邪魔者
「依頼主依、依頼が完了しました」
そこに立っていたのは、レンの父ギル・バラインであった。
「よくやってくれた。これは報酬金だ」
ギル・バラインは何故サラを殺すよう依頼したのかどんな目的があったのか。そして騎士団はサラの遺伝子情報を取って何をしようとしているのか。その真実が明かされる。
「遺伝子情報は取ったのか?」
「もちろんです」
「我々が国を支配するまでそう時間はかからなそうだな」
ギル・バラインはじめ騎士団はこの国を支配するために英雄サラ・べルージュの遺伝子情報を取りサラのコピーを作り、サラのクローンを作り出し殺戮兵器として使用する事を目的としている。
「おい、なんでこんなことの為にサラを殺したんだ!」
「こんなこと?レンお前は何の話をしてるんだ?」
ギル・バラインは不思議そうにレンに問いかける。
「もう隠すなよ。全部わかってるんだ...サラを殺すように依頼したのがお前だって事を...」
「ふん...まぁバレたところで無能のお前にはこの計画を阻止することは不可能だ」
「お前は自分の息子の力に1度でも興味を示したことがあるか?」
「息子?何か勘違いしてないか?お前は私の本当の息子ではない、血のつながりもない赤の他人なんだよ!心の底からお前を息子だとは思うわけがなかろう」
初めて突き付けられた真実。レンはギル・バラインの直系の息子ではなく、拾い子であった事が判明する。しかし、今のレンにはそんなことは心底どうでもいい。レンの目には父としてではなくサラを殺すようにし向いた犯人としか見えていなかった。
「お前が父親じゃない?そんなこと今はどうでもいい」
「人間はいずれ死ぬ。どんなに鍛えようと、どんなに頭がいいとしても神にでもならなければいずれ死ぬ」
「人はいずれ死ぬ...ならレンよお前の死は今だよ。お前は知りすぎたんだ」
「誰が誰を殺すって?死ぬのはお前だ」
「そうか、なら場所を変えようか」
そう言うと何もない空間に転移しギル・バラインはすぐに魔法陣を展開し放つ準備をしている。
「悪く思うなよ」
「メテオ・ジ・ガントレット」
「それを撃つ前に良いことを教えてやろう。僕のスキルで作ったスキル《物理攻撃無効》《魔法攻撃無効》《精神攻撃無効》を僕は持っている。でたらめだと思うなら攻撃してみろ、すぐに悟るだろう貴様に僕を殺すことは出来ないとな。」
「でたらめ言ってんじゃねーぞ!」
ドォォォォォォン!!!!!
放った魔法はレンに直撃したとギルは思った。しかし...
「言ったろ?僕に攻撃は当たらない」
「な、なぜ...クソォォォォォ」
ギルは我武者羅に魔法を撃ち続けるがレンには一切効いていなかった。
ギルは魔力を使い切ったのか魔法陣がもはや展開できないほどになっていた。
「もう終わりか?なら次は僕の番だ。楽には死ねないからな」
「この空間の酸素濃度を21%から30%に増加」
酸素というのは少ないと体への影響は大きい。しかし、酸素というのは多すぎても体に毒なのである。レンは転生前の知識と転生後に得た魔法を駆使し酸素濃度を操った。
「息がっ...肺が...苦しい...」
「そうか...苦しいか...もっと増やしたらどうなっちゃうんだろうな」
「や、やめろ!」
「酸素濃度を30%から40%まで増加」
「人間は50%以上の酸素を長時間吸い込むと死に至るそうだ」
人間は濃度50%以上の酸素を取り込み続けると気道粘膜や肺胞に障害を与え呼吸不全に陥る。
「空気ごときで死ぬなよ?お前にはもっと残酷な死に方をしてもらわないと気が済まないのでな」
「ク...苦しい...頭が...痛い...」
「同じ反応か...つまんないな。酸素濃度をリセット」
「もういいや...」
「え...?」
そう言うとレンは術式を展開した。
術式と魔法陣の違いは単純、古代魔法かそうでないかだ。簡単だろ?
「古代魔法・魂源解放」
レンがそう唱えるとギルは気を失ったように倒れた。
魂源解放は魂を肉体から引きはがす魔法で引きはがされた魂は自然に消滅する。
度々出てきた古代魔法だがこれらの魔法は現代の技術ではその威力や環境に及ぼす影響力に匹敵する魔法を作ることは不可能に近い。それに莫大な魔力量を使用するため大抵の人間には無理な話だ。
古代魔法には3種類存在する。破壊系、創造系、特殊系の3つだレンが前に使った《世界の浄化》は破壊系に分類される。魂源解放は、特殊系だ。
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「邪魔ばかりしおって...」