解体所にて
途中でお目汚しな喋り方が出てくるかもしれません。
その点をご理解の上お読みください。
「3神の過保護は置いとくとして、ランクのことは了解した。他には何かあるか?」
「そうね・・・。う~ん、今のところ特にはないわね。時間を取らせてごめんさないね。」
「いや、こっちこそ手間を取らせてすまなかったな。」
「そうそう、忘れるところだったわ。ギルドカードなんだけど、後で渡すわね。」
「買取前に貰えるのか?」
「カードの準備に時間がかかるから、先に買取をしてしまいましょう。」
「わかった。面倒をかけるがよろしく頼む。」
「いえいえ。じゃあ3人が待っているでしょうからロビーへ行きましょうか。その前にこの紙を保管庫に入れるからちょっと待ってね。」
そういうとギルマスは紙をもって別の部屋へと移動して行った。
「お待たせ。じゃあ行きましょうか。」
少しの間部屋で待っていると、ギルマスはそう俺に告げた。
部屋に帰って来た時にはギルマスの手には紙はなかったので、どこかに保管してきたのだろう。
話も終わっていたので、俺とギルマスは連れ立ってロビーへと向かった。
「あっ、来た来た。話は終わったの?」
「ああ、終わったぞ。後は買取をしてもらうだけだな。」
「あの・・・、魔法のこと忘れてないですよね?」
「ああ、そうだったな。ギルマス、どこか練習できるような場所あるか?」
「そうね・・・。なら、訓練所はどう?今の時間なら予約は入ってなかったと思うから、後で確認しておくわね。」
「すまないが、頼めるか?空いていたらそこで教えるよ。」
「わかったわ。じゃあカズマさん、カウンターへどうぞ。買取の手続きを行うから。」
「ギルマス自らか?」
「ついでよ、ついで。」
「ギルマスがいいなら頼むとするか。」
「ええ。」
俺たちはギルマスの後について買取カウンターへと向かった。
「それじゃあ、この紙に買取希望の魔物と数を記入して。記入したら、解体所へと案内するから。」
「こちらで引き取りたい部位がある場合はどうしたらいいんだ?」
「その場合は解体所で言ってもらえればいいわ。その分買取金額は下がるけど。」
「あと、もう一点。すでに解体してある場合も、解体所へと行くことになるのか?」
「ええ。解体所と言ってるけど、買取所でもあるのよ。ここはあくまで受付なの。査定は解体所でするのよ。」
「なるほど。記入はこれでいいか?」
「確認するわね。・・・記入にミスはなさそうね。じゃあ解体所へと案内するから、着いてきて。」
「カズマ、ギルドカードの提示をしなきゃ。忘れてるわよ。」
「カズマさんのギルドカードは今作成中なの。だから今回は提示してもらわなくても構わないわよ。」
「あっ!?ごめんなさい、余計なことを言いました。」
「いいえ、本来は記入した紙と一緒にギルドカードの提示が必要なことを伝え忘れてたから、ちょうど良かったわ。逆に言ってくれて助かったわ。ありがとう。」
記入を終えた俺たちは、ギルマスの案内で解体所へと移動をした。
解体所の見た目は造船所のような大きな建物だった。
「へぇ~。結構デカいんだな。」
「そりゃそうでしょ。どれだけの魔物が持ち込まれると思っているのよ。」
「そうね。それに、一応大型の魔物が持ち込まれてもいいようにしているしね。まあ、持ち込まれたことは一度もないんだけど。」
「なるほどねぇ~。」
「ボンガさんはいる?」
ギルマスは近くにいた若い男性に声をかけた。
「ギルマス!?わざわざ、足を運ぶだなんて何かありましたか?」
「いいえ、若く将来有能な冒険者を案内してきただけよ。それより、ボンガさんは?」
「ああ、親方ですか?親方なら奥にいますので呼んできましょうか?」
「お願いできる?」
「わかりました。ちょっと待っててください。親方~、親方ってば~。」
若い男性は声を張り上げながら奥へと走っていった。
「なあなあ、若く将来有能ってのは俺のことなのか?」
「そうよ?カズマさん以外誰がいるの?」
「≪薔薇の茨≫の面々がいるだろ?」
「もちろん、彼女たちも有能よ?でも、ここには何回も来てるでしょうから、私が案内するまでもないのよ。」
「確かに3人は冒険者歴が長いんだから、利用したことはあるよな。しっかし、将来有望ってのは持ち上げすぎじゃないか?」
「そうでもないわよ?冒険者登録をしてないのに、フォレストボアを倒したっていうなら有望も有望よ。
ああ、そうそう。あなた達に確認したいんだけど、カズマさんがフォレストボアを1人で倒したって言うのは本当なの?」
「それは本当です。カズマがいなければ私たちはやられていたかもしれない。」
「でも、あなた達なら問題なく倒せるんじゃない?」
「それは、そうなんですが。不意打ちを喰らってしまいまして・・・。」
「なるほどね。そこを助けられたわけね。」
「はい。」
「プレインウルフはどう?」
