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空想の世界に逃げる



 しばらく症状が落ち着いていたのに、休職して3日目の朝、トイレで吐いた。

 腰と背中が痛かった。

 朝6時過ぎにようやく夫が帰ってきて、少しだけ一緒に眠った。

 夫は朝ごはんに、高菜炒飯を食べた。

「日中何をしているの?」と聞かれ、スマホや薬を飲んで横になっていると答えたら、溜め息をつかれた。

「またその話か。聞かされたほうの気持ちも考えろ。本当に自己中だな。割りきって楽しいことしてる、位のこと言えないの?」

「自己中」って言葉が刺さって抜けない。

 夫はそのまま、行ってきますも言わずに出勤した。


 もう何も考えたくない。

 何も話したくない。

 理不尽だ。

 一番弱っている時に、隙を見せた背中を刺された気分だ。


 悲しくて、空想の世界に逃げる。

 目の前に大きな水槽があって、ジンベエザメが泳いでいる。

 それをずっとずっと眺めていると、気持ちよくなってくる。

 全部どうでもよくなる。

 生きているのか、死んでいるのか。

 現実か幻か。

 上下、左右。

 私や、私を取り巻く環境のこと。

 人間関係。

 貯金額、学歴。

 全部全部どうでもよくなる。

 仕事だって、家族だって、代わりはきくし、わざわざ私じゃなくてもいいんだろうなと思う。

 ジンベエザメが、ゆったりと泳いでいる。

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