行動
目を覚ますと、遠くでシャワーの音がした。
シャワーが出しっぱなしだ。勿体ない。
止めに行くために立ち上がって、ハッとする。
動ける。
まだ下腹部に、鈍痛はあるものの、動くことができる。
貧乏性のお陰で、運よく目を覚ますことができたらしい。
家計に┉┉いや、地球に優しくしてきた見返りが、今ここできたのかもしれない。
私は、シャワーを止めて、時計を見た。
2度寝をしようか迷っていたあの時から、およそ1時間ほど経っていた。
一体、なんだったんだ。
間違いなく、人生で一番の痛みだった。
それも突然訪れ、突然治まる。
何より恐ろしいのは、またいつこの痛みが襲ってくるかもしれないということだ。
今度は運よく休日にとも限らない。
人前でお尻を丸出しで、悶える羽目になるかもしれない。
そして、一時間にまた意識を取り戻し┉┉どんな顔で起き上がれと言うのだろう。
私は、ずっと押し入れに放置していたガン検診のチケットを引っ張りだした。
自治体から貰った子宮ガン検診のチケットだ。それを握りしめ、電話をかけた。
予約は不要だというので、すぐに向かいますと伝える。
私は、労るべき下腹部を酷使しながら、自転車で向かう。