おっちゃんの名前
俺はおっちゃんの奇行を傍目に見ながらスキルについて考えていた。
(改めてステータスを見たが、創造や六代魔法って集約されてて便利ではあるんだが、やっぱり別々に表示したいよな。
でも一つのスキルとして取ったから分割は無理かな?なんとかならんもんかね。
そういや鑑定で創造や六代魔法って見てなかったよな。おっちゃんもあんな調子だし、落ち着くまでスキルの鑑定をしていきますかね。)
俺は先ほど手に入れた無詠唱を使い創造と六代魔法に鑑定をかけた。
創造:物を作る、加工するスキルが使える。
分割したいなら出来るようにしてあるよ。分割創造って唱えればいいからね。結合する場合は結合万物創造だよ。なんだか仰々しいよね。ただし、結合するとレベルは結合したスキルで一番低いのが反映されることになるから気をつけてね。
分割後は料理、鍛冶、錬金術、農業、裁縫、建築、木工細工が表示されるよ。
六代魔法:火・水・風・土・光・闇の六属性の魔法が使える。
分割したいならできるようにしてあるよ。分割六代魔法って唱えたらいいからね。結合する場合は結合六代属性だよ。魔法じゃなくて属性だから注意してね。ただ、分割した後に結合すると一番低い属性のレベルが反映されることになるから、頻繁に分割・結合はしないほうがいいかな。
分割後は火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法が表示されるよ。
(なっ、これもいじられたスキルだったのか。しかも分割、結合が自由に出来るとは至れり尽くせりだな。
そして、これにもコメントか。たぶん書いたのはフェロモンや加護とよく似た感じだから、遊神だろうな。
しかし、今すぐに分割を出来ないのがもどかしいな。ここでやっちゃうとこのおっちゃん、もっとおかしくなりそうだし。)
「お~い、いい加減もういいか?」
「はぁはぁはぁ。」
「息切れしてるじゃねえか。すみませ~ん、お水もらえませんかぁ~?」
扉の向こうにいるであろう男に声をかけるが返事がない。
「あのぉ~、すみませ~ん。お水がもらいたいんですけどぉ~。」
さっきより大きな声で扉に向かって声をかけたがやはり返事は帰ってこない。
(むっかぁ~。このおっちゃんのための水だってのに、俺のお願いは聞いてはくれねえのかよ!)
「はぁはぁはぁ、はぁ~。何だ?水が欲しいのか?」
「やっと落ち着いたか?いやなに、あんたが息切れしてるから水を貰おうかと思ったんだよ。」
「そうか、それはすまないな。それと今は誰もいないぞ?気にかけてくれたことはありがたいんだがな。」
「はぁ?なんでだ?さっきは扉に向かって声をかけたら返事したじゃねえか。」
「確かにさっきまではいたが、今は鑑定の水晶を使っているからな。それに言っただろう?守秘義務があると。」
「確かに言ってはいたが、扉の前からも離れるのか?
もし、水晶を使ってる時に暴れるやつがいたら取り押さえられないんじゃないか?」
「扉の前というか、この部屋から離れるのはステータスなどを聞かないようにするためだな。
それに暴れた時の心配は必要はない。理由はこれだ。」
そういうとおっちゃんはズボンのポケットから小さな鈴をだした。
「これは連絡の鈴と言ってな、これに魔力を流すと兵士の待機場にある鈴がなるようになっている。
だからもし暴れられるようなことがあっても、これに魔力を流すだけで異常発生を知らせることができるんだ。」
「はぁ~、便利な道具があるんだな。」
「まあ、もし暴れても俺ならよほどじゃない限りは、俺一人で取り押さえることができるがな。」
「へぇ~、おっちゃんそんなに強いんだ。」
「ああ。これでも兵長を任されているからな。それよりもおっちゃんとはなんだ?」
「うん?だって俺、おっちゃんの名前知らないし。だから、おっちゃんって呼んだんだけど?」
「俺はまだおっちゃんと呼ばれる歳ではない!まあ、名前を言っていなかったのは悪かったが。
では、改めて名乗ろう。俺の名はジュータス。シャースの街の警備兵長を任されている。歳は28だ。」
「さっきも言ったが、カズマだ。歳は18。」
「うむ。ではカズマよ。お前は一体何者だ?犯罪は犯していないようだが、ステータスがおかしすぎる。
あんなステータスは近衛の隊長クラスでもあり得ないステータスなんだぞ。」
「そうなのか?俺は自分のステータスしか見たことないから、よくわからないんだが。」
「なっ!?はぁ~ぁぁ。いいだろう、特別に俺のステータスを見せてやるから自分がどれだけおかしいのか自覚しろ!!」
「あ、ああ。(そんなに俺のステータスはおかしいのか?魔神たち体を作る時に何かやったんじゃないだろうな。)」
こうして俺は俺以外のステータスを初めて見ることになった。




