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聴取をうけています

街までやっとこさこれたんですがね

なかなかスムーズにはいかないもんです

「さて、それじゃあ名前から聞いても構わないか?」


俺は警備兵のおっちゃんに案内された部屋で質問を受けていた。


その部屋はまるでドラマにでてくる取調室のような部屋で、あるのは机1つと椅子が2つ、それと入口から反対側の角にある棚に置かれている水晶だけだった。


「名前はカズマ。歳は18。種族は人族です。」


「ふむ、ふむ。」


警備兵のおっちゃん(めんどいからおっちゃんと呼ぶことにしよう)は手元の獣の皮を加工したらしい紙に記入していた。


「協力的で助かるよ。次の質問だが、どこから来たんだ?」


(ああ、やっぱりこの質問はあるのか。)


(さてどう答えたものやら。嘘をついてもいいんだが、まだこの世界のことは把握しきれてないし。

 かと言って本当のことを言っても信じてもらえないだろうしな。)


俺が悩んでいると


「ん?どうした?答えられないのか?」


俺が黙っているのを不審に思ったのか、おっちゃんが声をかけてきた。


「いや、そんなことはないんです。ただ、信じてもらえるか心配で。」


俺は嘘をついてボロが出て後で困ることになるくらいなら、と正直に話すことに決めた。


「出身はこの世界じゃない別の世界。どうやって来たかというと神様が送ってくれました。

 証明しろと言われたら何が証明となるのかわからないから困りますが、嘘はついていません。」


「はぁ??」


おっちゃんはすっとんきょうな声をあげて俺を見ていた。


(やっぱそうなるよなぁ。でも嘘はついてないんだよな。困ったなどうしたらいいんだこれ?)


俺は正直に言ったことを少し後悔していた。


(実際証明しろと言われても証明できないしなぁ。ん?証明?手紙って証明になるんじゃないか?)


俺はアイテムボックスに入れてある2通の手紙のことを思い出した。


「君ねぇ、別の世界から来ただなんてそんな「これは神様からの手紙なんですが証拠になりませんか?」こと誰が、はいっ?」


「これです、これ。」


俺はアイテムボックスから取り出した2通の封筒をおっちゃんに見せた。


「今これをどこから出した。」


おっちゃんの雰囲気がガラリと変わった。


(やっべっ。なんか余計にまずくなったかもしれん。どう説明したものか。)


「もう一度聞くぞ。これをどこから出したんだ!!」


おっちゃんは俺が黙秘していると思ったのか更に口調を強めてきた。


「お、俺のスキルです。時空間魔法。まだレベル1だからアイテムボックスしか使えないんだけど。」


「スキルだと?時空間魔法にアイテムボックスというのがあるのは知っているが、今お前は詠唱をしていなかったじゃないか!」


「えっ?」


俺はおっちゃんにそう言われてハッと気が付いた。


確かに俺はさっきアイテムボックスと唱えていない。


手紙を取り出そうと思っただけだ。


そう。思っただけで手紙が取り出せたんだ。


(どういうことだ?)


と考えていると


ピロン


{固有スキル:無詠唱}を習得しました。


頭の中に声が響いた。


「おい、どうなんだ!」


俺はおっちゃんの怒鳴り声で我に返った。


「あ、ああっ。無詠唱が使えるんですよ。だから詠唱をしなくても使えるんです。」


「無詠唱だと?お前、小屋のときは詠唱していたじゃないか。

 それにお前がそんなレアなスキルを本当に持っているというのか?」


「あの時は、まだ魔法を使うのに慣れていないから、綺麗に整地できるかどうかわからなかったんです。

 だから詠唱したんですよ。

 それに、レアなのかどうかは知らないけど、持ってるんだから仕方ないでしょ。」


「それならば、鑑定の水晶を使って調べさせてもらうぞ。」


「鑑定の水晶?なんですそれ?」


「鑑定の水晶をしらんのか?」


「しりません。」


「ますます怪しいやつだな。まあいい、鑑定の水晶ってのはお前のステータスやスキル、固有スキル、犯罪を犯していないかなんかを見るものだ。

 偽装したスキルですら看破できるから偽装は通じないぞ。

 もちろん守秘義務はあるから、ステータスやスキルを他に漏らすようなことはせん。」


「(そんなのがあるなら最初から使ってくれたらいいのに。)そんな便利なものがあるんですね。偽装も何もしてないし使ってくれて構いません。いや、むしろ使ってください。」


「ほう、(いさぎ)いいな。おい、鑑定の水晶を持って来い。」


「はっ。」


おっちゃんが扉に向かって声をかけると、扉の向こうにいたのであろう男の声が返ってきた。


「さて、水晶が届くまでの間まだ話は聞かせてもらうぞ。」


「構いませんよ。それよりこの手紙は証拠になりますか?」


「ん?そう言えば手紙がなんとかと言っていたな。」


「ええ、この2通なんですが。」


俺は持っていた2通の封筒をおっちゃんの前に差し出した。

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