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訓練所にて

教会に多少の寄付をし、俺は冒険者ギルドへと向かっていた。


(はてさて、俺にどこまでできるもんやら。まあ、引き受けた以上やれるだけのことはやるとしますか。)


ギルドに着くと俺はまっすぐ受付嬢のもとへと向かっていき、ギルマスへのアポを取ってもらった。


ギルマスの時間は空いていたらしく、今からなら問題ないと言われたので、ギルマスの部屋へと向かった。


コンコンッ


「どうぞ~。」


中からギルマスの声が返ってきたのを確認し、部屋の中へと入っていった。


「あら、どうしたのかしら?ごめんなさいね。まだ依頼は決まってないのよ。」


「いや、今日はそのことで来たんじゃないんだ。」


「違うの?なら、何かしら?」


「ちょっとな。ギルマス、少し時間あるか?」


「ええ。今仕事が片付いたところだから、時間はあるわよ?」


「なら、ちょうどよかった。少し訓練所まで付き合ってくれないか?」


「あら、新しい魔法系スキルを教えてくれるのかしら?」


「まあ、そんなところだ。」


「なら、早速行きましょう。今度はどんな魔法系のスキルを教えてもらえるのか楽しみね。」


「っと、その前に魔石を何個か用意してもらいたいんだが、構わないか?」


「魔石を?そりゃ構わないけど、何に使うの?」


「今からすることに必要なんだ。魔道具に使うような大きいものじゃなくていいから、頼めないか?」


「小さいのなら倉庫にあまりに余ってるからいいけど、それでいいの?」


「ああ、小さいので問題ない。」


「なら、訓練所に行く前に倉庫へ寄りましょうか。どうせ道すがらだしね。」


「すまんな。」


「いいの、いいの。どんなことに使うのか私も楽しみだし。」


そう言うと、ギルマスは職員に倉庫にある小さな魔石を複数個用意させ、自分は訓練所の予約に走っていった。


「それで?何を教えてくれるのかしら?」


「まあ、慌てるなよ。まず、今回のことは俺が3神から教えて貰ったことだと言っておく。」


「3神様からの!?って言うかカズマさん、3神様からの神託を受けたの?」


「神託というか・・・。まあ、その辺りのことはいいじゃないか。」


「私的には良くないんだけど?」


「そのことは置いといて、今からすることは魔法系スキルの適性検査だ。」


「適性検査?」


「ああ。3神が言うには、誰でも最低2種類は魔法系スキルの適性を持っているそうだ。」


「最低2種類!?そんなはずないわよ。1種類しか覚えられない人が大半なのよ?」


「ギルマスは3神が嘘を言っていると言うのか?」


「そ、そんなんじゃないけど・・・。」


「それの検査方法を俺が教えてもらったから、ギルマスに教えるんだ。騙されたと思ってやってみないか?」


「3神様、私にはそんなこと仰らなかったのに・・・。」


「それはおそらく、俺が全属性の適性を持っているからじゃないかな。このやり方は全属性持ちがいたほうが話が早いからな。」


「いったい、どんな方法かとても気になるわね。」


「意外と簡単だぞ?魔石に属性魔力を込めるだけだからな。」


「属性魔力?」


「ああ、初期魔法を使う要領で、魔石に魔力を込めるんだ。」


「魔石に魔力を込める?意味が分からないわ。」


「実際にやって見せるから、見ててもらっていいか?」


「ええ。お願いできる?」


俺は魔石を一つ拾い上げると、神界でやったように(グランド)を放つ要領で魔石に魔力を込めた。


「えっ!?魔石が黄色くなった!?」


「これが、土属性の魔石だ。この要領で他の5属性も込めていくから、少し待っててくれ。」


しばらくすると、俺とギルマスの前には赤・青・緑・黄・桃・黒の6色の魔石が転がった。


「色で大体の判別は着くと思うが、一応説明するぞ?赤は火、青は水、緑は風、黄は土、桃は光、黒は闇だ。」


「なんで、光魔法が桃色なのかしら?」


「それは俺にもわからん。込めたら桃色になった、としか言いようがないな。」


