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聖典(創世記第11章)
その頃、人々はただひとつの言葉を喋っていた。
人々は話し合い、協力し合い、天まで届く塔を建てようとした。
それを見た神は怒り、人々を混乱させ、互いの言葉を理解できないようにした。
よって、塔の建設は止まった。
しかし、互いを理解できない人々は争いを始めた。
幾千、幾万の人々が死んでいった。
それを見た神は嘆き、人々から争いを取り除こうと手段を尽くしたが、無駄であった。
ならば、争いを半分にしようと考えた。
まず、神は世界を上と下の半分にして二つにした。
それで争いは半分になった。
次に一年を半分にして、人々の命を半分にした。
それで争いは半分の半分になった。
こうして神の心はいくばくか穏やかになった。……