一考
教会を後にして俺は宿へと戻って来た。
ギルドへ行っても良かったのだが、別段やることがない事に気が付いたからだ。
それに3神から言われたことをじっくりと考える時間がほしかったのももう一つの理由である。
(あの3人とパーティーを組んでこれからも一緒に活動していくことのメリットとデメリットを考えなくちゃな。一時の感情で動くと碌なことにならないだろうし。)
まず、メリットから
1.常に美女と一緒である。
これはデメリットにもなりえるが生活に華がでるのは間違いないだろう。
性格にも問題点などないし、俺でも偶に見惚れるほどだ。
2.ソロでは難しいクエストを受けやすくなる。
これは冒険者を続けていくなら、とてもプラスになるだろう。
難点は俺がそこまでランクに固執していないことだが・・・。
3.訓練の相手が常にいる。
これは俺にとっては有難い事だ。
後衛での魔法は得意だが、前衛はほとんどやったことがないのでアイナ・アンナに揉んで貰えると助かる。
とここまでが俺の考えるメリット。
次はデメリットだ。
1.常に美女と一緒である。
これはメリットでもあげたことだが、周りからの視線がすごい事になる可能性がある。
美女の中に男1人というのは所謂ハーレムを連想させるからだ。
2.異世界ネットが使いづらくなる。
これは俺が3人にスキルを教えれば問題ない事なのだが、リスクも伴う。
どこで話すか分からないからだ。
契約で縛れば問題ないんだろうが、できればそこまではしたくない。
3.自家発電が出来ない。
ここ最近ずっと一緒で溜まっているのにこれから先もやりにくくなるのはちょっと辛い。
3人とそういう関係になればと思わなくもないが、流石にそれは高望みしすぎだろう。
デメリットのうち2.だけがネックか・・・。
1.3.は俺が我慢すればいいだけとも言える。
俺の思い上がりかもしれないが、3人ともにそこそこ好意を持ってくれているのではないかと俺は思っている。
でなければいくらギルマスの依頼とはいえ、オーユの街まで俺と一緒に来ないだろうし。
などと考えていると部屋の扉がノックされた。
「カズマ、帰っているか?」
「ん?ああ、帰ってるぞ。」
「そろそろ食事の時間だそうだから、食堂に行かないか?」
「もうそんな時間か。わかった。先に行っててくれ。俺もすぐ行く。」
「わかった。では食堂で待っている。」
そういうとアンナ達は俺の部屋から食堂へと向かって行ったようだ。
(わざわざ部屋にいることを確認しに来て、食事に誘うなんてほぼパーティーだよな。ジェスの街に戻るまでの間に俺も結論を出すように考えるか・・・。)
3人や3神には見極めたいだのまだソロで居たいだの言っていたが、どうやら俺も人並みに寂しさというのは感じていたようだ。
そんなこんなを考えながら食堂へ行くと3人は既に席に座っており、俺を待っているようだった。
「カズマ、遅いわよ!」
「すまんすまん。ちょっとした用事を片付けてたんだ。」
「用事ですか?」
「ああ。といってもアイテムボックスの整理なんだけどな。ほら、ジェスのギルドでいくつくらい買取してもらうか考えないといけないだろ?」
「ディグアントとクレイジーカウ全部じゃないの?」
「流石に全部は買い取れるかわからないしな。それならもし他の街へ行った時にでも買取してもらえるように少し手元に置いといてももいいのかと思ってな。」
「なるほど、確かにそれは一考の余地はあるかもしれないが、余りお勧めはしないな。」
「ん?なんでだ?」
「まず他の街で見慣れない魔獣だった場合下手をするとどこかからきて繁殖をしたのではないかといらぬ警戒を生ませることになりかねない。魔獣にも分布というものがあるからな。次にそうではないと説明したとして、どうやって持ってきたのか聞かれることになるだろう。そうなるとカズマのアイテムボックスに目が行くことになる。カズマが素直に説明すれば問題は起きないだろうが、下手に隠そうとすると・・・分かるだろ?」
「そこまでは考えてなかった・・・。」
「それならいっその事、全部ジェスで買取してもらえば?一回で駄目なら2~3回に分けるとかすればいけるんじゃない?」
「それは良い案だと思います。下手に一気に数を出すより、少しづつの方が買取しやすいですし、素材の値崩れを防げると思いますよ。」
「値崩れか・・・。そこまで考えてなかったな。よし、アイナの意見を取り入れてジェスで回数を分けて買取してもらうことにするか。」
「ふっふ~ん。どうよ?アタシもちゃんとすれば出来るって分かったかしら?」
「まだポンコツって言われたことを根に持ってたんですね・・・。」
「まあ、アイナだからな。ほら、そろそろ注文しないと迷惑になるぞ。」
こうして俺たちは食事を注文し、くだらない話で花を咲かせ食事の時間を楽しむのであった。




