ラッキースケベ発動!!
ついにラッキースケベが発動しました。
ラッキースケベって場合によっては社会的に抹殺されかねませんよね?
恐ろしいスキルだ。
ジュータスは戻ってくるなり
「少し待っててくれ。すぐに誰かくるからな。パン包でいいか?」
「ああ、任せるよ。そういや、あの水晶で何をしたんだ?」
「ん?ああ、あの水晶に魔力を流して、誰か来てくれるように頼んだんだ。」
「連絡の鈴と同じようなものか?」
「そうだ。水晶は緊急ではなく用事があるときに使うものだがな。
まあ、貴族様がベルを使って使用人を呼ぶだろ?あれみたいなものだよ。」
「はぁ~っ。便利な道具がたくさんあるんだな。」
「一応ここは兵舎だからな。」
「それにパン包だっけ?どんな料理なんだ?」
「パン包を知らないのか?まあ、別の世界から来たのなら知らなくて当然か。
パン包ってのは、白パンに何種類かの野菜や薄切りの肉を挟んだものだ。タレは作る店によって違うし、挟む野菜や肉によっても味が変化する。店々によって個性が出る料理だよ。」
「(サンドイッチみたいなもんか?)へぇ~。旨そうだな。聞いてるだけでも腹が減ってきたよ。」
とジュータスと他愛もない話をしている最中に
コンッコンッ
と扉がノックされた。
「入れ」
「失礼します。お呼びですか?」
「ああ、悪いんだがパン包を2つと、飲み物を2つ用意してくれ。
それと昨日の閉門時間と担当者、及びその時間の門の警備兵の調べはついたか?」
「はっ、すぐに用意します。閉門時間等の調べはついておりますが、本人への確認はまだ行っていません。」
「わかった。その資料も食事と一緒に持ってきてくれるか?」
「わかりました。」
「頼む。」
「はっ。失礼します。」
兵士は敬礼をし部屋を出て行った。
「ジュータスってほんとに兵長なんだな?」
「ん?どういうことだ?」
「だって、さっきの兵士さんビシッと背筋のばして受け答えしてたじゃないか。
ああいうのって、縦の関係がきちんとしてないとできないもんだろ?口調もちょっと緊張してたみたいだし。」
「ああ、そういうことか。まあ、兵士は縦社会だからな。下の者はよほどのことでない限り、上の者の意見に異議申し立てをするようなことはないのさ。
それに下から不評を買うような命令する上の者は、この街にはいないよ。」
「無茶をしない、言わない、させない。この3つが出来る上官がいるってのは、それに就いて働く下からしたらいいことだな。」
「そうなのかな?さて、もう少し質問をさせてもらえるか?まだ聞かなきゃいかんことがあるんでな。」
「構わないが、食事をいつ持ってくるかわからないんだろ?ステータスやスキルの話は出来ないじゃないか?」
「いや、ステータスとかの話ではなくこの街に来た目的なんかを聞かせてもらいたいんだ。」
「ああぁ~、なるほど。わかった。」
「理解してくれて助かるよ。」
ジュータスはそう言いながら獣の皮で作ったであろう紙を手に取った。
「ではまず、この街に来た理由は?」
「こっちに着いたあと適当に歩いてたら、この街が見えたから来た。なにか理由があって来たわけじゃない。」
「ふむ。この街に入った後はどうするつもりだったんだ?」
「とりあえず、宿屋を探して寝床を確保するつもりだった。んでもって飯食ってから街の散策をしようかと考えてた。」
「ギルドには登録しないのか?登録すると登録証が発行されるから、それが身分証明書になるぞ?」
「ギルドの登録はまだいいかな。それにステータスがばれたら面倒だろ?」
「ん?ギルドに登録する際にはスキルの記入だけでいいんだぞ。記入だけして調べてるのかどうかまでは、知らないがな。」
「そうなのか?」
「ああ、スキルが無けりゃ登録できないギルドもあるしな。例を挙げると錬金ギルドなんかだな。」
「なるほどな。」
「因みに新しくスキルを習得しても、追加登録する必要はないんだそうだ。追加登録するかどうかは本人の意思に任せるんだとよ。」
「それってまずくないか?身分証明書にもなるんだろ?」
「そうなんだが、全ギルド共通の決め事だからな。その辺りはどうにもならんのさ。」
コンッコンッ
扉がノックされ、ジュータスは扉に目をやった。
「入れ」
「失礼します。お食事と資料をお持ちしました。」
そう言って入ってきたのは若い女性の兵士だった。
(おお~、綺麗な人だなぁ。今まで男しか見てなかったけど、女性の兵士もいるんだな。
俺も出来ればこんな綺麗な人とお近づきになりたいもんだね。)
「ご苦労。そこに置いてくれ。」
「はい、失礼します。」
彼女はそう返事をすると机に向かって歩き出したのだが、
「キャッ」
何かに躓いたのかそれとも足がもつれたのか、彼女は小さな悲鳴をあげこちらに倒れこんできた。
「危ない!」
俺はとっさに彼女を受け止めようと、椅子から立ち上がろうとした。
しかし、この行動が結果的にまずかった。
カラ~ン
食事を乗せたトレイが床に落ちる音がした。
俺はというと彼女が倒れるのを防ぐことには成功したんだが、態勢がよくなかった。
どういうことかというと、倒れるのを防ぎはしたんだが、俺の顔は彼女のふくよかな胸の谷間にうずもれてしまった。
いわゆる、パフパフ状態。
彼女は硬直し、俺は自分がどのような状況なのかおおよそ検討はついているが、この後自分の身に降りかかってくることが理解出来てしまったので、怖くて動けない。
ジュータスはジュータスで立ち上がった姿勢のまま静止しているようだ。
しばらくの間、静寂が部屋を支配した。
「キ、キャアァァァァァァァァァァァ~」
その静寂を破ったのは彼女の悲鳴だった。
彼女は俺から離れたと同時に俺めがけて平手打ち。
パァ~~~ン
俺は首がもげるんじゃないかと思うほどの衝撃を受け、目の前に星が瞬いた。
彼女の一撃は強力だったようで、俺の頬には綺麗なモミジが模られた。
彼女は勢いそのままに部屋を飛び出していったが、俺は叩かれた頬に手をやり、呆然とその後ろ姿を眺めているしかなかった。
「まあ、なんだ。これは偶然がもたらした不幸な事故ってとこだな。女性の胸に顔をうずめた対価がその手形ってところだ。あまんじて受け入れろ。
おかしなことにはならんように、俺も証言してやる。」
ジュータスは散らばった資料を拾い集めながら、俺にそう言った。
そして拾い集めた資料を机の上に置き、、
「食事をもう一回頼まないとな。それと部屋の片付けもか。」
とつぶやき、角の水晶へと足を向けたのだった。




