再就職と下腹部痛再び
血液検査も特に問題なく、毎日退屈なので、またパートの仕事を始めることにした。
近所のスーパーのベーカリーだ。
思っていたより、ずっと早く社会復帰できたことが本当に嬉しい。
体調も落ち着いているし、職場の人も良くしてくれる。
人生とは本来、こうあるべきだとしみじみ感じる。
が、それも長くは続かなかった。入社して1週間を過ぎた頃だ。
出勤前、突然立ち上がることが出来ないほどの眩暈に襲われた。そう言えば、数日前から右耳がほとんど聞こえない。
「無理せず休んで病院に言ったら?」という夫に、少し休めば良くなるからと嘘をついて、へろへろで出勤した。負けたくなかった。また家で一人惨めな思いをするくらいなら、職場で倒れたい。
仕事中、何度か真っ直ぐ立っているのかどうか分からなくなるほど視界が回った。周りの人がなにも言わなかったと言うことは、ちゃんと立てていたのだろう。
仕事終わりに耳鼻科へ行き、薬を貰ったらすぐよくなった。
その数日後、今度は高熱と吐き気と下痢に襲われた。いくらなんでも病気になりすぎだ。
症状が症状なので、流石に職場に事情を話し、午前半休という形で内科へ行けば、今度はインフルエンザだろうと診断される。
必然的に、5日間は休まなくてはいけないが、もともとの休日も合わせて1週間休むことになった。職場に連絡すれば、「お大事に」と返事があり、また家で一人きりになった。
私はこんなに病弱じゃない。
もっと働けるし、もっと楽しいことがしたい。
僅かなお小遣いも、病院にかかるのでほとんどなくなってしまう。
虚しい。病院に行くために働いているようだ。
早く治してまた働くんだ。楽しいことがしたいんだ。
そんな願いも虚しく、今度はまた下腹部に痛みが。妊婦さんにインフルエンザをうつしては申し訳ないので、5日間我慢して、いつも通っている産婦人科に事情を話す。
完全予約制なので、早くても1週間後にならないと空きがないという。私の我が儘のせいで、妊婦さんに迷惑をかけるくらいなら、1週間我慢しよう。それでいいですと答えて、予約した。
市販のロキソニンを飲んでごまかしていたが、どうしようもなくなって、いつもと違う病院へ行くことにした。
理由を話すと、問診票をかかされ、待ち合い室で待たされた。毎度のことながら、好奇の目で見られる。辛い。居心地が悪い。
1時間程待って、ようやく診察室へ。
超音波で見てもらい、「あー、内膜症ですねー」と言われる。「普段は別のところに通っているんですよね?まあ、そちらと相談してですけど┉┉痛みを取るには手術しかないかなー」
また、休まなくてはいけないのか。迷惑をかけるのか。一体私が何をしたというのだ。
予約した1週間後までの繋ぎとして、痛み止をもらい、とぼとぼと帰った。情けなくて泣きそうだった。
家に帰り、軽く食事をし、薬を飲んで、お風呂に入り、布団に入った。夫は帰りが遅いと言っていた。逆によかったかもしれない。
ジンベエザメのぬいぐるみを抱き締めて、大声で泣いた。
薬を飲めば症状が治まるかもしれない。手術かもしれない。休まなくてはいけないかもしれない。また再発するかもしれない。
堂々巡りだ。
私は、将来的に子供が欲しいのだろうか。病気が治ればそれでいいのだろうか。
考えれば考えるほど分からなくなる。




