ランクアップ?
「それにしてもこの壁は誰が作ったの?可能性からしたらエレナだけど、エレナ土適性は持ってないわよね?」
「たしか、アイナが持ってたはずだよ?でもアイナの魔力じゃ、ここまでは無理だよね?」
「エルフでもこんな魔力を持っている者はそうそういません。人族のアイナには無理かと。」
「うん、無理。私でも無理なのにアイナに出来るとは思えない。」
「じゃあ、誰がやったのかしら?アイナでもエレナでもない。アンナも適性が違うから無理でしょうし。」
4人はまるで犯人探しをするように誰が作ったのかを調査し始めた。
結果として、
「となると、あそこにいる男性しかあり得ないってことになるわね。」
「ええ~?あの人が?確かに可能性としてはあの人しかいないけど、ホントなのかな?」
「本人に確認するしかないんじゃないでしょうか。」
「ねえ、あなたがやったの?別に責めてるわけじゃない。ただ、真実が知りたいだけ。教えてくれると嬉しい。」
「確かに俺がやったけど?」
「嘘の匂いはしませんね。ということは彼で間違いないでしょう。」
「ねえねえ、どうやってやったの?」
「どうやってやったんですか?込めた魔力はどのくらいですか?」
「あなた意外と凄い人?」
「すまんが、答えられないな。ギルマスからも言われてることだからな。どうしても知りたければ、ギルマスを説得して許可を取ってくれ。」
「ギルマスから!?一体それはどういう・・・。」
「あの~、皆さんはギルマスに用事があったのではないのですか?」
「え?ええ、そうよ。そういえば、 何でこんな事になったんだったかしら?」
「カリナがギルマスを見て暴走した結果だよ。」
「カリナはギルマスを尊敬してますからね。やむを得ないことかと。」
「仕方ない。」
「そういや、ギルマスはもう立ち直った頃か?」
「どうでしょう?ちょっと見てきますね。」
「その必要はないわよ。」
「あっ、ギルマス。立ち直れたんですね。」
「ええ。なんとかね。よくよく考えたら、カズマさんのやることだと思えば納得できたわ。カリナさんは時間かかりそうだけどね。」
「なんかひどい納得のされ方だな。」
「それで?守護者の皆はどうしてここへ?」
「ちょっと、ギルマスに知らせたいことがあって来たんです。お時間を少しだけいただいても良いですか?」
「ええ。それなら私の部屋に行きましょうか。」
「はい。ルコ、カリナを連れてきて頂戴。」
「わかった~。」
「サーヤとリプはルコがカリナを連れてきたら、支えるの手伝ってあげてくれる?」
「わかりました。」
「ん。」
「連れてきたよ~。」
「なら、行きましょうか。薔薇の茨の皆、それに・・・。ごめんなさい。名前を聞いてなかったわね。教えてもらってもいいかしら?」
「俺はカズマだ。歳は18でFランクだ。」
「Fランク?嘘でしょ?」
「いえ、本当よ。カズマさんは先日登録したばかりなのよ。」
「そうなんですね・・・。あっ、ごめんなさいね。あなたのことだけ聞いて、私たちの事何も言ってなかったわね。
私はリオ。守護者の一員で見ての通り狼の獣人よ。ランクはAで歳は秘密にしておくわ。」
「あたしはルコ。Bランクで歳は17だよ。見ての通りドワーフで、好きなものは甘いものだよ。よろしくね。」
「私はサーヤです。Aランクで歳は秘密です。ギルマスとは里にいたころからの知り合いです。」
「リプ。18のBランク。よろしく。」
「それで、3人に支えられてるのがリーダーのカリナ。彼女も私と同じAランクよ。」
「こちらこそよろしく。」
「じゃあ、自己紹介も済んだことだし私の部屋に行きましょうか。カズマさん、訓練はまたの機会にしてもらってもいいかしら?」
「ああ、俺は問題ないぞ。」
「ありがとう。それじゃあ、行きましょう。」
「はい。」
そういうと、ギルマスは5人を連れて訓練所から出て行った。
俺たちもそこそこいい時間になっていたこともあり、解体所へと向かって行った。
「親方~。解体は終わったか?」
「おお~。兄ちゃんか。ええタイミングで来たな。今終わったとこやで。ほれ、これが今回の買取の査定表や。」
「どれどれ。へえ~、結構いい金額するんだな。」
「今回は2匹とも状態が良かったからな。それで?その金額でええか?」
「その前にちょっと聞きたいんだがいいか?」
「ん?なんや?答えられることなら答えるで?」
「アサルトディアの肉って美味いのか?」
「高級品ってなわけでもないけど、そこそこの人気はあるで?癖があるさかいに苦手な人は苦手やけどな。それがどないしたんや?」
「いや、美味いなら自分で調理してみようかと思ってたんだ。」
「なるほどな。美味い肉がええなら、クレイジーカウを狙うか、ハイスピードチキンなんかがええと思うで?
