一回限りの無料買い物
「それとカズマさんに以前教えて貰った適性検査なんだけど、なんとか職員で終わることができたわ。」
「そりゃよかった。少し気にはなってたんだ。」
「適性検査?いったいなんの話?」
「詳しくはオーユの街に行きながらでも話すよ。」
「また、あんた余計な事を持ち込んだんじゃないでしょうね?」
「余計な事とは失礼な。これはギルドに革命を呼び込むかもしれないことなんだぞ?」
「いったいどんな事なのか凄く気になります。」
「旅すがらきちんと話はするから、今は依頼の用意をすることを優先しようぜ?」
「ちゃんと教えなさいよ?」
「わかってるって。それじゃあ、ギルマス。俺たちは用意があるから失礼するぞ?」
「ええ。出発前にギルドによるのを忘れないでね?」
「はい。では失礼します。」
「「失礼します。」」
俺たちはギルマスの部屋を後にし、宿へと戻った。
詳しい話は明日決めることになり、夕食後は各自の部屋へと戻っていった。
「さてさて、俺も準備をするべきなんだろうが、何が必要なのかいまいちわかんないんだよな。」
「移動ってのなら、車があった方が便利なんだけど、この世界に車なんてあるわけないしな。」
(待てよ?異世界ネットなら車くらいあるんじゃないか?手ごろな値段なら買うのもありだよな。ちょっと見てみるか。)
俺は異世界ネットを開き、移動に使えそうな車の検索を始めた。
「おお~。異世界ネットの使いやすさが上がってる。やっぱりキーボードかタッチパネルのどちらか選べるのはいいよな。
っと、今は検索をするのを優先しないとな。やっぱり移動なんだから、ファミリーカータイプがいいよな。人数は5~6人乗りで、できれば寝場所も確保したい。となるとキャンピングカーか?」
俺は出来るだけ高く、性能がいいキャンピングカーを探し始めた。
出来るだけ高くというは、一回限り無料で購入できるから、なのは言わずもがなである。
「一番高いのはエレメントキャンパーってやつか。ってかこれ最早バスじゃね?」
俺は見つけたキャンピングカーを見ながらあっけに取られていた。
「でも買うならやっぱりこんなの買いたいよな。オプションとかでカスタム出来ないもんかね?」
色々調べていくと独自のカスタムが出来るようだった。
「なら、座るところを少し狭くしてでも風呂を付けたいよな。いや、それよりサンルーフ部分を風呂にしてしまうのもいいな。覆いをしたら外からは見れないし。そう考えると、寝室を・・・。」
俺は自分の望む形にカスタマイズして行った。
結果、全長・全高は変化なしだが、中身が丸っと変わったエレメントキャンパーが画面の中にあった。
「よし、望みの物が出来たからこれは買うことにして、次はっと・・・。」
俺は夜が更けても異世界ネットを続けていた。
翌朝
「あんた、やけに眠そうじゃない?」
「ん?ああ、ちょっと夜更かしをしてな。」
「きちんと寝ることも冒険者には必要だぞ?」
「わかってるよ。昨日は特別に熱中することがあっただけだから。」
「カズマさんが熱中するようなことですか?一体どんな事なんでしょうか?」
「それは後ででも話すよ。それより、依頼の準備の話をするんだろ?」
「そうだったな。それじゃあ、色々決めていくことにするがいいか?」
「ええ。一人白金貨1枚の依頼なんだから、いつもより気合い入れていくわよ。」
「アイナ・・・。」
「だ、だってしょうがないじゃない。白金貨1枚よ?いつもなら金貨1枚でも大喜びするところなのよ?」
「確かにそうではありますけど・・・。」
「まあ、やる気があるならいいんじゃないか?」
「あんた、やけに冷静ね?」
「そうか?俺は普段通りだぞ?」
「とにかく、決めることが多いんだから、さっさと決めていくぞ。」
「まずは移動手段ですね。馬車を1ヶ月は借りないといけませんから、餌代も考えないといけませんね。」
「ああ。今からなら1週間以内には準備できるとは思うが、問題は餌代だな。」
「それなら、カズマのアイテムボックスに保管してもらってたらいいんじゃない?時間経過もほとんどないんでしょ?」
「そのことなんだが、ちょっといいか?」
「ん?どうしたカズマ?」
「移動手段なんだが、俺が用意するから餌代とかは気にしなくていいぞ。」
