ギルドランクについて
「じゃあ続けるわね。カズマさんのスキルは・・・」
ゴクッ
誰かが生唾を飲んだのか、喉が鳴る音がした。
「スキルだけで19個あるわ。」
「19!?」
「嘘でしょ!?」
「そんなにですか!?」
3人は驚愕した顔で俺を見てきた。
「そんなに驚くようなものか?そういや、ジュータスにも驚かれたな。」
「ジュータスとはシャースの街の警備兵長のことかしら?」
「ああ。ちょっとあってな、お互いのステータスやスキルを確認したことがあるんだ。」
「なるほど。あの人ならば守秘義務の必要性を理解しているから、喋ることはないわね。」
「なあ、ギルドマスター。まどろっこしいのは苦手だから、3人にギルドマスターが見たものを見せたほうが早いんじゃないか?」
「確かに口で説明するよりかは、実物を見せたほうが早いけど、いいの?」
「百聞は一見に如かず。人から聞くより自分で見たほうが納得できるもんだ。」
「わかったわ。それじゃあ、これを見て。」
ギルドマスターは一枚の獣皮紙を差し出してきた。
「これはカズマさんのスキルを写したものよ。もちろん悪用するつもりはないから、この話が終わり次第私が厳重に保管するわ。」
「わかった。」
俺たちは差し出された獣皮紙を眺めた。
Lv:11
名前:カズマ
性別:男
年齢:18
種族:人族
職業:なし
スキル
剣術1、時空間魔法3、精神異常耐性1、鑑定2、氷魔法1、料理2、鍛冶1、錬金術1、農業1、裁縫1、建築1、木工細工1、火魔法2、水魔法2、風魔法1、土魔法3、光魔法1、闇魔法1、解体1
固有スキル
状態異常耐性、健全、ステータス上限開放、無詠唱
「なに、これっ・・・。」
「スキルの数が・・・。」
「スキルの数もそうだが、固有スキルの数もおかしいぞ・・・。」
「私が、重要な内容と言った理由が理解できたかしら?」
「はい・・・。これは、このスキルの数は異常です・・・。」
「私が「他人に漏らすことを一切禁じる」と言った理由がこれよ。
これが外に漏れるとどうなるか、あなた達なら理解できるわよね?」
「はい・・・。」
「これが知れたら、冒険者が大挙してカズマさんに押し寄せますね。
なにせ、カズマさん1人で近中遠を全てこなせるんですから。」
「さらに言えば、荷物や移動の心配もいらないわよね。時空間魔法っていう便利なスキルがあるんだから。」
「食事の心配もいらないな。野営の時に温かい食事が取れるのは、正直ありがたかったからな。」
「えっ!?ちょっと、解体も習得したの!?旅の間に2~3回教えたくらいよね?あんた習得早すぎない?」
「そう言われても、習得できたんだからどうしようもない。」
「氷魔法も旅の途中で使っていたから、気になっていたんです。聞いたこともないスキルだったので、どうやったら習得だろうと・・・。」
「絶対の自信はないが、こうじゃないかというアドバイスで良いならできるぞ?」
「えっ!?いいんですか!?」
「ああ。エレナなら時間はかかるが覚えられるんじゃないか?ただし、あくまでアドバイスだけどな。」
「ぜひお願いします!!」
「お、おう。」
「カズマさん、私も構わない?」
「ギルマスもか!?まあ、水魔法を覚えていたらいけるんじゃね?」
「じゃあ、後で私にもよろしくね。」
「了解。この話が終わったらな。」
「「ありがとうございます。」」
「カズマ。固有スキルの無詠唱とはあの無詠唱か?」
「どの無詠唱かは知らないが、詠唱なしでスキルの発動はできるぞ。」
「でも旅の間、あんたずっと詠唱してたじゃない。」
「まだ、使い慣れて無くてな。忘れちまうんだ。」
「カズマさんって、ほんとに何者なんでしょうか・・・。」
「何者と言われても俺だ!としか言いようがないな。」
「あなた達がカズマさんから本当に信頼されたら、話をしてくれるかもしれないわね。」
「ギルマス?何か知っているんですか?」
「いいえ。ただ、今までのカズマさんの言動を見て、思っただけのことよ。」
「これ以上深く聞くなら信頼関係を結べということか・・・。」
「そういうことね。カズマさん、私からも一つ聞いてもいいかしら?」
「答えられることならな。」
「ありがとう。実は、固有スキルのステータス上限解放の効果を教えてほしいのよ。
極稀に冒険者の中にも持っている者がいるんだけど、効果がわからなくて。」
「確か、「ステータスの上限がなくなる 9999を超えると???と表示される」だったかな。」
「なにその効果!?9999まで上げれる人なんていないわよ?その前になんであんたスキルの効果がわかるのよ?」
「アイナさんは知らないの?鑑定のスキルを使えば自身のスキル効果を見れるのよ?」
「そうだったんですか!?」
「ええ、今判明しているスキル効果は、代々の冒険者が鑑定のスキルを使って調べてくれたから、わかっているの。だから、メジャーどころは抑えてるんだけど、希少スキルは不明なものが多いのよ。」
