ラッキースケベ再び
夕食のカレーを堪能し、胃を落ち着けるためにゆっくりしていると、アンナから声がかかった。
「カズマ。ゆっくりしているところ悪いんだが、そろそろ訓練をしないか?」
「ん?ああ、そういやアンナは夕食後からだったな。」
「ああ。私もゆっくりはしたいんだが、寝るまでしか時間がないのでな。」
「それもそうだな。ならやるとしますかね。」
俺はルームを開き、アンナと共に入っていった。
もちろん、俺たちが入っている間にアイナやエレナには食後の片づけをお願いはしている。
そして、3時間ほどが経過したころ俺とアンナはルームから出てきた。
「あら、もう出てきたの?」
「ああ。初日からあまり根を詰め過ぎるのもどうかと思ってな。」
「そう。まあ、確かに初日から飛ばしても覚えられるわけないしね。」
「そういうことだ。そういや、2人は風呂には入ったのか?」
「入るわけないじゃない。入り方すらわからないのに。」
「そうだったな。それじゃあ、今からでも説明するから入ってみるか?」
「いいの?」
「ああ。せっかく設置したんだしな、使わなきゃ損だろ?」
「あんたがそう言うなら、遠慮はしないけど・・・。」
「なんだ?風呂に入るのが怖いのか?」
「なっ!?んなわけないじゃない!ただ、あんたと一緒に入るのが嫌なだけよ!」
「一緒に入る?んなわけないだろ?普通は男女別に入るもんだぞ?」
「えっ!?」
「まあ、恋人同士なら一緒に入ったりはするだろうが。」
「アイナさん。もしかして、一緒に入ると思っていたんですか?」
「(かぁ~)」
「思っていたみたいだな。まあ、私ももしかしたら、とは思っていたがやはり別なのだな。」
「当たり前だろ?嫁入り前なんだぞ?手ぇ出すわけないだろうが!」
「ふむ。意外と律儀なのだな。私はてっきり・・・。」
「てっきり、なんだよ!?」
「いや、気にしないでくれ。」
「気になるつぅの!はぁ、もういいや。入り方を説明するから3人とも付いてきてくれ。」
俺は3人を浴室へと案内し、入り方や風呂場でのルールを説明した。
3人が理解したところで俺は浴室を後にし、リビングのソファーでくつろいでいた。
そして、それは起こった。
「はぁ~。お風呂っていいわね。凄くさっぱりしたわ。」
そう言いながら、アイナが階段を降りてきたのだ。
ただ降りてきただけなら問題はなかった。
問題があるとすれば、降りてきたときの格好だろう。
なんとアイナはバスタオルを体に巻いただけで降りてきたのだ。
勘の良い人ならばこの後の展開は読めるだろう。
そう、ラッキースケベ発動だ。
アイナはゆっくりと階段を降りてきたのだが、足をよく拭いていなかったのだろうか。
階段で足を滑らし、こけてリビングまで落ちてしまったのだ。
階段の正面には俺がくつろいでいたソファーがある。
するとどうなるか・・・
俺の真正面にアイナが裸で両膝を立てて尻もちを付いている状態の出来上がりである。
アイナはアイタタタタッとお尻に手をやり立とうとしてはいるが、よほど強く打ったのかなかなか動けないでいる。
俺はというとアイナの秘密の部分に目が行き、目を離せないでいた。
すると階段の上からアンナの声が聞こえてきた。
「凄い音がしたが大丈夫か?ってアイナ、何をしている!!」
「へっ?」
「お前自分がどういう格好しているのか、わかっているのか!?カズマもいい加減アイナから目を離さないか!」
「はっ?えっ?」
「エレナ、予備のバスタオルを貸してくれ。このままではアイナが今以上に嫁に行けなくなる。」
「えっ?それはどういう?」
「いいから、早く!」
「あっ、はい。」
アンナの強い口調に驚いたのか、エレナは急いでバスタオルをアンナに渡し、アンナは急いで階段を降りてきてアイナの上に被せた。
「まったく、何をしているんだお前は?そういうのをカズマに見せたいなら、2人きりの時にすればいいだろうに。」
アンナにバスタオルを被せられ、自分がどんな状態だったのか理解したのだろう、アイナの顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていった。
そして、
「キ、キャァァァァァァァァァァァ~ッ。」
耳をつんざくような悲鳴が発せられたのだった。
そして、俺に勢いよく詰め寄って来て
「カ、カズマ!あ、あんた。み、見てないでしょうね!どうなの!?はっきり言いなさないよ!見てないんでしょ!?」
「あっ、いや、あの、その・・・。」
「はっきり言いなさいって言ってるでしょ!どうなの?見たの!?見てないの!?」
「え、え~っと・・・。」
「アイナ。諦めろ。」
「えっ?そ、それって・・・。」
「カズマにはバッチリ見られていた。余すところなく、な。」
「なっ、なっ・・・。」
アンナの言葉にさっきまでの勢いはどこへ行ったのか、アイナは崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。
「そ、そんなぁ~。まだ、誰にも見せたことなかったのにぃ~。見せるのはお婿さんだけって決めてたのにぃ~。」
アイナは子供が泣きじゃくるかの如く、頭を左右に振り泣きじゃくり始めた。
「うわぁぁぁぁぁ~ん。カズマに見られたぁ~。あたしの全部見られちゃったぁ~。」
