創神はおっちょこちょい?
「それでこれからどうするんだ?」
「どうする?とはどういうことじゃ?」
「分体を残すんだろ?分体は出さなくていいのか?」
「ふむ。とりあえずは創神を待ってからにしようかと思っておる。」
「創神を?なんでまた?」
「創神がどのように癒神を神託で伝えるかによって容姿などを決めようかと思っての。」
「そういや農神や遊神と相談するって言ってたな。」
と呑気に魔神と話をしていたのだが、俺はふとおかしなことに気が付いた。
「そういや俺はまだ戻らないのか?」
「ん?どういうことじゃ?」
「いや、いつもならもうそろそろ向こうに戻ってもおかしくないはずなんだが、その兆候が現れないんだが・・・。」
「おお。そのことか。それは新神の誕生という神界にとっても重要な事態が起こっておるから他の神々が力を貸してくれておるのじゃよ。」
「ん?どういうことだ?」
「つまりは一時的にだがお主はあちらに肉体を持つ者でありながら、神界に肉体ごと来る権利を得た。ということじゃな。」
「はぁ?肉体ごと?」
「うむ。今のお主は精神ではなく肉体ごとこの神界にきておる。」
「ちょ、ちょっと待て。いつ俺は肉体ごとこの世界に来たんだ?ってか肉体ごと来てるなら俺は向こうの教会には居ないってことか?」
「そう慌てるでない。あちらにはお主のダミーを儂が作って置いておるから心配するでない。それといつ来たかじゃが儂が分体を作ると決めた時に呼び寄せた。」
「全然気づかなかったぞ?」
「そりゃ儂は神じゃからな。それに忘れておるかもしれんが、お主の体は元々神界でつくられた物なんじゃぞ?呼び寄せるのは造作もないことじゃ。」
「ってことは俺はいつ神界に呼び寄せられるか分からないってことか?」
「それについては心配せんでよいぞ。今回は先にも言ったが新神が誕生するという神界にとって重要な事態が起こったことでの特例じゃ。」
「それを聞いて安心した。んで?俺はキチンと戻れるんだよな?」
「そこは安心してくれてよいぞ。新神誕生があちらに伝わった時点で特例は解除されるからのぉ~。」
「早めに創神が聖女とやらに神託を下してくれるのを望むぜ。」
******************************************************************************
「農神、遊神はいますか?」
「どうしたのですか、創神?」
「どうしたの?」
「魔神様が新たな神を誕生させ神聖魔法を地上に浸透させるためにお力を貸してくださるそうです。ですので、急いで聖女に新たな神が誕生したことを神託で伝えなければなりません。」
「ちょ、ちょっと待ってください。魔神様が新神を誕生させるとおっしゃったのですか?」
「詳しく言うと誕生ではなく魔神様の分体ですが、そういうことです。」
「魔神様の分体ですか・・・。名前はもう決まっているのですか?」
「魔神様の分体、新神の名前は癒神様。癒しを司る神です。」
「癒神様ですか。」
「ねえねえ。それってとてもめでたいことじゃないの?」
「何を当たり前のことを言っているのですか!魔神様がわざわざ私達の世界の為に分体を使ってまで新たな神を誕生させてくださるのですよ!めでたくないわけ無いじゃないですか!」
「そ、そうだよね。とてもめでたいことなんだよね。」
「だからそうだと言っているでしょ!」
「ならさ、聖女への神託には神託を下した日を新神誕生の日として地上でも祝うように付け足したらどうかな?」
「それはいい考えです。私達だけではなく地上でも喜びを分かち合う日。とても素晴らしい!!」
「あとは癒神様の性別はどうするの?」
「性別ですか?」
「それと容姿とか。決めなきゃいけないことは結構あるわよ?魔神様はなんておっしゃってたの?」
「えっ?」
「もしかして、魔神様に確認をしてないなんてことは・・・。」
「え、え~っと・・・。」
「も、もしかして確認してないの?」
「え~っと、そのぉ~。」
「遊神!急いで魔神様のとこに行くわよ!魔神様を交えて決めることを決めないと信託なんて下せないわ。」
「わ、わかった。ほら創神も!行くよ!」
「え、ええ。私ったら嬉しくてはやる気持ちが抑えられずに・・・。」
「そういう自己分析は後にして!魔神様も困ってらっしゃるはずだから急いでいくわよ。」
結局三神では信託の内容どころか癒神の容姿や性別も決められずに魔神の元へと急ぐのであった。