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神からの手紙

異世界に降りて一歩も動いてない

こんなんでいいんだろうか

親愛なるカズマ様へ


封筒の表面にはそう書かれており、裏面には何も書かれていなかった。


俺は封筒の封を破り中身を取り出し読み始めた。


「親愛なるカズマ様へ


 急なお手紙申し訳ございません。本来であれば直接お会いして謝罪をさせていただくところなのですが、この世界のルールによりそれが出来ないためこのような形をとらせていただきました。

 

 まず、最初に謝罪をさせていただきたいと思います。私どもの干渉によりカズマ様を死なせてしまったことを深く謝罪させていただきます。言い訳になってしまうのですが、私どもが干渉を行わないともっと多くの方が亡くなってしまうところだったのです。恥ずかしながら私どもも干渉した結果を予測できておりませんでした。それにより結果的にカズマ様を死なせてしまいました。

 

 カズマ様はお怒りのことと思います。そのお怒りはごもっともです。私どももこの世界のルールに則った上でお会いする機会がありましたら、出来うる限りの罪滅ぼしはさせていただく所存です。

 

 カズマ様がこの世界で少しでも過ごしやすくなるようにと思い、大したことは出来ませんが、私どもの加護を付与させていただきました。加護だけでは申し訳ないのでスキルも多少ではございますが、付与させていただきました。

 

 一部スキルも改善させていただきましたので、ご確認いただければと思います。それから僭越ながら、服もご用意させていただきました。

 

 魔神様、愛神様、武神様からもあなた様への謝罪をお預かりしておりますので、一緒に届けさせていただきました。お預かりしたものにつきましては時空間魔法のアイテムボックスに入れておりますので、ご確認いただければと思います。

 

 短い文章で大変申し訳ないのですが、これからのカズマ様の新しい人生が実り豊かなものになることを祈っております。

             創神、農神、遊神 代表:創神」


「はぁ~ぁぁ。今更ながらに謝罪されてもなぁ~。」


俺は読み終えた手紙をヒラヒラさせながら呟いた。


「干渉をしなかったらもっと多くの人が死んでいた。それが俺一人で済んだのであれば確かに行幸だろう。」


「そのお詫びとして新しい体を貰ったんだしな。」


「第二の人生を楽しめって魔神も言ってたし、起きたことを振り返っても仕方ないか。」


「んっ。気持ちを切り替えていくとしましょうかね。」


「そういえばアイテムボックスがなんちゃらって書いてあったな。それにスキルもいじったって。それに服ってのはどういうことなんだ?」


俺は自分の体を改めて見直した。


今まで気が付かなかったのだが俺は服を着ていた。


動きやすそうな服だ。


「ああ、そうか神界に居たときは体を作ってもらっただけだったから服着てなかったんだ。あのままこっちに来てたとすると、俺は真裸だったわけか。」


真裸で平原に立つ俺。


想像すると急に恥ずかしくなり、服をくれた創神に感謝をした。


手紙にあった魔神たちから貰ったものを確認しようと俺は「アイテムボックス」と唱えた。


すると俺の目の前におそらくアイテムボックスの中身であろうリストが表示された。


「ん?このリストがくれたものなのか?」


リストに表示されているものは以下の通りだった。


白銀の剣×1本

米×10俵

醤油×10樽

味噌×10樽

みりん×10樽

魔道書×1冊

手紙×1枚

塩×5樽

胡椒×5樽

砂糖×5樽

金貨×10枚

銀貨×50枚

銅貨×100枚


「結構なものをくれたんだな。手紙?誰からだ?」


俺は手紙を取り出そうとリストの手紙の項目に触れた。


すると俺の目の前に一通の可愛らしい封筒が現れた。


「なるほど、出したい物はリストに触れるといいのか。」


感心しながら俺は封筒から手紙を取り出し読み始めた。


「カズマへ


 これを読んでいるってことは無事に向こうへ着けたってことね。まあ、私達三人が送り届けるんだから失敗なんてするわけ無いんだけど。

 

 言い忘れたことがあったからこれを書いているんだけど、その内容ってのがスキル「知識」についてよ。

 

 魔神から聞いてるとは思うんだけど、「知識」はあくまでもそっちの一般常識を知るスキルなの。

 

 だからスキルの使い方や魔法の発動の仕方、貨幣価値、街の名前、国の名前なんかはわかるんだけど、専門的なこと、そうね例えばポーションの作り方や複合魔法についてなんかは分からないから注意してね。

 

 その辺りは「創造」や「六代魔法」のレベルが上がると、なんとなくわかってくる仕様になってるからね。レベルが上がるのが待てないってのなら、誰かに教えてもらうか、自分で発見するかになるわね。

 

 「異世界ネット」はおおっぴらにしちゃ駄目よ?元の世界にある物が、そっちでもあるとは限らないからね。最悪の場合、どっかの国に飼い殺しされちゃうわよ?

 

 使うなら「創造」で有効活用するのがいいと思うわ。間違っても銃なんか作ったり、取り寄せたりしちゃ駄目よ?

 

 まあ、「異世界ネット」も万能じゃないから大丈夫だとは思うけど。それに見るだけならタダだけど、取り寄せとなると対価も結構かかるしね。

 

 ああ、あと「鑑定」や「時空間魔法」は使い勝手がいいように思うかもしれないけど、気をつけなきゃいけないことが多いから「知識」を使って確認しときなさいよ。

 

 あんたの手元には白銀の剣、魔道書、米、醤油、味噌、みりん、塩、胡椒、砂糖、お金がこれと一緒に届いていると思うけどそれぞれ魔神、武神、わたしからの贈り物よ。ありがたく思いなさい。どうせ故郷の味が懐かしくなるときがくるだろうしね。大切にしなさい。

 

 無くなったら「異世界ネット」で買えばいいとか思うじゃないわよ?それと魔道書には魔法の名前と効果が書いてあるから読んどいて損はないわよ。

 

 長々と書いてもしょうがないからこの辺にしとくわ。第二の人生楽しみなさいよ。                        愛神」


「なんだよ、あんなにつんけんしてたのにもの凄く心配してくれてるじゃないか。」


「愛神は面倒見がいい奴だったんだな。」


「ありがとう、愛神。アドバイス助かるよ。」


俺は手紙を読み終え、届くかどうかわからないが空に向かってそう呟いた。

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