろな石を持っていたようだ。このままでは一方的に攻撃される。


 「全力でさっきの壁まで引け!」


 俺は石を投げようと振りかぶった敵へ矢を射る。

 そんな攻撃では当然止まらず、敵は俺達目掛け石を投げる。


 「ぐえっ」「ぎゃっ」


 何匹かはまともに投石を食らってしまう。

 俺も、急所は守ったが左腕にダメージをもらう。


 「ハヤタ!トモヤ!」


 中でも、二匹にクリティカルヒットしたようでその二匹はそのまま地面へと伏してしまう。


 「二匹倒れたぞ!突撃!もう魔法を使う前に殺せる!」


 「「うおおおお!」」


 敵兵が突っ込んでくる。


 「くそ!引け!接近戦は出来るだけ避けろ!」


 隊員を引かせ、俺は弓を捨てて腰からナイフを取り出す。


 「よくもやってくれやがったなクソゴブリン!」


 俺は敵兵の攻撃を回避しつつ隙を探る。


 「魔法を使うゴブリンも逃がすな、殺せ!」

 

 俺が敵兵と対峙してる間に、他の何人かの敵兵は第五小隊のみんなを追って行ってしまう。


 くそ!何とか行く手を阻みたいが、目の前の敵の攻撃を回避するので手いっぱいだ。

 みんなには自分達の力で何とかしてもらうしかない。


 「ゴブリンが弓なんか使ってんじゃねぇ!」


 「くそが!俺だって、使えんなら魔法が使いてーよ!」


 「グギャグギャうるせぇ!死ね!」


 大振りになった敵の攻撃をしゃがんで避けて太ももをざっくり切り裂く。


 「うぎゃぁぁぁぁ」


 「俺だって喋れるんなら人語を喋りてーよ」


 「おい!あの弓を使う奴!近接も強いぞ!」


 「囲め!人数有利を活かせ!」


 「くそ!」


 敵に囲まれて本格的にやばくなってきたとき、前方で派手な音を立てて橋が落ちる。


 「ハシモト、やってくれたか!」


 「な、別働部隊!?通りで少ないと!くそっ!」


 「うわっ」「なっ」


 と、続いて何人かの敵兵が転倒する。


 「ホシノ隊長!第三小隊のハシモト イクトです!隊長からの指示で、第三小隊も加勢に来ました!」


 後ろから、第三小隊の隊員が援護に来てくれたようだ。

 敵兵が転倒しているうちに、敵の囲いを抜けて下がる。


 「助かる!命拾いした!ここは一旦俺に任せて、あっちで敵に追いかけられてる第五小隊のみんなを助けてやってくれ!」


 「了解!」


 よし、ここで少し時間を稼いで、機を伺って撤退しよう。


 「くそ!せめて、このゴブリン共だけでも殲滅するぞ!」


 敵の攻撃を避けつつ、今度は敵に囲まれないように立ち回る。


 「すばしっこい奴め!死ね!死ね!」


 奥にいる、さっきから指示を出してる奴を殺せたらかなり有利になるんだがっ。

 敵の数が多く、攻撃を避けつつ囲まれないよう逃げるのに精いっぱいで全く奥に近づけない。

 せめて反撃に転じられたら良いんだけど、攻撃してる暇もない。


 「いつまでそうやって逃げてるつもりだ!...うわっ!」


 と、今度は俺の目の前の敵兵の下の地面が無くなり、敵兵の腰から下が埋まった。


 「おい!?どうし...ぐあああぁぁぁ」


 今度は驚いて硬直した敵兵の靴を地面から突き出した突起が貫通していた。


 「遅くなってすまん!ホシノ、無事か!」


 「結局、乱戦になってるじゃねーか」


 「ユージ!ハシモト!」


 今度は前方からユージとハシモトが来てくれた。


 「他の敵はどうした?」


 「橋の周りでホシノ達を見てた奴らは、橋のついでに川に落っことしてきた。落ちなかった何人かも驚いてる隙に殺した」


 なるほど、それで数的にゴブリン側が上回ったのか。


 「よくやった!これで形勢逆転だ!殺せる敵兵を殺して、さっさと撤退するぞ!」


 「ほいよ!」


 俺が接近して戦い、ユージとハシモトに援護してもらう。

 

 「なんだあのゴブリン!さっきのより強いぞ!」


 「当たりめぇだろ、伊達に隊長やってねぇよ」


 「俺は隊長じゃないんだけどね」


 ユージとハシモトの敵後方からの加勢により、一気に戦局が傾く。

 隊員達の方を見ると、向こうも片付いたらしく、一つ目の土壁の辺りからこちらを援護していた。


 このまま敵を殲滅していたら時間が掛かりすぎてしまうだろうし、そろそろ撤退の頃合いか?


 「よし!そろそろてった...」


 「おい‼なに雑魚ゴブリン共に橋落とされてんだよ!マジで使えねぇなぁ!」


 俺が撤退の指示を出そうと言いかけたその時、町の奥からオレンジの色の髪をした大男が怒号を発しながらやって来た。

東と西が逆になっていたので修正

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