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シープルおばさまは名探偵〜秋のパン祭り殺人事件〜  作者: 地野千塩


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色ボケ編-4

「紅茶がいい? それともコーヒー? ハーブティーでもいいわね」


 幸子は優しくカフェのメニューを栗子に渡した。

 あの後、栗子はどうそても工藤が逮捕されたことが納得できなかった。


 だからといって事件も調査も進まず、いらだった。このままメゾン・ヤモメに返すのは危険そうだと亜弓はおもった。とりあえず糖分でもとらせて落ち着かせよう。亜弓は栗子を連れて幸子のカフェミルフィーユで休ませることにした。


「そうねぇ。じゃあ、ハーブティーを。カモミールティーを。あとチーズケーキとミルフィーユも」

「わかったわ。亜弓さんは?」

「紅茶とフルーツケーキお願いできる?」

「ええ」


 幸子が注文を取って、厨房の方にいってしまった。


「工藤さんが犯人だなんて信じられない。何かの間違いよ」


 栗子は断言していた。しかし、警察が動いている以上、証拠でもあったのだろう。


「何を根拠に言ってるんですか?栗子さんの言う事もわかるけど、こっちは証拠が無いんですよ」


 なるべく穏やかに宥めるように亜弓は言った。今は羊状態だが、いつ狼の顔を覗かせるかわから状態だった。


 明らかに納得いっていない顔で、不満がある事がありありと伝わってくる。


 ただ、幸子がハーブティーやチーズケーキやミルフィーユを持ってきたら、少し機嫌がよくなってきた。

やはり栗子でも甘いものには逆らえないようだった。


「コージーミステリで町の嫌われものが犯人なんて稀よ。それに中盤で逮捕されるのは、大抵誤認逮捕なんだから」

「そうはいってもですねぇ」


 コージーミステリあるあるを説明されたが、この事件がそこに当てはまるのか判断できなかった。


「『パティシエ探偵花子!』みたいに被害者の夫と共謀きょうぼうしていた謎の人物が犯人だったら面白いですけどねー」

「そうよ、それよ! やっぱりあの今日の旦那が怪しいわね」


 だんだんと栗子は元気になってきた。そこへ幸子がやってきて、栗子の隣に座る。


「工藤さんの奥さんの絢子あやこさんが何か知ってるかもしれないね。会いに行ったら?」


 幸子に言われるまでもなく、栗子はその事を考えていた。


「それにマー君よ。やっぱり今日子はマー君と不倫してたんじゃないかしら。あの笑顔はやばい!」


 今日子はちょっと甲高い声を上げた。亜弓は呆れて、フルーツケーキをフォークで崩して口に入れる。口いっぱいの爽やかなフルーツの甘味とふわふわとしたスポンジの甘味が広がる。


「でも大地さんみたいの素直に不倫してましたって言いますかね。警察も不倫については動きを見せていないし、上手く隠して不倫してた気がします」


 そういう亜弓も田辺との不倫中は、奥さんにバレないように田辺の地元から離れたラブホで落ちあったりそた。連絡もスマホを使わず、できるだけ社内済ませていた。もっとも亜弓はそういた小細工が面倒になって、だんだん不倫も飽きてきたのが正直なところだったが。


「私はあの優馬が怪しいと思いますよ。胡散臭い」


 亜弓はそう言うが、幸子は違うようだった。


「私は、やっぱりあの今日子さんの旦那が怪しいと思う。何より怪しまれずに犯行ができる。動機も今日子さんが不倫していたらあるかも?」


 控えめだったが、幸子の言うことも一理あると栗子は思った。


「そうねぇ。私はあの旦那の光の連絡先知ってるし、何か探ってみるかな?お色気大作戦で」


 そう亜弓が言うと三人は思わず吹き出した。亜弓のお色気大作戦が成功しているかはわからないし、事件も何もわかって居ないが、笑ってしまった。むしろ笑うしか無いと栗子は思った。


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