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いざ、オーユの街へ

「それじゃあ、エレナ。今から行くけど準備はいいか?」


「はい。特段準備をする必要がないなら問題ありません。」


「じゃあ行こう。ルームの中で一時間たったら出てくるから、アンナとアイナは出てきたらこっちの時計の時間を確認してくれ。」


「ああ。わかった。」


「それじゃあ、行ってくる。」


俺とエレナは連れ立って穴の中に入っていった。


「ここがルームの中ですか・・・。」


「何もないだろ?」


「はい。もっと何かあるのかと思っていたんですけど、ちょっと拍子抜けですね。」


「この中で訓練するようになれば、色々と用意はするぞ?ただ、今回は入るだけだったから用意してないだけだしな。」


「確かに入るだけなら、何も必要ではありませんね。」


「だろ?さて、くっちゃべってても仕方ないから、さっき言ってた氷魔法の練習でもするか?」


「そうでした!カズマさんから教えてもらって以降、ギルマスと一緒に訓練してたんですが、やはり冷たい水より先に進めなくて苦労してるんです。」


「う~ん。とは言っても、俺も何と言ってアドバイスしていいかわからないんだよな・・・。」


「もう一度、氷魔法の発動の瞬間を見せて貰うことはできますか?もう一度見れば何かきっかけが掴めるんじゃないかとギルマスとも話をしていたんです。」


「見せるのは構わないが、あまり俺のやり方ばかり当てににするなよ?あくまでも俺流なんだからな?」


「そこはわかっています。ただ、何もわからないよりマシだということです。」


「それならいいんだが・・・。」


俺はエレナの氷魔法の練習に付き合った。


そして入ってから1時間が経過した。


「そろそろ出るか?」


「もうそんな時間ですか?」


「ああ。ほらもう午前11時を指してるだろ?」


「本当ですね。やはり集中すると時間がたつのが早いですね。これで本当にルームの外の時間が1分しかたってなかったら、凄いことですよ?」


「それは出てみたらわかることだ。それじゃあ戻るぞ?」


「はい。」


俺とエレナが穴から出てくるのを確認したアンナとアイナは、揃って時計を確認した。


「時計は1分を経過しているな。」


「それで?あんたが持って行った時計はどうなの?」


「俺の持って行った時計は午前11時を示しているぞ?」


「あんた、向こうでいじらなかったでしょうね?」


「いじっていないことは私が証言しますよ?」


「エレナがそう言うのであれば、問題はなかったのだろう。しかし、本当に1分が1時間なのだな。」


「わかってくれたか?これなら、適性検査をした上で覚えるのも無理ではないだろ?」


「確かにな。それで?適性検査はいつやるんだ?」


「3人が構わないなら今からでもやりたいんだが?」


「私は問題ないぞ?」


「私も構いません。」


「あたしも構わないわよ?」


「なら、今からでもやってしまおう。3人ともルームに入ってくれ。」


3人の許可が下りたので俺はルームへともう一度入っていった。


3人はというと、一度入ったエレナを先頭に残り2人が付いてくるという形で入ってきた。


「ここが、ルームの中か・・・。」


「なんもないわね。」


「今回はそんなに長くいるわけじゃないからな。じゃあ、早速やっていくぞ?」


俺はあらかじめ用意してあった各属性の魔石を取り出し、3人の前に置いた。


使い方を説明すると、3人は悪戦苦闘しながらも自分に秘められている属性を見つけていった。


「まさか、本当にわかるとはな・・・。」


「ホントよね。念のために今持ってる属性も調べたけど、光り方が一緒だったんだから間違いないんでしょうけど・・・。」


「でも、これで本当に増えたら嬉しくないですか?戦いにおいてもかなり違ってくると思いますよ?」


「そうだな。あとは覚えるまでの時間がどのくらいかかるか、だな。」


「その辺りは3人で協力しながら、やっていけばいいんじゃないか?誰も持ってない適正なら俺が教えることも出来るしな。」


「そういえば、カズマは全属性に適性があったんだったな。」


