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謝罪合戦

俺とジュータスは床掃除を終え、食事を待っていた。


コンッコンッ


「食事をお持ちしました。」


「入れ」


「失礼します。」


食事を持って入ってきたのはユーイさんだった。


「ちょうどよかった。食事を終えたら呼ぼうと思ってたんだ。」


「えっ!?」


「おい、カズマ。何か言うことあるんじゃないか?」


「あっ、ああ。ユーイさん先ほどはすみませんでした。助けようとしたとはいえ、あんなことになるなんて・・・。

 本当に申し訳ありませんでした。」


「い、いえ。私もすみませんでした。助けてもらったのに、あんなことをしてしまいまして。」


「いえ、あんなことがあれば、驚いてあのような行動に出るのは当然だと思います。

 もう少し早く行動を起こしていれば、結果は違ったのでしょうけど・・・。」


「それをいうなら、私が躓かなければ事故は起こらなかったんです。」


「いえ、しかし。俺が・・・。」


「いいえ。私が・・・。」


お互いに自分が悪いと言い合ってると


「そこまでにしておけ。あの事故はどちらとも被害者。それでいいじゃないか。」


「ですが、兵長。」


「そこまでだ。お前もカズマも自分が悪いと思って、相手に謝ったのだろ?なら、お互いにそれを受け入れろ。

 そしてそれでこの話は終わりだ。いいな?」


「・・・わかった。」


「・・・わかりました。」


「ではカズマさん、兵長失礼いたします。」


「ああ、ご苦労だった。」


「ありがとうございます。」


ユーイさんは食事を机に置くと、トレイを持って出て行った。


「さあ、食事にしよう。こっちに来て初めての食事を楽しんでくれ。」


「ああ。これがパン包ってやつか。美味そうだな。(フランクフルトのソーセージを野菜や薄切り肉に変えたものって感じだな。)」


「この料理は作り方は挟むだけと単純なんだが、それゆえにソースや中に入れる具材の相性で大きく味が変わるんだ。

 海辺の街じゃ魚を挟んだりもするらしいぞ。」


「へぇ~、場所によって挟む具材も変わるんだな。いつかその魚を挟んだパン包も食ってみたいな。」


「ああ、パン包の味は無限にあると言われてるくらいだからな。

 冒険者なんかは、これを目当てに街を移動するやつもいるくらいだそうだ。」


「それはそれですごいな。うん、美味い。サッパリとしたソースが野菜によく合っていて、俺はこの味好きだな。」


「気に入ってくれたなら、なによりだ。この街にもパン包を売ってる店が何軒もあるから、今度行ってみるといい。」


「ああ、そうするよ。ふぅ~。ごっそうさん。」


あっという間にパン包と飲み物を胃の中に収め、俺は腹をポンポンと叩いた。


「もう食べたのか?早食いは体に良くないぞ?」


「腹が減り過ぎてたからな。いつもはもっと時間をかけて食べてるよ。」


「それならいい。そういえば、お前この後はどうするんだ?」


「この後?」


「ああ、聞くことは聞いたからな。無罪放免だ。」


「無罪放免って俺なんもしてないぞ。」


「言葉のあやだ。それで?どうするんだ?」


「とりあえず、宿を決めて、街の散策をしようかと思ってる。」


「ふむ。ならば案内をつけてやろうか?」


「いや、それは遠慮しとくよ。ブラブラとあてもなく歩いて、気になった店にフラッと立ち寄る。

 そういう散策を楽しみたいんだ。」


「そうか。まあ、楽しんでくれ。ああ、入街税の銅貨5枚は俺がおごってやる。」


「いいのか?」


「構わないさ。すごいものを見せてくれたお礼だ。勿論口外はしないから安心しろ。」


「それについては信じてるよ。」


俺はジュータスとそんな会話をした後、ジュータスの案内で兵舎を出た。


「宿屋なら、この道をまっすぐいった右手にある。

 宿屋の名前は熊の蜂蜜亭といって、わかりやすい看板が出てるからすぐわかると思うぞ。」


「わかった。ありがとな。」


「おう。あと、面倒事を起こしてくれるなよ?お前を捕まえるには兵士が何人いても足りんからな。」


「起こさねえよ。」


「それと、人前でアイテムボックス使うなら気をつけろよ?無詠唱で使うと面倒ごとが起きるからな。

 回避したいなら適当な大きさの袋を買って偽装したほうがいい。

 そん時は「マジックバックなんで」とでも言えばいいさ。」


「なるほど。参考にさせてもらうよ。」


そんな会話をし、俺はジュータスと別れ、教えてもらった宿屋へと足を向けた。


「ここか。」


教えてもらった宿屋はすぐにわかった。熊が蜂蜜を垂らしてる看板がどでかくあったからだ。


「いらっしゃい。泊まりかい?それとも食事かい?」


宿屋に入ると、女将さんだろうか、元気がよく恰幅のいい女性が声をかけてきた。


「泊まりで。」


「何泊だい?うちは1泊銀貨1枚。支払いは前金で頼むよ。

 朝食は付くけど、昼食・夕食は自分でなんとかしとくれ。そこの食堂でも取れるからさ。

 あと、連泊の途中でキャンセルする場合、返金はできないよ。」


「とりあえず、2泊で頼む。」


「あいよ。2泊で銀貨2枚になるよ。朝食は時間になれば伝えにいったほうがいいかい?」


「じゃあ、これで。出来れば伝えてもらいたいな。」


俺はポケットに手を入れ、さもそこから銀貨を取り出したように細工をしながら、アイテムボックスから取り出した銀貨を女性に渡した。


「まいど。それじゃ部屋は2階の一番手前だよ。これが鍵だから、出かけるときはうちの従業員に返しとくれ。

 それと連れ込みは遠慮しとくれよ。うちはそういう宿屋じゃないんだ。」


「(連れ込みって・・・。そんなことしねえよ。)」


「あと、あたしゃこの宿屋で女将をやってるから、うちのことで何かあったら言っとくれ。」


「わかった。何かあれば言わせてもらうよ。」


俺は指定された部屋へと入り、一息ついた。


「こざっぱりとした部屋だけど、ベッドがあるのはありがたいな。やっと体を休める場所を手に入れた・・・。」


俺はベッドの上に腰かけ今から何をするか考えた。


(とりあえず、散策をしながら買い物をしなくちゃな。替えの服はもちろん、食器や調理器具、あと食材なんかもいるか。

 それから、専門書なんかもあればいいな。手斧なんかもあった方がいいだろうけど、道なき道を移動をするわけでもないから、それはあと回しでも問題無いか。)


(今は考えつかなくても散策をしてたら何かいいのがあるだろう。スキルの確認も必要だけど、それは夜にやればいいしな。)


「うっし。ちょいと街ブラとしゃれこみますか。っとその前に袋だけは買っとかないとな。」


俺はアイテムボックスから多少のお金を取り出し、ポケットに突っ込んで部屋をあとにした。



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