「はぁ~。まったく、なんでバスタオルで階段なんて降りたんだ?カズマから降りてくるときは服を着るように、と言われていただろうが。」
「だって、だってぇ~。服を持って上がるの忘れてたんだもん~。」
「なら、お風呂から上がった時にでも私たちに声をかければ良かったじゃないか。」
「そんな考え思いつかなかったのよぉ~。うわぁぁぁぁぁ~ん。」
「はぁ~。カズマもカズマだぞ?じっと見てないで、目をそらすとかするべきだったんじゃないか?」
「うっ・・・。た、確かにそうなんだが・・・。」
「まあ、カズマもれっきとした男性だ。それに女性に興味を抱く年頃であることもわかっている。故に目をそらすのが難しいのはわかる。
だが、それとこれとは別問題だ。君は私たちが女性であることを忘れていたんじゃないか?口では女性だとは言いながらも、本心では男友達のような感覚だったんじゃないか?」
「そ、それは・・・。」
「はぁ~。これからはお風呂を使うときは、カズマにはルームにいてもらった方がいいかもな。」
「ア、アンナさん。ちょっといいですか?」
「ん?なんだ?エレナ。」
「あの~、このキャンピングカーの持ち主はカズマさんなんですよ?私たちはあくまでも貸してもらってるだけ、ってこと忘れてませんか?」
「へっ?」
「ですから、本来であれば私たちがカズマさんに気を使うべきであって、カズマさんが私たちに気を使う必要がないってことです。」
「えっ?あっ!」
「アンナさんもアイナさんも、もちろん私もですが、カズマさんの親しみやすさに気を緩めすぎているんじゃないですか?
今回のこともカズマさんは本来責められる必要はないんですよ?まあ、確かにずっと見続けていたのはどうかとは思いますが、アイナさんが服をきちんと着ていれば防げたことなんですよ?」
「た、確かにそうではあるが・・・。」
「まあ、今更どうこう言っても仕方がないですし、これからはお互いが気を付けるということでいいんじゃないですか?今回のことは授業料ということにして・・・。」
「そんなの納得できるわけないじゃない!あたしは全部見られちゃったのよ!カズマに全部見られちゃったの!将来のお婿さんのためにとっておいた全部、見られちゃったのよぉ~。」
「それは服を着なかったアイナさんの落ち度ですね。カズマさんからはきちんと説明がありましたし、私とアンナさんは着てましたよ?」
「そ、それはそうなんだけど・・・。」
「アイナさん。見られたのは確かに恥ずかしいことですが、自分の落ち度はきちんと認めてください。アイナさんがカズマさんの言うことをきちんと聞いていればこんなことにはならなかったんですから。」
「うぅ~。」
「それから、カズマさん。いくら興味があったとはいえ、ずっと見続けるのはどうかと思いますよ?確かにこのキャンピングカーはカズマさんの物ですが、一応とはいえ女性が3人も一緒にいるということをお忘れなく。いいですね?」
「は、はい。(エレナ怖ぇ~。何気に一番怒ってるのってエレナなんじゃ・・・。)」
「はい。ではお互いに誤ってこのことは終わりにしましょう。お2人とも異存はありませんよね?」
「な、なんであたしが謝るのよ!」
「異存はありませんよね?」
「い、いや、あの、エレナさん?」
「い・ぞ・ん・は・あ・り・ま・せ・ん・よ・ね?」
「い、いや、だから・・・。」
「あ・り・ま・せ・ん・よ・ね?」
「は、はいぃぃぃ~。」
「はいっ。ではお2人ともちゃっちゃと謝って終わりにしちゃいましょう。(ニコッ)」
「「(怖っ。)」」
「ん?どうしたんですか?」
「い、いや、何でもない。アイナすまなかった。俺の配慮が足らなかったようだ。」
「こ、こっちこそごめんなさい。ちょっと浮かれちゃってて、あんたの言うことちゃんと聞いてなかったみたい。」
「うんうん。お2人ともちゃんと謝れましたね。では今回のことはこれで水に流して、明日からは普段通りで行きましょうね。」
「あ、ああ。」
「え、ええ。」
「それじゃあ、私は一足お先に休ませてもらいますね?おやすみなさい。」
「あ、ああ。おやすみ・・・。」
エレナが寝室へと姿を消すと俺とアンナ、アイナは誰から話すこともなく言葉を発していた。
「な、なあ。エレナってあんなだったか?」
「いや、あんなエレナを私は見たことがないぞ?アイナは?」
「あ、あたしだって見たことないわよ。でも、さっきのエレナ、やけに迫力あったわよね・・・。」
「確かにそうだな。私も近づくのを躊躇してしまった・・・。」
「なんか、どっと疲れたな。俺も風呂に入って寝るから2人は先に休んでていいぞ?」
「そ、そうね。そうさせてもらうわ。」
「私もそうさせてもらおう。ああ、それからアイナ。寝る前に服を着るようにな。」
「わ、わかってるわよ、そんなこと!」
「それじゃあ、2人ともゆっくり休んでくれ。明日にはオーユの街に着くからな。」
「ええ。それじゃあ、おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
俺は2人とあいさつを交わし、風呂へ入るべく階段を上って行った。
そして、就寝する際に目に焼き付いた光景が忘れられずに寝付けなかったのは、言うまでもないだろう。




