牛肉の楽しみ方
牛の討伐を終えた俺たちは今後のことを話し合っていた。
「クレイジーカウの討伐が意外と早く終わったから戻って別の依頼を受ける?それとも、ここでもう少しクレイジーカウの討伐を続ける?」
「私としてはもう少しクレイジーカウの討伐を続けてもいいんじゃないかと思うんだが。」
「私は別の依頼を受けてもいいと思いますよ。」
「カズマは?」
「俺はここに残って3人の訓練に時間を割いてもいいんじゃないかと思うんだが?」
「なるほど。討伐ではなく訓練をここでするのか。確かにそれもアリだな。」
「ですね。来るまでの訓練では勘を取り戻すくらいしか出来ませんでしたしね。」
「アタシはカズマの意見に賛成ね。クレイジーカウは十分討伐したし、すぐに戻って怪しまれるのもなんだしね。」
「怪しまれるか・・・。確かに普通なら馬車で5日程度かかるのに5日以内に戻ったら怪しまれるな。」
「特別な移動手段があると思って私たちに監視を付ける可能性も否定できませんしね。」
「それは面倒ね。ってことで、しばらくの間はここに残って訓練をメインに襲ってきた魔物のみ討伐でいい?」
「俺はそれで構わないぞ。」
「私もだ。」
「私もです。」
「それじゃあ、今後の予定は決まりね。後決めないといけないことってなにかある?」
「食事はどうしましょうか?」
「食事ならクレイジーカウの肉を使えばいいだろ?」
「野菜が足りないじゃない。お肉もいいけど野菜も定期的に取らないと体に悪いわよ?」
「それもそうだな。カズマ、野菜の買いだめはしてるのか?」
「多少ならしているぞ。根菜が多いがな。」
「根菜?なにそれ?」
「言うなれば、地面の下にできる野菜だな。ポッテとかキャロとかラディなんかが代表的なものだな。」
「スピニやレティなんかはしてないのか?」
「オーユの街では見かけなかったんだ。買いにに行った時間が悪かったのか、余り流通してないのか分からんがな。」
「そうなんですね。でも、根菜があるとのことなのでそれでいいんじゃないですか?」
「そうね。贅沢は言ってられないわね。」
「それにどうせ料理を作るのは俺だろ?」
「「「うっ・・・」」」
そう。なぜかこの3人と居る時は料理を作るのは俺なのだ。
と言っても、3人が料理下手なわけではなく、機材の使用方法や3人の知らない調味料などがあるから仕方ないのかもしれないが・・・。
それに、作った料理を美味そうに食ってくれるので俺としても作るのが嫌なわけではなく、むしろもっと驚かしたいという欲求が出始めているのも事実である。
「まあ、葉物野菜は最悪なんとかするさ。ルームで無理やり育てるって方法もあるしな。」
「訓練の時と同じことか?」
「そうだ。ただ、訓練と一緒にすると収穫時期を逃す可能性があるから気を付けないといけないんだがな。」
「それにどの道結構な時間かかるわよね?」
「まあな。すぐには食べられないだろうな。」
「なら、無理する必要はないんじゃない?それよりも食事の話してたらお腹空いてきちゃった。」
「やっぱりアイナは食いしん坊キャラになったのだろうか?」
「あっ、アンナさんもそう思いますか?私も薄々感じてはいたんですが。」
「ちょ、ちょっと2人とも酷くない!?別にアタシは食いしん坊キャラなわけじゃなくて・・・。」
「ふっ、ちょっとした冗談だ。本気でアイナが食いしん坊キャラになったと思ってるわけじゃない。少しだけ思っているだけだ。」
「そうですよ。カズマさんの料理を食べて、食事が楽しみにならない人なんていませんよ。」
「そ、そうよね。全部カズマの料理が悪いのよ。」
「なら、今日はアイナが作るか?」
「すみませんでした。お願いですから作ってください。」
「アイナ・・・。謝るのが早くないか?」
「アイナさん・・・。」
「しょ、しょうがないじゃない!どう考えてもカズマに料理で勝てる見込みがないんだもん。」
「ほらほら、3人でじゃれ合ってないで飯が食いたいんなら手伝ってくれよな。」
「そ、そうね。それでアタシたちは何したらいい?」
「とりあえず、牛を1頭解体してくれるか?その間に俺は献立を考えるから。」
「わかったわ。ほら、2人ともさっさとやるわよ。」
「やれやれ。食い意地のはったアイナには逆らえないな。」
「そうですね。でも楽しみでもあるのでさっさとやっちゃいましょう。」
「そうだな。」
「ほら、何してるの!さっさとやるわよ!」
「わかった、わかった。」
3人に牛の解体をお願いし、俺は今日の献立は何にするかを考え始めた。
(メインの牛肉はまず決定。となるとステーキが第一候補だな。でもステーキだけでは物足りないか・・・。となるとオニーオも使って牛丼もいいな。確か愛神から醤油とみりんと砂糖を貰ってたから味付けはできる。洋風と和風が混じるがそれはどうでもいいだろう。となるとポッテサラダを作っておいてもいいな。よし、今日はステーキと牛丼とポッテサラダにしよう。)
献立を考え終えた俺の行動は素早かった。
ポッテサラダに必要な野菜を取り出し、調理に入る。
何度か作ったことのある料理だけに手順に淀みなどなく、ポッテサラダは完成に近づいた。
「カズマ、待たせた。クレイジーカウの解体が終わったぞ。」
「ナイスタイミング。それじゃあ、ステーキによさそうな部位を持ってきてもらえるか?」
「ステーキによさそうな部位?それはどこだ?」
「えっ!?そういや、俺も覚えて無いな。ちょっと思い出すから待っててくれないか?」
「わかった。思い出したら声をかけてくれ。」
「さてさて、こんな時は異世界ネットに頼むとしますか。確か閲覧も出来ると言ってたしな。」
俺は独り言ちると異世界ネットを開き、ステーキに最適な部位を検索し始めた。
ステーキに最適な部位は思った以上に多いようで、ヒレ・サーロイン・リブロース・Tボーンなど聞いたことのある部位から聞いたことのない部位まで多種多様で、迷ってしまう。
(さてさて、どこがいいんだろうか?聞いたことがあるのはヒレ・サーロイン・Tボーンなんだが、リブロースってのはロース肉のことでいいのか?よく分からんな。ここは高級店とかによくあるであろうTボーンでいくか。Tボーンだとサーロインとヒレが楽しめるらしいし。)
俺は画像を見ながらどうアンナ達に説明するかを考えていた。