「あんたが用意するの?餌代を気にしなくていいって一体どんな馬車なのよ。」
「あ~。一度見せたほうがいいのか?」
「下手な馬車だと故障が多いからな。見せてもらえるなら、見てみたいんだが?」
「それもそうだな。わかった。一度街から出る必要があるが、構わないか?」
「街を出る必要があるの?本当に一体どんな馬車なのよ。」
「見てからのお楽しみだな。とりあえず、今からでもいいか?」
「わかった。2人もそれで構わないか?」
「あたしは構わないわよ。」
「私も構いません。」
3人の了承を得た俺は、3人を連れ立って街から1時間ほど離れた場所に移動した。
「なんで、馬車を見るだけでこんなに移動しないといけないのよ。」
「人に見られる可能性は少しでも減らしたいんだよ。」
「あんた、一体どんな馬車を用意したのよ・・・。」
「ここら辺なら、人通りは少ないが?」
「それじゃあ、ここら辺でいいか。3人とも少し離れて貰えるか?」
そう言うと3人は俺から少し距離を取った。
3人が離れたことを確認した俺は、アイテムボックスからエレメントキャンパーを取り出した。
「な、な、な、な」
「「・・・・」」
3人はいきなり現れたエレメントキャンパーを呆然と見上げ、言葉を失っていた。
「お~い。戻ってこ~い。」
「「「・・・・」」」
「流石にいきなりすぎたか?」
「あ、あんた・・・。」
「おっ、やっと戻って来たか?」
「こ、これは何ですか?」
「これか?俺の用意した移動手段だ。」
「移動手段?これがか?」
「ああ。エレメントキャンパー。通称キャンピングカーと呼ばれる馬車の一種だな。」
「これが馬車ですって?これを牽く馬はどうするのよ?馬鹿も休み休み言いなさいよ!」
「そこんところも説明するから、ちょっと落ち着けって。」
「こんなのが本当に移動手段として役に立つんですか?」
「だから、そこんとこを説明するって言ってるだろ?とにかく、俺に付いてきてくれ。」
俺は疑いの目を向けてくる3人を引き連れて、昇降口へと向かった。
「ここが入口だ。この扉を手前に引けば階段が降りてくるから、それを上って中に入る仕組みになってる。」
「あんたが、先頭を行きなさいよ?」
「解ってるって。」
俺は昇降口の扉に手を掛け、手前に引いた。
「なっ?階段が降りてきただろ?」
「やけに短い階段だな?」
「まあ、中に入るためだけの階段だからな。さっ、中に入ろうぜ。」
俺を先頭に3人は後ろからビクビクしながら付いてきた。
「うん。俺の望んだとおりの室内だな。」
「な、なによこれ?」
「家がありますよ・・・。」
「本当にこれが移動手段なのか?」
3人は呆然と車内を見渡していた。
「ちなみに、これは移動手段のほかにも役割があるからな?」
「他の役割って何よ?」
「寝床だ。」
「はぁ?寝床って、これが?」
「ああ。これは運転手以外は移動してる最中も寝ることが出来るんだ。もちろん、食事も出来るぞ。」
「確かに、奥にベッドらしきものがあるな。」
「これは炊事場でしょうか?」
「なんでもありなの?これって?」
「あと、風呂もあるぞ?」
「お風呂まであるの?」
「お風呂なんて見当たりませんけど?」
「風呂は屋根の上にあるんだ。見に行くか?」
「嘘ついてるんじゃないでしょうね?」
「嘘なんてつかねえよ。案内するから付いてきてくれ。」
俺は屋根に上がるための階段を降ろし3人を案内した。
「な、なによここ・・・。」
「広いですね・・・。」
「ここは本当にお風呂なのか?」
3人の目の前には明るい光に照らされ、5000MPで買ったバスタブが鎮座していた。
「移動の最中は本来は使わない方がいいんだが、一応動いているときにも使えるには使えるんだ。」
「はぁ~。凄いですね・・・。」
「ここから、夜空を見上げて入る風呂は格別だぞ?」
「あたし、お風呂なんて入ったことないわよ?アンナは?」
「私も入ったことなんてあるわけないだろ?」
「私もありません・・・。」
「入り方の説明はするから心配いらないぞ?まあ、今日はこいつの初お披露目が目的だから、もっと色々と説明しなきゃいけないんだけどな。」
俺は上機嫌に3人に向かって告げたのだった。