まあ、両方ともこの辺りじゃほとんど見んのが、難点やけどな。」
「なるほど。わかった、いい情報をありがとう。買取に関してはこの金額で問題ない。」
「さよか。ほな、これ持って買取カウンター行ってな。また、ええ獲物仕留めたら持ってきてや。」
「ああ。」
そう言うと俺たちは買取カウンターへと足を向けた。
買取カウンターにて、査定表を出し俺は買取金額を受け取った。
「カズマ、アサルトディアはいくらになったんだ?」
「今回は状態が良かったからか、結構高かったぞ?」
「羨ましいわね。それで?いくらになったのよ?」
「2匹併せて金貨5枚だな。」
「金貨5枚!?」
「ああ、無駄な傷もなかったし、角が折れてたのがちょっと査定に響いたみたいだが、そんなにマイナスにはなってなかったみたいだな。」
「はぁ~、羨ましい限りですね。以前私たちが買取してもらったときは1匹でしたけど、金貨1枚でしたからね。」
「前回と今回のことで、倒し方が買取金額に影響を及ぼすってのがよくわかったから、今度からは倒し方も注意していかないとな。」
「Fランクなのに倒し方にまで注意するなんてあんたくらいなものよ。」
「そうか?」
「基本Fランクは依頼でジャンプラビットとかを討伐しますが、買取金額まで気は回りませんから。」
「まあ、俺はのんびり生活をするために、今働いているようなものだからな。手早く金を稼げるなら、気にもするさ。」
「あんた、爺臭いわよ?若いんだから、もっと夢を持ちなさいよね。」
「夢なら持ってるぞ?働かなくてもいい生活を送ることだからな。」
「それは隠居ではないのか?」
「隠居なんて言い方は止めてくれないか?のんびり生活もしくはスローライフと言ってくれ。」
「どっちも一緒よ。」
「まあまあ、とにかくカズマさんはのんびりとした生活をするために今は働くってことなんですよね?」
「まあな。ただ、必要以上に働く気は今もないがな。金がなくなったらある程度働いて、溜まったらまたのんびりするつもりだからな。」
「カズマらしいというか何と言うか・・・。」
「考え方が爺なだけよ、こいつは。」
「でも、ある意味で羨ましいですね。」
俺たち4人はそんな他愛もない話をしながら宿へと帰っていった。
次の日からの俺の生活は、怠惰の一言で尽きたかもしれない。
アンナ達が依頼に誘ってきても、動きたくなければ受けない。金がある程度減ったら、適当な恒常依頼を受けて(ついでに討伐をして)金を稼ぐ(もちろん買取がメインの収入)。
そんな生活をしていたにも関わらず、特報は突然やって来た。
冒険者になって約一か月、俺はその日も恒常依頼の完了を報告していた。
すると、受付嬢からこんな発言が飛び出した。
「おめでとうございます。カズマさんは今日の依頼を持ってCランクとなります。」
「はぁ?ちょっと待ってくれ。俺はFランクだぞ?なんでいきなりCランクになるんだ?」
「えっ?カズマさん、ギルドマスターから聞いてないんですか?」
「はぁ?一体どういうこと・・・。」
「それについては私から話をするわ。」
「ギルマス。あんた一体何をした?」
「そんなに睨まないでよ。きちんと説明するから、ね?」
「本当にきちんと説明してくれるんだろうな?」
「ええ。もちろん。でも、ここでする話でもないから私の部屋に行きましょう。」
「わかった。」
こうして、自分の知らないうちにFランクからCランクへとなった俺は、ギルマスに説明を求めるのだった。




