ギルドカードについて
「それじゃあ、これがカズマさんの今回の買取金額ね。」
ギルマスはそういうとカウンターの上に硬貨を並べた。
「金貨1枚と銀貨9枚ね。初めての買取でこの金額なんてやっぱり将来有望よね。」
「冗談はやめてくれ。それよりギルドカードは出来たのか?」
「ええ、もう出来てるわよ。ギルドの説明もあるし、受付のほうへ行きましょうか。」
「わかった。」
俺は硬貨を袋へと放り込んでギルマスの後に続いた。
「はぁ~。カズマがあれだとわかっていても、初めての買取で金貨を出されたらちょっと凹むわね。」
「ああ。だが、私たちもカズマには負けられない、と奮起する良いきっかけになったんじゃないか?」
「そうですね。カズマさんほどは無理だとしても、カズマさんから学んだことを生かせば、もっと私たちもやれるはずです。私はカズマさんの背中を追いかけて、もっと強くなって見せます。」
「そうだな。2人ともこれからも頑張ろう。」
「はい。」
「ええ。カズマなんかに負けてたまるもんですか。」
「その意気だ。」
「お~い、3人とも何してるんだ?後ろの人の邪魔になってるぞ。」
「えっ!?あっ、ごめんなさい。」
3人は後ろの人に一言謝るとバタバタとこちらに向かってきた。
「何やってるんだ、お前らは?さっさと移動しないと邪魔になるだろ?」
「すまない。ちょっと話し込んでしまったようだ。」
「気をつけろよ?いくら暇な時間とはいえ、来る人は来るんだからな?」
「3人とも気を付けてね?さて、これがカズマさんのギルドカードになるわ。身分証明書になるから紛失しないように注意してね?」
「ああ、わかっている。紛失しないようにこの袋にでも入れておくさ。」
「そうして頂戴。次はギルドの心得というか決まり事を教えるわね。これを破るとペナルティーがあるから、気を付けて。」
「わかった。」
「それじゃあ、よく聞いてね。」
「1:冒険者ギルドに登録してあることを自覚する
2:人に迷惑をかけない 犯罪を起こした場合ギルド追放
3:ギルド内の物を破損した場合、壊した本人が自腹で弁償する
4:受けれる依頼は自分のランクか、1つ上まで
5:依頼を3回連続失敗するとランクは1つ下がる Fランクの場合、ギルド脱退
6:生きるも死ぬも自己責任」
「以上よ。何か聞きたいことはある?」
「3の壊した本人ってのは、例えば喧嘩をして殴られた拍子にテーブルを壊した場合はどうなるんだ?」
「その場合は殴った方が弁償することになるわね。そのために2があるんですもの。」
「なるほどな。理解した。」
「そう?なら次は依頼の受け方についてね。通常、依頼を受ける場合はボードに張り出されている依頼書とギルドカードを受付に提示することによって、受理となるわ。
でも、恒常依頼の場合は受け方が異なるの。」
「恒常依頼?」
「ええ、専用のボードに張り出されている依頼のことよ。恒常依頼の場合は受付をする必要が無いの。完了時に依頼品とギルドカードを受付に提示することになるのよ。
その場合、「恒常依頼の○○を完了した」って言うことになってるわね。」
「だが、ほとんどの人は「恒常依頼だ」としか言わないんだがな。」
「そうね。大概の人が2つ~3つを掛け持ちで受けてる場合が多いものね。依頼期限もないから余計よね。」
「依頼期限?通常の依頼の場合期限があるのか?」
「ええ、依頼によっては期限が定められているものもあるわ。期限を過ぎると依頼失敗として違約金を支払わないといけないから気を付けてね。
あと、違約金の金額は依頼書に書いてあるから、受けるときはよく読んどいてね。」
「なら、俺はしばらくは恒常依頼を受けていくことにするかな。違約金なんて払う金もってないし。」
「そういえば、カズマさんのランクはどうなったんでしょうか?」
「ん?俺のランクはFからだぞ。当然じゃないか。」
「嘘でしょ!?」
「いいえ、本当よ。いくらカズマさんが将来有望でも、基本は大切にしてもらわないといけないからね。」
「そういうことだ。ギルマス、他には何かあるか?」
「あとは、通常の依頼完了報告のやり方なんだけど、それは見たことあるから大丈夫よね?」
「ああ、さっきアンナがやっていたことだろ?大丈夫だ。それに解らなかったら3人に聞くとするよ。」
「わかったわ。最後にランクについて言っておくわね。ランクはF・E・D・C・B・A・Sとあって、上のランクになるほど報酬が高くなるわ。
ただし、それと比例して違約金や依頼の難度も上がっていくから、よし悪しといったところかしら。
ランクアップは依頼を規定数こなしたら出来るわ。ただし、依頼失敗はマイナス換算していくから、規定数こなしても失敗が多ければランクアップ出来ないから気を付けて。
それじゃあカズマさん、今日から冒険者ギルドの一員として頑張ってください。あなたの活躍を心より願っています。」
「ありがとう、ギルマス。」
「今日のところは依頼ボードの場所を確認してから宿に帰りましょうか。これから頻繁に使うものなんだから覚えといて損はないわよ。」
「それもそうだな。それじゃあギルマス、今日はありがとう。色々してくれて助かったよ。」
「こちらこそ、色々助かったわ。個人的には新しいスキル取得への道を示してくれたことを、とても感謝してるわ。」
「あ~、それについては、やりすぎないようにな?」
「解ってるわよ。エレナさん、時間が合えば一緒に頑張りましょうね。」
「はい。是非とも。」
「アイナ、あとで受付にちゃんと伝えとけよ?」
「わかってる。今アンナが伝えに行っているわ。」
「それならいいんだ。それじゃあ、依頼ボードの場所を教えてもらおうかな。」
「ええ。こっちよ。それじゃあギルマス。失礼します。」
「失礼します。」
「ええ、またね。」
俺たちはアイナの案内で依頼ボードの前に来た。
「右のボードが通常の依頼ボードで、左が恒常の依頼ボードよ。」
「通常の依頼ボードはランクごとに分けられてるんだな。」
「そりゃそうよ。ではないと低ランクが間違えて高ランクの依頼を受ける、なんて事故が起きちゃうじゃない。」
「恒常依頼はランクフリーですから、低ランクであろうと高ランクであろうと受けられますよ。」
「懐に余裕があるのなら、初めは恒常依頼で依頼というものに慣れるがいいかもしれないな。」
「了解。その辺りは考えてるから心配はいらないさ。」
「それじゃあ、宿屋に戻りましょうか。そろそろ夕飯時でしょ?」
「正確にはもう少し時間はあるがな。カズマはこの後どうするんだ?」
「俺はちょっと買い物をして来ようかと思ってる。3人も荷物が駄目になったんだから、新しいの買う必要があるんじゃないのか?」
「私たちは明日にでも買いに行くわよ。依頼を完了したばかりだから、ちょっとゆっくりしたいのよね。」
「そうだな。体を休めることも冒険者には必要なことだ。」
「ですね。」
「わかった。それじゃあまた宿でな。」
「ええ。早く帰ってこないと夕食食べ損ねるわよ。」
「そんなに遅くなるつもりはないさ。」
「それじゃあ、後で。」
「ああ。後でな。」
俺は3人と別れ街を軽く散策した。
その際に人一人が入れる程度の大きさの樽を発見したのだが、購入は見送った。
よくよく考えれば、異世界ネットでバスタブを購入すればいいという結論に至ったからだ。
俺は宿に戻ったら異世界ネットを使ってみようと考えながら、街の散策を続けた。




