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警戒されました

「君が助けてくれたのか?」


リーダーであろう女性が俺に問いかけてきた。


「ああ。なんとかして助けないと、と思って無我夢中でやったんだが、倒せてよかった。」


「そうか。助太刀感謝する。君が助けてくれなかったら、私たちはやられていただろう。」


「あ、ありがとうございます。」


「ありがとう。」


3人は口々にお礼を述べてきた。


「しかし、なぜ隠れていたのだ?あれほどの威力のスキルなら隠れなくとも倒せるだろ?」


「それは・・・。」


「そんなの助けてくれたのだから、いいじゃありませんか。」


「いいえ。助けてくれたことには感謝するけど、何か別の目的があったのかもしれない。

 そこは確認をしとくべきよ。」


「それはそうですが・・・。」


「そうだな。助けてくれた恩人を疑いたくはないのだが、隠れていた理由を聞かせてもらえないか?」


「理由か。信じてもらえないかも知れないが、俺は戦い慣れしてないんだ。

 だから、隠れていたんだ。」


「あんな威力のスキルを打てるのに?にわかには信じ固いわね。」


「まあ、そう思うのは当然だよな。でも事実だ。

 実際、ここに来る前に狼に襲われたんだが、それも相手の攻撃の当たらない木の上からスキルを打って倒したしな。」


「嘘くさいわね。」


「なんなら倒した狼の死体をみるか?正面から倒してないことがわかるぞ?」


「死体ってどこにあるのよ?あんた何にも持ってないじゃない。」


(しまった、袋はアイテムボックスにしまったままだ・・・。袋での偽装が出来ない以上、正直に言うしかないか・・・。)


「ん?ああ、俺はアイテムボックスが使えるんだ。そこに入れてる。」


「アイテムボックスですか!?と言うことは、あなたは時空間魔法が使えるのですか!?」


「あっ、ああ。」


「羨ましいです。そんな珍しい魔法を使えるなんて・・・。

 私も使いたいのですが、どうやって覚えたらいいのかわからなくて・・・。」


「そ、そうなのか。」


「はい・・・。」


「そんなことより、さっきの話の続きよ!

 あんたがアイテムボックスを使えるっていうなら、ここにその狼の死体を出して貰える?」


「そんなに目くじらをたてなくてもいいじゃないですか。この人は助けてくれたんですよ?」


「なに甘いこと言ってんのよ。こいつが助けたふりをして、私たちに近づくのが目的の場合もあるんだからね。」


「そんな風には見えないが・・・。」


「警戒しとくに越したことはないのよ。さあ、出してちょうだい。」


「わかった。」


俺はアイテムボックスを唱え狼の死体を彼女たちの目の前に出した。


「ここを見てくれ。背中から腹にかけて傷が付いてるだろ?」


「確かに付いてるな。こんな傷は上からの攻撃でしか付かないだろう。」


「確かにそうですね。こんな傷、上からでしかありえません。」


「確かにね。ふぅ、疑って悪かったわね。でも、警戒するのにも理由があるのよ。そこは理解してくれると助かるわ。」


「ああ、そこはなんとなく理解してるから問題ない。俺としては疑いが晴れたら、それで構わないからな。」


(おそらく女性のみのパーティーだからだろうな。助かった直後っていうのは安堵感から警戒がもっとも緩む時でもあるからな。)


「ところであの猪はどうすればいいんだ?あんた達の獲物なんだろ?」


「いや、君が倒したのだから、君の好きにしてくれて構わない。

 君がいなければ私たちは死んでいたかもしれないんだからな。」


「そうですね。」


「そうね。あいつはあんたが倒したんだから、あんたに権利があるわ。」


「あんた達がいいのなら、遠慮なくもらうとしよう。」


俺は死体に近づき、アイテムボックスへとしまった。


「そういえば、助けてくれた恩人なのに名前を聞いていなかったな。よければ教えてくれないか?」


「うん?ああ、いいぞ。俺はカズマ。歳は18だ。」


「カズマか。改めて礼を言わせてくれ。助けてくれてありがとう。

 カズマが助けてくれなかったら、私たちは全滅していたかもしれない。」


「気にしなくていい。助けられてよかった。そういえば、あんた達の名前を聞いて無かったな。」


「確かにそうだな。助けてもらったのに名乗っていなかったな、失礼した。

 私はアンナ。歳は19で、このパーティー≪薔薇の茨(ローズソーン)≫のリーダーをしている。

冒険者ランクはCだ。」


「私はエレナと言います。歳は17です。冒険者ランクはDです。」


「あたしはアイナよ。歳とランクはアンナと一緒。」


「アンナ、エレナ、アイナか。」


(よく似た名前で覚えにくいな。まあ、無理して覚える必要もないか。そこまで長い付き合いになるとは思えないしな。)


「ところで、カズマはこれからどうするんだ?私たちは街へ戻ろうかと思うんだが。」


「俺も街へ行こうとしていたんだ。あんた達はどこの街へ戻るんだ?」


「私たちはジェスの街から来たんです。」


「そりゃ偶然だな。俺の次の目的地もジェスの街なんだ。」


「そうなのか?なら、一緒にいかないか?カズマがよければ、だが。」


「こちらとしても、その誘いはありがたいが、いいのか?」


「ああ。こちらとしても、カズマほどのスキルの使い手が一緒にいてくれれば、心強いしな。」


「確かにそうね。」


「そうですね。」


「いや、俺は戦い慣れしてないんだが・・・。」


「あれだけの威力のスキルを使えるカズマがいる、それだけでも安心感が違うんだ。」


「買い被りすぎだ。逆に荷物になると思うぞ。」


「そん時はそん時よ。ってか、あんた剣を下げてるのに魔法系のスキルしか使わないの?」


「ん?この剣か?この剣は見せかけだ。剣を下げていると相手が警戒するだろ?」


「確かにそうだけど・・・。勿体ないわね。

 そうだ、戦い慣れしてないってなら、街へ帰る間に私が稽古付けてあげようか?」


「ふむ。それはいいかもな。私は獲物が拳だから戦い方は違うが、稽古相手くらいならなれるしな。」


「私も魔法系のスキルならお手伝い出来ますよ。」


「いや、そこまでしてもらわなくとも。」


「何言ってんのよ。せっかく剣を持ってるのに使わないなんて、剣に対する侮辱よ。

 剣は使ってこその、剣なのよ。剣を持ってるってことはスキルも持ってるんでしょ?持ってなくても使ってれば覚えるんだから。」


「それはそうだが。」


「ああ~、もう。うじうじしないで、そこはありがとうって言えばいいのよ。」


(アイナは愛神に近いものを感じるな。これは何を言っても無駄だな・・・。

 しかし、短い時間でも稽古をつけてもらえれば、多少なりともマシになるのも確かか。

 稽古と実践は違うだろうが、ウサ公の時のような無様は曝したくないのも事実。ここは一つお願いするか。)


「わかった。短い時間だが頼めるか?」


「こっちから言い出したんだから、勿論よ。因みに剣術スキルは持ってるの?それによって稽古内容が変わるから教えてくれるなら、教えてくれる?」


「教えてもらうのに隠すなんてことはしないさ。一応持ってるぞ。レベルは1だがな。」


「レベル1ね。わかったわ。初歩からの方がいい?」


「初歩がどの程度のことを言うのか知らんが、ずぶの素人に教える感じで頼む。」


「なら、基本となる構えや心構えからね。そうとなると、組稽古は街に着くまでには無理だけど、構わない?」


「ああ、それで構わない。よろしく頼む。」


こうして俺は街へ行く間に剣術の稽古をすることになった。



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