報告
オーユの街を出発し、俺たちはジェスの街へと戻ってきていた。
「ようやく戻って来たわね。」
「長かったような、短かったような不思議な感覚ですね。」
「それだけオーユの街での出来事が濃密だったんだろう。」
「じゃあさ、早速ギルマスに報告を上げに行かない?」
「カズマさんの事以外は達成できましたもんね。」
「俺以外のことってなんだよ。まるで俺が駄目だったみたいじゃないか。」
「駄目駄目なのよ、あんたは。」
「カズマさんに依頼とは何かを教えるはずが、理解しているのか怪しい状態ですからね。」
「おいおい、俺だって多少は理解しているぞ?」
「じゃあ、依頼の受け方を言ってみなさいよ。」
「通常依頼のボードから依頼書を持って受付に行くんだろ?ランクは自分のランクに見合ったものを選ぶ。」
「恒常依頼は?」
「通常依頼を受けたついでに達成する。これくらい最初に説明されたから知ってるぞ?」
「分かってるなら、なんで最初からしないのよ!」
「面倒だったから。」
「あんたねぇ~~」
「ま、まあまあ。カズマさんもこれからはそれを守って依頼を受けてくれると思いますから、良しとしませんか?」
「そうだな。カズマ、これからはきちんと依頼を受けてから魔獣を狩るようにしてくれよ?でなければ私たちが再度教えた意味がなくなってしまうからな。」
「善処するよ。」
「善処じゃなくて、守りなさいよね!」
こうした他愛無い話をしながらも俺たちはギルドへとたどり着いた。
「まずは受付でギルマスを呼んで貰わないといけないわよね?」
「ああ。ギルマスからの指名依頼だからな。報告はギルマスに直接がいいだろう。」
「すみませんが、ギルマスは今居ますか?薔薇の茨が依頼達成の報告に来たと伝えてもらいたいのですが。」
「ギルマスですか?少々お待ちいただいてもよろしいですか?」
「はい。お手が空いているならお会いしたいとお伝えください。」
「わかりました。」
受付嬢が席を立ち暫くするとギルマスが受付へとやってきた。
「やっと帰ってきてくれたのね?ここじゃなんだから、私の部屋に行きましょうか。」
「わかりました。」
俺たちはギルマスの案内でギルマスの部屋へとやってきた。
「まずは、オーユの街での依頼達成おめでとうと言った方がいいかしら?」
「いえ、カズマがいなければおそらく依頼の達成は無理だったと思います。」
「あぁ~、ディグアントの巣の駆除ね?あれに関しては私からもオーユのギルマスに多少の苦情は入れさせてもらったわ。複数のパーティーでやるべきことを1パーティーでやらせたんだもの。まあ、なんとかしちゃったの流石の一言なんだけどね。」
「あんなのカズマがいなかったら、到底無理ですよ。あたし達だけなら見つけたディグアントを片っ端から狩ることしかできてないと思います。巣の駆除なんて無理ですよ?」
「そうですね。おそらく今でもオーユの街でディグアントの駆除をしていたんじゃないかと・・・。」
「まあそうでしょうね。でも、オーユの街にとっては鉱山は生命線でもあるのよ。だからなんとかしたかったんだとは思うんだけど・・・。まあ、無事に達成できたから結果オーライではあるんだけどね。」
「(ん?俺は何かし忘れてるような・・・)ああ~っ!」
「ど、どうしたんだカズマ?いきなり大声を上げて?」
「い、いや。なんでもない。(温泉があるかを確認するのを忘れてたなんて言えるわけない。)」
「なんでもないならいきなり大声をあげないでよね。」
「す、すまん。(まあ、場所は分かったから今度確認したらいいか。)」
「こほん。それで?私からの指名以来のほうはどうだったのかしら?」
「そ、それなんですが・・・。」
「基本的なことは教えられたと思うのですが、カズマがどれくらい理解しているのかは判別が難しいんです。」
「どうゆうこと?」
「依頼の受け方などはどうも初めから知っていたようで・・・。」
「はぁ~!?」
「なぜそうしなかったのかと聞いたら面倒だったからと・・・。」
「カ・ズ・マ・さ・ん?」
「いや、だってそん時はランク低かったんだぞ?恒常依頼を受けてついでに討伐したほうが金が良かったんだよ。」
「確かにそうでしょうけど、確かにそうなんでしょうけど・・・。」
「ギルマス。お気持ちは痛いほど理解できます。私たちも聞いた時はあっけにとられましたから。」
「あたし達の苦労を返せって大声で叫びたくなったものね。」
「はぁ~。まあ今後カズマさんが正式な依頼を受けたうえで討伐してくれると思えば、無理やりにでも納得できるから良しとしましょうか。それじゃあ薔薇の茨の皆は依頼達成ということで報酬としてランクアップと白金貨3枚を渡すわね。」
「やったぁ~。」
「ついにBランクか。これで上級冒険者の仲間入りを果たしたことになるんだな。今まで以上に気を引き締めなければ。」
「私も中級上位になるんですね。みなさんに遅れを取らないように頑張ります。」
「よかったな。」
「「「はい。」」」
「あと、カズマさんは悪いんだけどこの後少し残ってもらえるかしら?」
「ん?俺だけか?」
「ええ。ちょっと確認したいことがあるんです。」
「改まったしゃべり方をするようなことか?」
「はい。」
「わかった。」
「薔薇の茨の皆はこの依頼書を受付に持って行って依頼達成の報酬を受け取ってね。その時にギルドカードのランクアップを受けれるようにしているから忘れないで。」
「わかりました。それでは失礼します。」
「「失礼します。」」
3人が部屋を出て行ったのを確認すると、ギルマスは真剣な顔を俺に向けて話し始めた。
「カズマさん。オーユの街までの移動方法を教えてほしいんですが?」




