置いて行かれる創神
魔神の横には若い女性が立っていた。
「皆初めましてじゃな。妾が癒神じゃ。これからよろしく頼むぞ。」
「癒神様、初めまして。創神と申します。」
「うむ。知っておるぞ。あと、農神と遊神じゃな。それとそこの人間がカズマじゃろ?」
「そういや、魔神の記憶も持ってるんだったな。んで、なんでそんな偉そうな口調なんだ?」
「ん?口調か?舐められぬようにするためじゃが、何か変かの?」
「そ、そうか。(神なのに舐められるとかあるのか?)」
「ではそれそろカズマを戻して神託を下すとするかの。」
「やっと戻れるのか。なぁ、ちょっと聞きたいんだが、これからも新神が誕生する時は俺は呼ばれるのか?」
「普通は呼ばれんのぉ~。こちらの世界では分からんがの。どうなんじゃ?創神。」
「お呼びしてもよければ、お呼びしたいのですが、カズマ様がお嫌でしたら無理強いをするつもりはございません。」
「ということじゃが?」
「なるべく遠慮したいんだが、そんなに頻繁にあるわけでもないんだろ?無理強いもするつもりはないんだったら、帰りたい時に帰してくれるなら・・・。」
その時今までにない強い光が俺の体を包み込んだ。
「ふむ。そろそろ時間のようじゃの。」
「お、おい。俺はまだ全部伝えてないぞ!」
「カズマよ。また会おうぞ。ああ、妾のことは癒神様ではなく、皆と同じように癒神と呼ぶのじゃぞ?妾はそなたのことをカズマと呼ぶからの。」
「んなことは今聞いてねぇ!」
「カズマ様、またお会いできる時を楽しみにしております。」
「ちょ・・・。」
カズマの体を光が包み込んだかと思うと光は一斉にはじけ飛び、そこにカズマの姿はなかった。
「ふむ。どうやら無事に戻れたようじゃな。では儂も戻るとするかの。癒神よ、創神たちとともにこの世界を導いていくのじゃぞ?」
「誰に言っておるのじゃ?妾はそなたでもあるのじゃぞ?」
「ふぉふぉふぉふぉ。そうじゃったの。じゃが、これからは儂の分体ではなく、癒神として生きていくことになるのじゃ。新神として自覚を持ってもらおうと思っただけじゃよ。」
「そういうことか。うむ。創神たちと協力をしてよりよき世界になるよう努力をしていくので安心せい。」
「創神よ。儂の分体といえどこ奴は新神じゃ。すまぬが導き手となってくれるかの?過ちを犯しそうになれば遠慮なく躾けてくれて構わんからの。」
「躾けるだなんてそんな。これからは四神としてこの世界を皆で導いていく所存です。」
「手間をかけさせるようですまぬの。では、さらばじゃ。」
魔神はそう言い残すとフッと姿を消した。
「では癒神様。聖女への神託を「ちょっと待てい。」はい?」
「妾はそなたらと同格の神であり、新米じゃ。それなのに様を付けるのはおかしいと思わぬか?」
「し、しかし癒神様は魔神様の分体でもあらせられますし・・・。」
「その考え方がおかしいのじゃ。魔神も言っておったじゃろ?これからは儂の分体ではなく、癒神として生きていくことになるのじゃ、と。じゃとすれば、妾のことは魔神の分体ではなく、新神の癒神と扱うべきじゃと妾は思うのじゃがどうじゃ?」
「そ、それはそうかもしれませんが・・・。」
「わかりました、癒神。あたなを私たちと同格の神としてこれから扱うことにします。」
「わぁ~い。癒神、これからよろしくね。」
「あ、あなた達!?」
「創神よ、本人が同格に扱われることを望んでいるのだ。であればわたし達はそれを汲んであげるべきだろう。それに一人だけ様付けをされて特別扱いを受ける方がいいと思うのか?」
「そ、それは確かにそうですが・・・。」
「受け入れたほうが楽になれるよ。本人もいいって言ってるんだし。」
「うむ。妾達4人に上下関係など必要ないのじゃ。皆同格。いや、妾だけは新神じゃから下になるのかの?」
「いえ、皆同格でいいと思いますよ。癒神はこれからこの世界のことを覚えてゆけばいいのですから。」
「そうかの?では創神、農神、遊神よ。これからよろしく頼むのじゃ。」
こうして創神を置いてけぼりにして癒神の扱いは決まっていくのであった。