「それで?これをどうしたら、適性検査になるの?」


「ギルマスは適性は何を持っているんだ?」


「水と風と光ね。」


「なら、火と土と闇の属性魔石に魔力を込めていってくれ。魔石に反応があれば、それがまだ開花してない適性になる。」


「適性もないのに魔力なんて込められないわよ?」


「そこは魔道具を使う要領と同じだ。魔道具にも魔力を込めてるだろ?」


「ああ、そういうことね。わかったわ。なら、火からやってみるわね。」


ギルマスが火属性の魔石に魔力を込めると、魔石は赤く輝きだした。


「えっ!?これってもしかして・・・。」


「ギルマスは火の適性があるってことだな。」


「つ、次は土をやってみるわ。」


ギルマスは土・闇と続けて魔石に魔力を込めたが、魔石には反応はなかった。


「これで、ギルマスは火にも適性があることが判明したな。」


「そ、そんな。火魔法がなかなか覚えられなかったから、適性がないと思っていたのに・・・。」


「あ~、そのことなんだけどな。適性値が高いスキルはさっさと覚えられるが、適性値が低いスキルは覚えるのに結構時間がかかるそうなんだ。だから、適性がないと諦めていく奴が多いらしい。」


「そう。なら私は今からでも、火属性を覚えられるってことなのね?」


「そういうことだな。」


「こうしちゃいられないわ。火属性の魔法スキルを覚えるためにも訓練あるのみよ!」


「ちょ、ちょっと待った。俺はギルマスのためだけに、この適性検査をしたわけじゃないぞ?」


「えっ?私のためじゃないの?」


「ギルマスも含めて冒険者全員のためだ。ギルマスにはこの方法を各支部に伝えて貰いたい。」


「各支部に?」


「ああ。そうすれば、時間はかかるだろうが、冒険者全員が適性検査を受けられるようになるだろ?」


「なるほど。覚える覚えないは各自に任せるとして、やる気がある子は時間がかかっても適性を増やそうとはするわね。そうすれば、冒険者自体のレベルも上がると。」


「そういうことだ。ギルド職員が協力すれば魔石に魔力を込めることもできるだろうし、なにより小さな魔石で出来るんだから、魔石が無駄になることもない。」


「こ、これは革命だわ。わかったわ。早速各支部に伝えて実践してもらうことにするわ。」


「いきなりじゃ話にならんかもしれんから、ここで実績を作ってからでもいいかもしれないな。」


「確かに。私も目の前でやってもらって、信じたくらいだものね。いきなりじゃ、信じてくれないかもしれないわね。」


「全員にやらすのか、それとも何人かのみにやらすのかはギルマスの判断に任せる。」


「魔石に魔力を込めるのはカズマさんがやってくれるのかしら?」


「その辺りはギルド職員にやらせた方がいいんじゃないか?俺がいなかったら属性魔石が作れない、なんて状況は望ましくないだろ?」


「それもそうね。うん。これは面白いことになりそうね。早速職員に召集を掛けて、属性魔石を作らせてみましょう。」


「その前に、ギルマスが作れるかを確認するべきじゃないのか?作れたなら、それを職員の前で実践すればいいだけなんだし。」


「そうね・・・。魔石も余ってることだし、やってみるわ。もちろんアドバイスは貰えるのよね?」


「アドバイスってほどのものじゃないんだがな。初期魔法を放つ要領で魔石に魔力を込める。ただこれだけだからな。」


「それって口で言うのは簡単だけど、意外と難しいのよ?まあ、やってみるけど。」


ギルマスはおもむろに魔石を一つ拾い上げ、魔力を込め始めた。


「こ、これって結構キツイわね。発動をさせずに魔力のみを摘出するのが、こんなにキツイなんて・・・。」


「でも、出来てるぞ?それ水の属性魔石だろ?」


「ええ。なんとか成功してくれたみたいね。これを軽くやるカズマさんってやっぱり規格外よね。」


「俺は初期魔法を使い倒してきたからな。なんとなく直ぐにコツを掴めたんだよ。」


そんな話をしながら、ギルマスは魔石への魔力込めを練習していった。


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