「そうだったんですね。すみません、話の腰を折っちゃいました。」
「気にしなくていいわよ。」
「では話を戻すが、ステータス上限解放は言っては悪いがハズレスキルだと思ってしまうな。」
「そうね。だけど、スキルがある以上、9999を超える人が過去に存在したのか、今後出てくる可能性があるのかもね。」
「そうなのでしょうか?」
「3神様は無駄なスキルはお作りにならないわよ。」
「スキルって3神が作ったのか?」
「私たちはそう教えられてるわね。実際はわからないけど。」
「なるほどねぇ~。」
「それよりカズマ。3神様に対して3神なんて言い方失礼よ!」
「ん?ああ、悪い悪い。3神様なんて言いなれてなくてな。気を付けるよ。」
「ほんと、気を付けなさいよ?」
「ああ。」
「カズマさん。有益な情報をありがとう。おかげで、効果が不明だったスキルの一つが判明したわ。」
「どってことないさ。他に聞きたいことはあるのか?」
「そうね・・・。今は大丈夫かしら。」
「そうか。なら、話は終わりかな?」
「ええ。スキルの話は終わりになるわね。」
「スキルの話は?ってことは他にもあるのか?」
「ええ。これ以降は本当に個人的な話になるから、2人きりでの話となるわ。3人には悪いけど退室をしてもらえるかしら。」
「それも聞くわけにはいかないのですか?」
「これは教えるわけにはいかないわね。」
「そうですか。わかりました。カズマ、ロビーで待っているから話が終わったら来てくれ。2人とも行こう。」
「わかりました。」
「そうね。」
3人は連れ立って部屋から出ていった。
「それで?個人的な話とは?」
「カズマさんのギルドランクについてよ。3神様から聞いた限りなんだけど、おそらくカズマさんのステータスだと、Sランクでも足りないと思うの。
だけど、新人として入ってきて、いきなりSランクになることは無理なのよ。」
「それはまあ、当然だな。俺もいきなりSランクなんかになって目立ちたくはないしな。」
「だから、適度な功績をあげてもらって順次あげていくことにしようと思うの。
そういえば、あの3人と旅をしていたと言っていたけど、その途中で魔物は倒した?」
「ああ、フォレストボアとプレインウルフを倒したな。」
「フォレストボアとプレインウルフですって!?数は何匹?あと、あの3人と協力して倒したの?」
「フォレストボアは1匹だが、プレインウルフは5~6匹倒したかな。倒したのは俺1人だ。それがどうした?」
「それをあの3人は証明できる?」
「フォレストボアはできるな。プレインウルフは1人の時に倒したから証明は無理だな。ただ、どうやって倒したのかは説明できるぞ。」
「その死体は持ってるかしら?持ってるなら見せてもらいたいんだけど。」
「この後買取してもらおうかと思っていたから、その時でいいなら構わないぞ。」
「ありがとう。これでランクについてのいい考えが浮かんだわ。」
「どんな考えだ?」
「まず、カズマさんにはFランクから始めてもらうわ。」
「まあ当然だな。それで?」
「フォレストボアとプレインウルフを本当に1人で倒したなら、その実績を考慮してFランク任務を1回達成したらEランクへ昇格させる。そして、Eランク任務を同じく1回達成したらDランクへと昇格させるわ。」
「おいおい、それは無理がないか?フォレストボアやプレインウルフを倒したくらいで。」
「いいえ、フォレストボアは討伐ランクD、プレインウルフは集団で討伐ランクDとなっているけど、それはこちらがパーティーを組んでの話よ。
ソロだと捕獲ならCランクでもいけるかもしれないけど、討伐を考えるならBランクは必要となると考えられるわね。」
「そんなにか?確かに狼はしつこかったが・・・。」
「とにかく、この街にいる間のランク上げについては私に任せて。3神様からも気を配るようにと仰せつかっているしね。」
「そういや、神託を受けたと言っていたな。どういうことだ?なんでギルマスが神託を受けたんだ?」
「それは私も3神様から加護をいただいているからよ。」
「ギルマスも!?」
「ええ。私以外にも3神様から加護をいただいている者は、全員神託を受けていると思うわよ?」
「なんでまた?」
「3神様が仰っていたからね。」
「なんたるちぁ。そこまでしなくてもいいんだが・・・。」
「カズマさんは3神様に大事にされているようね。」
「過保護が過ぎるの間違いだろ?そういや、なんで俺が3神からの神託にあったカズマだって解ったんだ?」
「それは、あなたのスキルの多さと、あれには書いてなかったけど加護が表示されてたからよ。」
「加護まで表示されるのか?」
「ええ、余計な情報を与える必要はないと思って書かなかったんだけどね。ああ、受付の娘には口外しないように口止めしてあるから、そこは心配しなくてもいいわよ。」
「そこはギルド職員のマナーを信じてるよ。」
「ふふっ、ありがとう。」
俺はギルマスの笑顔に見惚れながら、3神の過保護さに呆れていた。