「プレインウルフに関しては倒すところは確認していません。ですが、倒し方と死体の状況を見て嘘はついていないと判断しました。」
「そう。あなた達が言うなら間違いはなさそうね。ありがとう。」
「いえ。それにフォレストボアに関しては証言すると約束してましたから。」
「どないしたんや、ギルマス。なんか用か?」
どくとくな喋り方が聞こえてきたので振り向くと、そこにはずんぐりむっくりとした男性が、こちらに向かってきていた。
「ボンガさん、忙しいところ悪いわね。」
「いんや、ちょうど暇してたところやし、かまへんよ。そんでどないしたんや?」
「ここに来る以上買取しかないでしょ?」
「ギルマス自らが案内して、買取かいな?獲物はなんや?」
「フォレストボアとプレインウルフが6匹よ。」
「仕留めたんは≪薔薇の茨≫か?なかなかやるようになったやないか。」
「いいえ、仕留めたのはここにいるカズマさんよ。」
「この若い兄ちゃんが?ホンマかいな?」
「本当よ。カズマさん、悪いんだけど死体を出してもらっていいかしら?」
「ああ、それは構わないんだが、どこに出せばいいんだ?」
「ほしたら、こっちに出してもらえるか?フォレストボアはここで、プレインウルフはこっちな。」
俺は指示された場所へフォレストボアとプレインウルフ6匹を出した。
「ほっほぉ~。マジックバッグかいな。兄ちゃん、ええもん持ってるな。なかなか手に入らんのやでそれ。
それに容量も結構なデカさやし、取られんように気ぃ付けや。」
「ああ、気を付けるよ。それより解体と査定を頼めるか?」
「もちろんや。と言いたいとこやけど、なんやこのプレインウルフは?下手な解体しおってからに。こんなん買取金額ダダ下がりやで。」
「ああ、それは俺が解体の練習に使ったものなんだ。無理に買取金額を付ける必要はないんだ。なんなら処分してくれるだけでありがたい。」
「なんや兄ちゃんが解体したんかいな。練習するんはええことやけど、もっと解体しやすい獲物選んだほうがええで?
練習にお勧めなんは、買取金額もほとんどつかんジャンプラビットやな。あれやと皮と牙、後は肉くらいしか値段つかんからな。値段もそんなに高うないさかいに、失敗してもそない変わらへんで。」
「なるほど。良いことを聞いた。今後はそうさせてもらうよ。」
「うんうん。若いうちは年寄りの言うこと聞くもんやで。って誰が年寄りやねん。」
「「「「「・・・」」」」」
「全員でそない冷たい目ぇせんでもええやん。兎に角、この量やと解体と査定で1時間30分~2時間はかかるさかいに、その頃また来てや。」
「わかったわ。それじゃ皆ロビーに戻りましょ。」
「すまんが、解体と査定をよろしく頼む。」
「了解や。あんじょうやっとくさかいにな。」
俺たちはギルマスに連れられ解体所を後にした。
「じゃあ、次は訓練所ね。ちょっと見てくるわ。」
「よろしくお願いします。」
「いいの、いいの。私も教えてもらえるんだから、このくらいはやるわよ。」
「ねえ。カズマ、ホントにいいの?氷魔法なんてあんたしか出来ないんだから、秘密にしといた方が得なんじゃないの?」
「そうか?誰にでも出来るようになったほうが得だと思うけどな。俺以外も使えるとなれば、俺への今後の負担が減るからな。未来への投資だと思ってるよ。」
「なるほど、そういうことか。カズマしか使えないのならば、必要な時は必ずカズマが出張らなくてはならないが、使える者が増えればカズマが出張る必要性は少なくなる。
そのためにギルマスとエレナに教えると言うわけだな。」
「しょゆこと。」
「あんたって時々変な喋り方するわよね?その喋り方ってなんか意味あるの?」
「いや、気にしないでくれ。噛んだだけだ。」
「そうなの?」
「ああ。」
「お待たせ。誰も使って無かったから、今から2時間の予約入れてきたわよ。早速行きましょ。」
「ありがとうございます、ギルマス。」
「いいのいいの。私も新しいスキルを覚えられるかもってワクワクしてるんだから。さあ、こっちよ。」
俺たちは訓練所へと足を向けた。
訓練所は解体所とは反対方向にあり、建物の大きさも学校の体育館程度の大きさしかなかった。
「解体所を見た後だと訓練所が小さく見えるな。」
「まあ、こっちは頑丈さをメインに考えて建ててあるからね。さあ、さっそく教えて頂戴。」
「私もお願いします。」
「わかった。アンナとアイナはどうする?」
「私は適性が無いから遠慮しておくよ。」
「あたしも同じく。アンナと組稽古でもしておくわ。」
「了解。それじゃあ2人とも組稽古の邪魔になると悪いから少し場所を移動しよう。」
俺はエレナとギルマスを連れて奥へと移動した。
ボンガの喋り方ですが、作者が色々なところで聞きかじった方言を織り交ぜています。
ここはこうじゃないと変とか、ここはこう言うはずだ。などのご意見はあるとは思いますが、何卒ご了承いただけますようお願いいたします。




