秘密
黒服の奴らに連れてこられたのは王城であった。しかも、それは国王直々の呼び出しであった。
「国王陛下。レン・バラインをお連れしました」
「入れろ」
「レン・バライン様どうぞ中へ」
中から聞こえた声は機械的な声で、人間が出せるような声ではなかった。
ちなみにマイは、城の中に入ってから別行動をしているが今はのんびりお茶を飲んでいる事は分かっている。
「やぁ、レン君。私の前では隠し事は無用だ、正直に話したまえ」
「は、はい」
中に入るとそこにあったのはカーテンに覆われた中が見えない空間だけがあった。
しかし、部屋の外と中では全く空気感が違う。この部屋は異様な物を感じる。
いったい何者だ?只者じゃないことは分かる
「質問よろしいですか?」
「聞こう」
「何故僕を読んだのですか?」
「君が父、ギル・バラインを殺した犯人だからだ」
「何故そのことを...」
あの場には誰もいなかったはずしかもその後ちゃんと死体も処分したはず...なのになぜその事が国王の耳に入っているのか...国王のスキルか...?それとも監視されてた?
「私のスキルが気になるのかい?」
「教えてやってもいいが今教えると不利になりかねない。まだ教えられん」
「そうですか」
なぜ自分からスキルの話を?僕は一言もスキルの話は口に出していない。それに不利?なんの話だ?
「私が君を呼んだ理由はほかでもない。君のスキルだよ」
「僕のスキルをご存じで?」
「勿論。そこで提案なのだが王族直属の騎士にならないか?」
「騎士ですか...」
「報酬は好きなだけ用意しよう」
「好条件な話ですが。ご遠慮させていただきます」
スキルの話を出したのはそう言うことか...だが、僕のスキルを国の為というより国王自身のために僕を使うつもりだろう。そもそも僕は騎士が大嫌いだ、そんなものになると思うだけで吐き気がする。
「そうか...今日はいきなり呼んですまなかったな。少しゆっくりしていくといい」
「いえ、学校があるのでこの辺で」
「ハデス」
そう国王が言うとここに連れてきた黒服の男が瞬く間に、ここへ来た
「この者その連れを返してやれ」
「御意」
僕が騎士にならないと言ったからあきらめたのか...?しかし...何だったんだろうか...あの機械的な声明らかに人間ではない気がするが...あまり関わらないほうが良いな...嫌な予感がする。
マイは疲れて寝ているようだ。
そのまま、学院に戻り通常通り過ごしお昼を食べ楽しく学院生活を送るはずだった...
僕はマイに何もなかったことに安心しすぎていたのか少し気が緩みすぎていた。気が付くと見知らぬ場所に連れてこられていた。そこは木の一本もない草原で王都から遥か遠くの場所に来ていた。
「ここは?」
現在地を確認します。
特定に失敗しました。
「ここは国王の認識範囲外だ」
「ハデスって言ったっけ?なぜこんなところに?」
「国王に聞かれると少し面倒なのでな」
どうやら話を聞く限り国王は自国内の全ての人間を認識できているらしい。ハデスに国王の正体を聞くと、それはとても信じられないものだった。それを聞くと声が機械的なのも納得する。
ハデスは騎士の中でも四天王と呼ばれている。四天王は国王の推薦がないとなれないくらいエリート中のエリートだ。その中でもハデスは四天王の中でもトップクラスで他の3人が一斉に掛かっても足元にも及ばないそうだ。別名《魔神》と呼ばれている。ハデスはかつて2000年以上前に存在した魔王に死なない呪いを掛けられてそれ以降何度自殺を試みようとしても無傷のままで、致命傷を受けたとしても絶対に死ぬことは無い。それ以降ハデスはその呪いを解くために色々研究をしているが全く解ける気配がないらしい。それを僕のスキルを使って解いて欲しいというお願いだった。しかしその掛けられた呪いを調べてみるがすぐには解けない程のとてつもない量の術式が入り組んでいて早くても10年以上はかかる。
本題はここからだ、国王が僕のスキルを何に利用しようとしていたのか。それを知っているのは四天王と国王の5人だけであったが、その計画は莫大な利益を得るための計画だったがハデスは利益などには全く興味はないらしいが、この計画は国民達の生活を壊しかねないのが問題であると言う。
ハデスこの国が好きなようだった。自分が愛したこの国を守るために国王の計画を阻止することがハデスの計画らしい。そこでレンにも協力してほしいと言う話だった。
僕は、かたき討ちのために騎士団を潰す。
ハデスは、国民を守るために騎士団に対抗する。
二人の解釈一致で秘密裏に協力することに決まった。