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巣穴

「さて、水も抜いたしどうやって蟻を回収するかだが・・・。」


「そうだな・・・。カズマ、巣を人が通れるくらいまで広げられるか?」


「落盤や崩落を気にしなきゃいけないから、時間はかかるが出来ると思うぞ。」


「なら、広げて回収しよう。カズマにはスキルの連発で負担をかけることになるが・・・。」


「なら、アイナにも手伝ってもらおうかな。初期魔法の練習にもなるし。」


「えっ!?あ、あたしも?」


「ああ。難しく考えなくてもいいぞ?人が立って動けるくらいまで下に土を動かせばいいだけなんだからな。」


「簡単に言わないでよね!竈を作るだけでも結構しんどかったのよ?」


「だから、時間がかかってもいいってアンナが言っただろ?」


「それなら、ディグアントの数が多いほうをカズマに、少ないほうをアイナに任せるのではどうだろうか?」


「それで、広げ終わった方が終わってない方を手伝うわけですね?」


「それなら、エレナがマッピングしたものに俺がサーチで得た情報を記入したらいいか?」


「そうだな。それでいこう。アイナもそれでいいな?」


「はぁ~。わかったわ。カズマ、早く終わらしてあたしを手伝ってよ?」


「はいはい。出来るだけ早く終わらすよ。それじゃあ、やりますか。」


俺はエレナの地図に蟻の数を書き込み、巣の中に入っていった。


「さて、やっていくとしても道が長いな・・・。こう簡単に回収できる方法があればいいんだが・・・。」


俺は(グランド)を使い蟻の掘った穴を片っ端から広げていった。


落盤や崩落の心配はあったが、広げてみると地盤が意外と硬いことがわかったので遠慮なくやっていった。


(蟻の顎はやはりすごいな。これだけ硬いのに楽々道を作るんだからな。)


道を広げること数分、広い空間に黒々とした山が見えた。


「ほぉ~。こりゃまたすごいな。」


黒々とした山と思っていたのは、折り重なった蟻の死体だった。


「さて、まずはこれを回収して次に行かないとな。」


蟻をアイテムボックスに放り込み(数が数だったのでそうとう時間がかかったが・・・)俺は奥へと進んでいった。


次に見つけた蟻は今までの蟻とは違い、前足2本が騎士の持つ槍のようになっている蟻だった。


「ひょっとしてこれが騎士蟻か?んでもってここが俗にいう待機所って感じなのか?」


そこには騎士蟻しかおらず、数は10~15と少数だった。


(これで騎士蟻もサーチできるようになったから、より見つけやすくなったのは有難いな。)


俺はサーチに蟻と騎士蟻をセットし、更に巣の中を進んでいった。


地図で確認し、蟻のいる所につながる道だけを広げていくと意外と楽だったのは内緒だ。


そうこうしているうちに、今まで以上に広い空間に出くわし、壁にもたれかかっている蟻のでかさに驚いた。


「なんなんだこの大きさは!?ビル何階分に相当するんだこれ?」


その蟻の全長はおよそビル5階分はあろうかという巨大さだった。


(これって騎士蟻や蟻がいないと身を守れないじゃないか?まともに動けないだろうし。とにかく回収して3人を驚かせてやろう。)


俺はおそらく女王蟻であろう蟻を回収し、来た道をふさぎながらアイナを手伝うために3人のもとへと戻っていった。


「あっ。カズマさん。そちらはもう終わったのですか?」


「ああ。女王蟻も回収したぞ。こっちは・・・そんなに進んでないみたいだな。」


「うっさいわね。あんたと違ってあたしは普通なのよ!あんたみたいな規格外と一緒にしないで!」


「悪い悪い。それじゃあ、ここからは俺が受け持った方がいいか?」


「いけるのか?」


「ああ。問題ない。で?どうする?」


「アイナはいけるか?」


「正直言って厳しいわね。このまま行っても後数十メートルもいけば魔力枯渇に陥るわ。まあ、経験値分配でレベルが上がってなかったらもっと前に陥ってたけど・・・。」


「そういうわけだ。カズマ頼めるか?」


「あいよ。それじゃあ、ここからは俺が受け持つ。」


「カズマさん。きつくなったら言ってくださいね?」


「ありがとな。だが、大丈夫だ。MPにもまだまだ余裕あるしな。」


「えっ!?余裕あるって、さっき巣を水没させて、さらに穴を広げたんですよね?」


「さあ、やるか。」


俺はエレナからの質問を無視し、作業にかかった。


女王蟻、騎士蟻をもサーチ出来るようになったからか、先ほどよりも時間をかけることなく水死した蟻を回収することに成功。


こうして、俺と薔薇の茨(ローズソーン)の臨時パーティーによるディグアント駆除は無事に終えたのである。


「それで結局ディグアントの総数はどのくらいだったの?」


「蟻が120、騎士蟻が63、女王蟻が1だな。」


「卵は?」


「ん?そんなの回収なんかしてないぞ。そこまでは知らん。」


「えっ?回収してないんですか?」


「駆除が依頼だろ?それに栄養を送る女王がいないんだから卵が孵化することもないんじゃないか?」


「それは確かにそうかもしれませんが・・・。」


「その辺りは他の冒険者に任せたらいいだろ?全部が全部やったら為にならないと俺は思うがね。」


「まあ、通路は埋めなおしただけだから、掘るのは確かに容易いだろうけど・・・。」


「その辺りはリリーシアさんに報告して判断してもらえばいいだろう。とりあえずは依頼完了の報告をしてからだな。」


「これが終わってもまだ次があるとかないわよね?」


「さあ?ギルマスは何種類かいるみたいなことを言っていたからどうだか。」


「こんなに早く終わってしまって何か言われないですかね?」


「言われたら言われた時に考えたらいいんじゃないか?確定してない未来を予測してもどうにもならないさ。」


「確かにそうなんだけどね。」


「さっさとギルドに戻って、完了報告しようぜ。いつまでもこんな場所になんぞ居たくないしな。」


「それもそうだな。蟻の買取もしてもらわないといけないしな。」


「そういえば、オーユのギルドに蟻を全部卸すの?」


「全部は卸す気ないぞ?ここには蟻を70、騎士蟻を40程度卸して後はジェスでと考えてる。あくまでも俺が考えてるだけだがな。」


「なら、それでいこう。あと、女王蟻に関してはカズマに一任ということでいいな?」


「異議なし。」


「私も異議無しです。」


「なっ!?それはあまりにひどくないか?そこも普通は相談だろ?」


「駆除したのはカズマだからな。カズマに権利がある。」


「今回は臨時のパーティーだろうが!」


「報酬に関しての取り分はちゃんと考えてるから心配するな。私たちが2でカズマが8だ。2人もそれでいいだろ?」


「ええ。2でも貰いすぎじゃないかと思うくらいよ。」


「そうですね。私も2対8で異存なしです。」


「というわけだから気にしなくてもいいぞ?」


「いや、俺が言いたいのは女王蟻を俺に一任するなってことだ。面倒ごとを押し付ける気満々だろうが!」


「そうは言っても、駆除方法を説明しろと言われたら私たちでは上手く説明できないからな。なら本人に任せるのが間違いないだろ?」


「そうそう。」


「間違いないですね。」


「お、お前らなぁ~。」


こうして蟻の巣の駆除は無事に終わり、俺たちは報告をするためにギルドへと向かうのであった。

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