「ああ。誰も持ってない適性はアンナの風だけだよな?」


「そうだな。アイナの水はエレナが教えられるし、エレナの火は私が教えられるからな。」


「それじゃあ、移動の最中はエレナがアイナに教えて、アンナがエレナに教えるで構わないな?アンナに関しては俺がいないと駄目だから車を停めてからになるけどいいか?」


「ああ、私は問題ない。」


「カズマさん。移動中もここを使えるんですか?」


「俺のMPが持つ限りはな。もし、MPが切れるようなことがあっても、強制的にあっちに戻されるだけだから危険はないぞ?」


「閉じ込められることがないなら、マシだな。途中での出入りはどうなんだ?」


「それも問題なくできるぞ。なんなら、使わないときは閉じればいいだけだしな。」


「あんたって本当に規格外よね。いったいどんな生活を送ってきたらそんなになるのよ・・・。」


「さあ?俺はいたって普通に過ごしてきただけだからな。自分が特別だなんて考えたこともなかったしな。」


「ほへぇ~。カズマさんの故郷がどんなところなのか、凄く気になりますね。」


「その話はおいおいだな。じゃあ、3人の適性がわかったし今日はもう街に帰るとするか。」


「そうね。移動手段や寝床の心配はなくなったけど、買わなきゃいけないものがあるのは確かだものね。」


「そうだな。また短い間だが、世話になるが構わないか?」


「ああ。そうだ!買い物で思い出したが、寝具は買わなくていいからな?この車に3人のも乗せてるから必要ないぞ。」


「あのねぇ、前にも言ったけど寝具なんて私たちは買わないから!」


「カズマさんとずっと旅をするなら買うでしょうけどね。」


「そういうことだ。買うとしても食料や着替えの衣服ぐらいだぞ?」


「そういや、前にも同じような事を言ってたな。」


「そう言うことよ。それじゃあ、さっさと街へと戻りましょ。結構離れてるんでしょ?」


「だいたい街から馬車で半日くらいは離れてると思うけど、詳しくはわからんな。」


「それがたったの2時間くらいなんですから、凄いですよね。」


「俺には馬車の移動時間のほうが、信じられないんだがな・・・。」


「あんた、いったいどんな移動手段使ってたのよ・・・。ってこんなの使ってたら馬車が遅く感じても仕方ないわよね。」


「そうだな。っと、おしゃべりはこの辺にして戻るとしよう。」


俺たちはルームから出て街への帰路に付いた。


街に帰ってきた俺たちは宿へと帰り、ラビさんにしばらくの間依頼に出るので、部屋を出ることを話した。


ラビさんは寂しがってはいたが、帰ってきたときにはまた世話になることを告げると、嬉しそうに待っているから無事に帰ってきて欲しい、と俺たちに言ってくれたのが印象的だった。


そうこうしているうちに旅の準備も整い、オーユの街へと出発する日になった。


俺たちはギルマスに言われていた通り、出発前にギルマスを訪ねてギルドへと足を運んだ。


「そう。今日出発するのね?」


「はい。準備も整いましたので、報告に来ました。」


「もう少し時間がかかるかと思っていたんだけど、意外と早かったのね。」


「カズマが色々と手配してくれましたので。」


「カズマさんがねぇ・・・。まあ、その辺りのことは帰ってきてから聞くとしましょうか。それじゃあ、これがオーユの街のギルドマスターへの手紙になるわ。あっちに着いたらちゃんと渡してよ?」


「わかりました。カズマ、すまないがアイテムボックスに保管しておいてくれないか?」


「ああ。」


「カズマさん。あっちで揉め事なんて起こさないでよ?」


「なんで、俺限定なのか詳しく聞きたいんだが?」


「だって、カズマさん、世間知らずなとこあるんだもの。」


「大丈夫ですよ。私たちが責任をもって同行しますから。」


「俺は子供か!」


「ある意味、子供より性質が悪いわよね。」


「ほら、2人ともそこまでにしておけ。それではギルマス。行ってきます。」


「ええ。頑張ってきてね。カズマさんの事頼んだわよ。」


「「「はい。」」」


こうして、俺たちはオーユの街へと出発したのであった。



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