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罰と褒美

作者: 徒華

私はミラ。

旅を続ける魔女である。

私は魔女であるが悪魔とのハーフであるため魂を好んで食べる。

悪魔よりであったため普通は魔女にはなれないが私は(さわり)という代償を受け、魔女となった。

本質は悪魔のままなので美味しそうな魂のやつに契約をし代償として苦しみを与え最後、私への褒美としてその魂を頂く。

触の効果で私の右目のあたりは紫色になっている。

普段は髪で隠しているのでバレはしないが私に触れた家族はすぐに死んでしまった。

不老不死のはずなのに·····。

だから私は誰とも触れないようにあてのない旅を続けている。

だが私の心は歪んでしまった。

だから私も触を習得し、願いの代償として契約者にも触をかけていた。

代償というよりは八つ当たりだがな?



今は小綺麗な街に滞在して綺麗な魂を探している。

「ここの街は汚い魂ばっかね。魔法で消し飛ばしてやろうかしら?」

はぁここで探しても無意味か。

次の街へ行こうか。

なら思い立ったが吉日、明日にでもここを出よう。

そう思って眠る。


翌日目覚めて少ない荷物をまとめ宿を出る。

「この綺麗で汚い街とおさらば。」

そう思った時路地裏に17ぐらいだろうか。

少女が座り込んでいる。

なぜかとても気になる。

そう、この小綺麗な街にそぐわないお世辞にも綺麗とはいえない服を着ているのだ。

「ねぇ?貴女どうしたの?」

「ー」

「え?なんて?もういちど言ってくれる?」

その瞬間

バタリ

少女は倒れてしまった。

「ちょっと·····ほっとけないじゃない」

さっき出たばっかの宿に戻る。

「部屋1つ。なるべくベッド2つね。あとホットコーヒーと小さめのバスローブ。」

「分かりました。」

鍵を受け取り、少女を魔法で部屋まで持っていく。

部屋につき片方のベッドに丁寧に下ろす。

普段ならほっておくのだが今の私は上機嫌なのだ。

「次の食べ物ちゃん♡」

そう私は見てしまったのだ。

この子がとても美しく美味しそうな魂を持っていることを。


ホットコーヒーを飲みながら魔女は不敵に笑う。

少女が目覚める。

「おはよう。よく眠れたかい?」

と聞くと

「ひっ。だ、だれ?」

と怯えた声と表情を浮かべる。

「私はミラ。路地裏で倒れていたから運んだの」

「イリス·····です。ありがとうございます·····」

「別に良いわ。とりあえずシャワー浴びてきたら?」

とバスローブを彼女に渡しシャワー室を指さす。

「あ·····分かりました。」

シャワーから出てきた彼女にホットミルクとサンドウィッチを頼み出てくるのを待つ。

「すいません。出ました。」

「何を謝るの?こっちにおいで」

と手招きしホットミルクとサンドウィッチを差し出す。

「そんな!大丈夫です!」

キュルルル

「ふふ。ほら遠慮せずに食べなさい。」

「·····いただきます。」

相当食べていなかったのだろうか。

ものすごい早さで食べおわる。

少し落ち着いたあと私は質問をする。

「貴女親は?」

「消えました。私を置いて·····」

「そう·····。辛かったわね。」

「食べる物も、服も全部なくなって·····っ」

泣き出す彼女。

『あぁこの子ならきっと私と契約するわ。』

私は場違いにもそう思ってしまった。

「ねぇ叶えたい願いはない?」

「願い·····?」

「私は魔女なの。1つあなたの願いを叶えてあげるわ。代償は·····触。体の1部が紫色になって触れた人に災いをもたらすもの。」

「願いはなんでもいいの?」

「えぇ。」

代償など考えずに願いを必死に考える彼女。

とても愛おしい。

今までの奴らはすぐに

『代償はどうにか出来ないのか?』

と言ってきた。

どうせ死ぬのにね。

というか触のせいで周りが不幸になることに心を病んで自ら殺してくれって言ってくる。

まぁ触の詳細なんて後で言ってるからまさか·····なんて思わないんでしょうね。

「決まったよ。」

彼女の美しい声が耳に入る。

「さぁ貴女の願いは?」

「1週間願いを叶え続けてほしいの。」

と言った。

私はキョトンとする。

「·····ふふふふ。貴女面白いのね。いいわ契約しましょ。」

「いいの?」

「えぇ良いわ。」

そう言って私は指を鳴らす。

そうすると私達の間に紙が現れる。

「これは契約書。私は貴女の願いを叶える代わりに代償を受けてもらう。さぁこれにサインして?」

彼女は言われた通りにサインする。

彼女が紫色の光に包まれ、右腕が紫色になる。

「ありがとう。これで貴女と私は契約関係。さぁ願いをどうぞ?イリス?」

「えっと·····一緒にいて?」

不思議な子だ。

「わかったわ。あぁ私の事はミラって呼び捨てでいいわ。」

「うん。」


私は1週間彼女と過ごした。

『願いを叶え続けてほしい』

なんて言われたからどんな願いが来るかと思ったが彼女が言った願いはせいぜい

『夜ご飯はこれがいい』

だとか

『一緒に寝よう』

『1度でいいから空を飛びたい!』

まるで家族を求めるような願いで至極簡単なものであった。

もう何百年も前に家族を亡くした私にとって彼女は家族のような存在になってしまった。

私への褒美も魂ではなくもっと適当なものにしようかと思うほどだ。

そして楽しかった時はあっという間に過ぎ今日で契約の期限が切れる。

「ねぇミラ?最後のお願い言ってもいい?」

「えぇどうぞ?」

「私を殺して欲しいの。ミラの手で。」

·····え?殺す·····イリスを?私が·····?

出来ない。

そう言おうとした時私の目の前に契約書が揺れる。

契約した以上契約は絶対に果たさねばならない。

そう殺さねばならない。

「·····わかった」

彼女の体はとっくに右半身は紫色になっており彼女に触れた街の者は皆死んだり、親しい者を亡くした。

それに耐えかねたのだろうか?

でも彼女は

「皆家族じゃない。罪悪感はあるし少し不気味だけどミラとおそろいだから怖くないよ!」

とずっと言っていたのに·····。

だが彼女の願いならば·····

私は彼女に魔法をかける。

彼女が苦しまないように、優しくその命を奪う。

最期のとき

「ありがとう·····ごめんね」

そう聞こえた。

私は気づく。

そうか最初から·····

そしてその亡骸を持ち私は言う。

「これで契約は完了されたし。褒美としてそなたの魂を頂く。·····っ」

私は泣いていた。

泣くなんていつぶりだろう。



元来

『代償』

というものは願った者の傲慢さへの

『罰』

である。

それは私もそうだ

魔女になる

『代償』

として

『触』

という

『罰』

を受けた。


ならばこれは今回は誰への罰だったのだろうか。


私は今まで

『願い』

を叶え、その者への

(代償)

として触の魔法をかけ、私への

『褒美』

としてその魂を奪ってきた。


ならば今回はどうだろう?


イリスは

願い(褒美)

として私に殺された。

私は家族同然となった大切なイリスの魂を

代償()

として奪った。


そう私への(代償)は触とかいう生温いものなどで終わってはいなかったらしい。


そうこのイリスの魂は私にとって褒美ではなく確かに罰だったのだ。

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