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皇帝陛下の絶盾  作者: 滝革患
皇帝陛下の絶盾
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皇帝陛下の絶盾 三話


 

当日になり、しっかり待ち合わせ時間に着くようにリアを連れて外を出た。



「ファフ、こっちだ」


そして2人は先に着ていた。ルシーダは遠くからこちらを見ている。


「おはよ」


ロシトン、モナシーが手を振りながら現れた。


「お仕事じゃないのに一緒なんだ。お二人は仲いいのね」

「えっへへ……仲良しですってよ!」


リアがそういうとモナシーが照れくさそうに頭の後ろに手をやり、ロシトンのほうを見ている。


「別に仕事だからって彼女がいつも一緒にいるわけじゃないからね」


彼は嫌味を言われたと思って、迷惑そうな様子だ。


「そろそろいこう」




「やはりマージンの機械技術は凄いな。魔法にも劣らない」


回転木馬(マネシュ)高速偽列車(コウスタア)回転食器(カトラリス)など、食後に酔いがすごそうな乗り物だ。

好きなアトラクションに周る効率を考えて僕とリア、エギーユとシアンで別れる。


「大将どれがいいですか?」

「あ、そうだ……」


ルシーダのことは二人に任せることにする。


「せっかくの休日のお邪魔でごめんなさい」

「気にしないで、貴女こそ親しい人と回れなくてさみしいでしょ?」


「……やれやれ」


ロシトンが苦笑いしながら、僕ら3人を見送った。

それで、とモナシーは先ほどから気になっていたことを尋ねる。




 

「我々はどこへ行きましょう?」


 彼女は少し頬を赤らめながらもじもじとしている。

 その質問を待ってました!と言わんばかりに彼の目が輝く。


「こういうところ来た事ないんだよねぇ」

「興味がおありとは以外です」


 彼女は意外そうに目を丸くしている。

 アトラクションで浮足立つなんて子供じみてるよね。と気恥ずかしそうに苦笑。


「私も稽古ばかりで、来たことないですお揃いですね!」


 そんな彼にモナシーは笑顔で答える。

 ◆


 一方その頃、リアとファフは……


 僕はリアの希望で回転木馬に乗ることになる。いつか恋人と来たら、想像が止まらない。


「すごく行列……」

「休息日だからね」


 リアはがっかりしながら、列の最後尾に並ぶ。これでは待ち時間で一日が無駄になるな。

 そう思って景観をぼんやり眺めていると、向こうにルシーダ達がいた。


「いいなあ……カップル」


 モナシーが、ファフたちの後ろ姿を見ながらため息をつく。


「やっぱり私……お邪魔だったわよね。二人だって恋人と周りたかったでしょ?」ルシーダがロシトンやモナシーに問いかける。


 モナシーが首を横に振った。困り眉で彼女の頬をつんつんする。ロシトンはというと、何か考え事をしているのか上の空だ。

  リアとファフは、モナシーとルシーダのやり取りに気が付かないまま進んでいく。

 しばらくすると、やっと順番が来た。僕の乗る馬が動き出すと同時に、リアも乗り込む。

 彼女は無言のまま、こちらを向いて微笑む。やはり罪悪感があり、今は言うのは最悪のタイミングだからやめよう。


 ◆


ロシトンは隣のモナシーに目を向ける景色を見ていた。

前方のルシーダのほうは高所が怖いのか気をつかってるのかずっと下を向いている。

 そして、小さな声で呟く。「あの二人は、いいなぁ……」と。


「もう時間なくなってきたね。もっと遊びたかったろ?」

「今日も絶対の(あなた)と一緒にいられるだけで、幸せです。高望みはしません!」


モナシーは顔を真っ赤にして答えた。



ファフとリアは休憩スペースで、お土産を買うことにした。

リアは色とりどりのお菓子が並んでいる棚の前で目を輝かせている。

彼女(ルシーダ)の黒髪によく映える白百合の飴細工が飾られたミニケーキ。


「ねえ、この白百合のお菓子私に似合うと思う?」

「うーん、それもいいけど君には黄色い水仙のほうがいいんじゃないかな」

「ファフがそう言うなら」



「なんでこうなった……」

「最悪だ……また城の女中にニヤニヤされる……」

「なにが悲しくてやろーと……」

「いいんですか婚約者」

「お前こそ」

「例の彼女もいますし、特に上司と部下で何もないでしょう」



僕たちはお土産を買い終え、集合場所に向かった。


「そろそろ帰ろうか……」


爆発音が聞こえてきて、犯罪者でも現れたのかと思っていた。

爆煙が晴れると、そこには巨大な怪物がいた。怪物がゆっくりと歩いてくる。子供が逃げる間もなく、捕まってしまった……。



「なんだあれは……」

「すぐに城の警備兵の応援要請の連絡を!」

「はい!」


モナシーはデジタルデバイスで当直に連絡。すぐに兵が転送ゲートに向かうと応答があった。

休息日は城の中にだれも存在できない。なぜなら神の視界を受けられないからだ。

おかげでその日は城の警備は必要ないのだが、もしやそれを知らずに地下の奴が手薄になるようにしくんだ?


「応援が来るまで戦うしかない」


シアンが薬液の塗られたナイフを構えて、怪物へ投げると、痛がった。


「効果があるようですね」


エギーユが魔法で疲労を感じないバフをかける。


「ナイフ代わりに石とか投げてください」


「僕も……ルシーダ、リアを連れて逃げて!」

「わかった」

「気を付けてね!」



ロシトンは先にヤツの頭上で飛び回って遊んでいる。

僕は銃をかまえて、モナシーと共に怪物に立ち向かった。

モナシーは、その身に宿した魔力で炎を作り、武器であるランスを振るう。

彼女の振るう刃は怪物の腕を切り落とす。


「案外脆い」


僕はこの程度なら余裕で制圧できると、城の兵力に安堵した。

ついでに僕もあの怪物退治に貢献しておかないと沽券にかかわる。



「あまり派手に魔法を使うなよ。正体バレるぞ」

「わかってるって」


敵の弱点、怪物はただのよくいるトロールのような図体。衣服はなく、背中に小さな聖杯(カップ)のマーク。


「あれなんだ?」


手元にカメリヤを召喚し、写真(ポトラトイド)を撮ってみる。後でルシーダにエルジプス関連か聞こう。


皇帝陛下(ぼく)の大事な(おうち)のために死んでくれ」


マークめがけて魔力と殺意の籠った一撃を喰らわす。


化け物の肉体は大破して、四散して汚いフラワーファイヤーだった。




「記念写真とりましょう!」


リアが提案する。


「ほらー恥ずかしがらないで」


モナシーとリアがルシーダを連行する。


「やれやれだね……こういうのって後々だれか死んだりするのに」

「しらけること言わないでください」


「じゃあそこの人、お願いします」


僕らは集合写真を撮った。こういうのは皆、それぞれが初の経験だったりする。

今日を僕は忘れはしないだろう。

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