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人形

「歴代の魔王様たちが私たちを創ってくださいました。私たちは【祖】によって創られた存在のため【祖】以外の者が《万能視》を使っても探る事は不可能となっております」


どうやらメイドたち自身が歴代の魔王たちが残した遺産らしい。


「現在は先代魔王様が引退されてから早50年が過ぎました。ですが、私たちの主が帰ってきてくだされた。どうぞ玉座に」


どうやら俺に拒否権はないらしい。でもこの人数がいれば進められるかもしれないかもしれないな。

俺は正面に見える玉座に腰を下ろした。


「そういえば...」


「ビー!ビー!ビー!」

「全勇者に通達。魔王の復活を確認。直ちに全勇者は魔王復活の地のグレール王国に集合せよ」


「先代と同じで弱そうだな!」

「サード。あなたいままでどこにいたの?」


魔王城の入り口から気の強そうな角が生えた一人の男が歩いてくる。


「ファースト。お前まだいたんか、てっきり消えちまったと思ってたぜ」サードと呼ばれる男はメイドのことをファーストと呼んだ

「あなたこそ、ずっと戻って来ないからどこかでくたばっていると思っていました」


再開そうそうバチバチにやりあう二人。「いっそのこと今ここで決着つけるか?」ギルはそういうと「あなた、私に勝ったこと一度もないのにまだ凝りないのですか?」ファーストがそういうと「いつまでも自分の方が強いと思ってたら怪我するぞ。」二人は異様な覇気を出す。

「ハハッ!」ギルは何もない空間から身長の8割はある大剣を出した。それはまるで、レンが魔剣技祭でエクスグラムを出した時と同じように。しかし、ギルが大振りした大剣はファーストの薙刀に受け止められていた。

「あなたいくらやっても無駄ですよ。私はあなたのする次の行動はすべて見えてます。」

「お前が見えてるなら俺も見えてるに決まってんだろ。」


スキル作成

未来予知対象外スキル


報告 完了しました。


発動条件が発生しました。スキル使用時、自身は未来予知が使用不可となります。


「形態変化 ざん!オラァ!」サードは大剣を振りかざす


「自身を予知対象外へと指定」「不可視スキル発動」

レンは、自分を二人の持つ未来予知スキルの対象外になるスキルを作成し不可視スキルと共に発動。周りからは未来予知の対象外となり肉体そのものも見えなくなった。

レンは瞬く間に玉座から飛び出し二人の間に入る。


「俺の勝ちだ!」

二人の未来予知にはこう見えていた。

ファーストはサードの剣を防ごうと予知をするもそのスピードに間に合わずにサードの大剣に切られ敗北。

未来予知は絶対に外れない。これは必ず起きる出来事。しかし、レンのスキルによってその絶対という100%を打ち破る。


「未来予知などなんの役にも立たない」

「は?」予知していた未来とは全く違う結果を目の当たりにする。

「おいおいおいおい。どういうことだよなんでてめぇが割り込んできてんだ?」

「お前たちが見た未来は誰が決めた?誰かが決めたものに縛られていては俺のような弱そうな人間にも勝てないぞ?」レンは二人の覇気を覆い尽くしその力の差を見せつけた。サードは少し驚いた様子を見せたがその後に笑みを見せた。


「いくら力を見せても俺の主の代わりになるとは思ってないが、期待してるぜ。」サードはそういいすぐに立ち去ってしまった。彼の言った主とはサードを創った魔王のことだろう。


「はぁ...また行ってしまった。私たちは魔王様を補佐するために作られました。魔王様のご命令なら何なりと。私たちのステータスは魔王様の意思で開示することができます故ご活用ください」

どうやらこいつらは魔王、いや俺に今は従順なようだ。なら...


俺はメイドたちにグレール王国とその敵国を調べるよう命じた。戦争が近々起こるその兵士の人数や兵器等の兵力を知っておきたい。俺が調べればいいことだが少々面倒だ、俺自身は魔王についての文献を【無限図書館】で調べることができない。文献自体は残っているようだがその詳細にアクセスすることができないのだ。この魔王城になにか残っているか調べる必要もあるし時間がかかりそうだな。


レンは魔王城を歩き回り一通り確認して回ったが大した物はなかった。何か歴代魔王の素性についての何かがあればよかったのだが...


「ファースト」

「何でしょう」

「ここは少し窮屈だ。それに我々の勢力を世間に示さなくてはならない」ファーストは俺の意図を理解したようで魔王城をダンジョンの最下層から地上へと移した。


移動して数日グレール王国王都では突然禍々しい城が現れたと騒ぎになっていた。

レンはファーストに王都に一旦戻ると言い城を後にした。


レンは王都に戻るとそこには王都を出る前とは少し違う光景があった。

元々魔王城があった場所と地上では時間の流れ方が異なっていることはすぐにレンは理解した。


「もしかして...師匠?師匠だよな!?」


目の前にいたのはどこかで見たことのある顔立ちの男。俺のことを師匠と呼ぶのは一人しかいない『ガイア』だ。しかし俺があそこにいる間にどのくらい時間過ぎたんだ?


「探したんですよ!?10年以上経っても音沙汰無いから。てっきり俺...」


10年...たしか俺はあそこには数日しか居なかったはず。どうやらだいぶ時間軸が違うようだな...そう考えると地上に移動してよかったな。


「10年!?ガイア、戦争はどうなった!?」

「それなら...」

「隊長!大変です!また人形が!」

「わかった、今行く。師匠もついてきてください。」


ガイアに案内され完全に壁に囲まれ隔離されているその壁をよじ登ってくる人型の何かそれを見てレンは怒りを見せる。


レンは何も言わずに立ち尽くしている。その理由は、人形はサラ・べルージュの遺伝子を元に作られた人造人間であった。


「師匠危ない!」


人形がレンを囲み物理無効のはずのレンの体を剣で切り裂き槍で貫いた。

「は?」


【全知全能】により異常を確認


物理攻撃無効スキルの無効化を確認。

物理攻撃無効スキルは今後、作成及び使用不可となります。


「なんだ、やっぱよえーじゃねーか。こんな失敗作に」

「サード。主に対しての侮辱ですか」

「あ?俺の主はルイだけだ。それ以外認めた覚えはねぇ」


そこに現れたのはファーストとサードだった。


「形態変化 破」サードは一瞬にして人形を粉砕した。

ガイアはそれを見て驚いている。外に出てくる人形は失敗作だとしても元の人物はレベル99だ、容易には倒せない相手だからだ。


「死んだか」


「まだ...まだ何も始まってない...」

「何も始まってないか。」

「お前は...」


現実世界のレンは完全に機能停止していて何もできない。意識空間で誰かが話かけてきた。声がする方を見るとそこには、レンが転生するときに会った転生の神の姿があった。


「俺を転生させるときに最後の仕事とか言ってなかったか?なのになんでここにいるんだ?」

「救世主となれ」


意識空間から飛ばされ現実世界に意識が帰ってくる。


【全知全能】を初期化。再起動します

再起動が完了しました。


【全知全能】により【自動高速再生】を作成します。

報告 完了しました。


自動高速再生を発動します。


「っはぁ...」

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