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第1話 星村栞織 ──ニューアイドル誕生!──

※1この小説に登場する人物、番組名、テレビ局名は全てフィクションです。ただし、地名や場所は一部に実在するものを使っております。なお、小説内の歌詞は全て、作者が作詞したものを使用しております。

※2小説内では、歌詞の始まりと終わりにに♪がついています。♪から始まり、♪で終わる文が、登場人物の歌う歌のの歌詞だと思ってください。

 桜が満開の4月上旬の金曜日。高校入学から一週間が経ちクラスにも大分馴染んできた頃。放課後に帰り支度をしていると、友達の明美あけみ玲奈れいなが話しかけてきた。

「ねぇ、栞織しおり、玲奈!昨日のサンスク見た?Sunny(サニー)*Spotスポット超面白かったよね?」

「私は見たよ。面白かったよね。でもTwinkle♪(トゥインクル )も、かっこかわいいアイドルだし最高だよ!そう思わない?栞織」

 私は、このようにアイドルについての話題になった時、こう答えなくてはいけない。

「えっ…私はアイドルに興味ないから」

「そうなの?少し残念だね、玲奈」

「そうだね、明美」

 そう話していると、私は帰り支度が終わってしまった。早く帰らなきゃ。

「私もう帰るね。明美、玲奈、またね」

「うん、栞織じゃあね」

「また明日ね、栞織」

 二人にそう言って、私は教室を後にした。

 私の家は芸能事務所。だから、Sunny*SpotとTwinkle♪、どちらのことも知っているけど、芸能人達の情報を守るために、アイドルに興味がないふりをしなくてはいけない。学校の友達には申し訳ない…。

 でも、私の夢は「多くの人々を幸せにするようなアイドルをプロデュースすること」!早く一人前になって、この夢を叶えたい!

 東京都渋谷区、乃木坂にある、古めの3階建てのビル。それが私の両親の経営する芸能事務所、「スタービレッジ・プロダクション」だ。

 ビルの中に入り、社長室のドアを開けると、社長であるお母さんと、チーフマネージャーの山田恭太郎やまだきょうたろうさん、新人マネージャーの須藤章吾すどうしょうごくんが笑顔で出迎えた。

「あら、栞織。お帰り」

「お嬢さん、お帰りなさい」

「栞織さん、こんにちは」

 全員がこの時間に集まっているのが珍しいので、聞いてみた。

「どうしたの?皆集まって」

「打ち合わせを始めるところだったの。丁度良かったわ、栞織も聞いて!」

「良いけど、何の打ち合わせ?」

「うちの事務所も、今年で15周年よ。そこで、これを期に改めて、新人アイドルをデビューさせることにしたの!」

「新人アイドル!?お母さん、本当に?」

「そうよ!」

 新人アイドル。聞くだけでわくわくしてしまう。すると、山田さんがお母さんに言った。

「しかし、社長。どうやって探すのですか?オーディションを開いた方が良いですかね」

「そうねぇ…」

 確かに、オーディションでも開かないと難しいかもしれない。

 四人共々考えていると、ドアが開いた。そして、茶髪のロングヘアーで大きいたれ目の女の子と、黒髪のショートカットで切れ長の目の女の子が現れた。

「こんにちは〜♪安部真理愛あべまりあですぅ」

「こんにちは!宝来瑠璃香ほうらいるりかですっ!今日もよろしくお願いします」

 うちの事務所の女性アイドル、「マリ*ルリ」の二人だ。まだ3年目の新人だが、アイドルオタクや小中学生を中心に人気がある。

 そのマリ*ルリに、須藤くんがスケジュールを伝える。マネージャーの仕事だ。

「はい、マリ*ルリの二人ですね。よろしくお願いします。今日は雑誌の取材が2つあります。あと、明日は渋原公園しぶはらこうえん桜祭りでトークショー&ライブです」

「は〜い」

「了解しました!」

真理愛がふと、壁のポスターを見た。

「渋原公園桜祭りかぁ。真理愛2年ぶり~♪懐かしいなぁ」

「あたしも行っていないな。でも、このイベントでスカウトされていなかったら、今頃アイドルなんかやっていない」

「そうよね~♪真理愛もそうなの」

 彼女たちとは、2年前の桜祭りで会い、お母さんと私でスカウトした。それから行っていないというから、懐かしいのだろう。

 すると、お母さんが何か思いついたようだ。顔が明るくなる。

「そうだわ!栞織、明日マリルリに同行して、新人をスカウトしてもらえないかしら?たくさん人が集まるし、アイドルの原石もいるかもよ」

「了解!」

 それは良い考えだ。私の第六感の見せどころ!

「じゃあ、あなたの第六感で新人スカウト。頼むわよ!」

「うん!でも、その代わりと言ってはなんだけど、『大型新人アイドル』のプロデューサーを私に任せて欲しいの。お願いします!」

「いいわよ。その代わり、立派にさせなさいよ!」

「ありがとう!」

 夢が叶った!頑張るぞー!

 スキップで二階にいこうとすると、須藤くんが話しかけてきた。

「栞織さん、その第六感って何ですか?アイドルに関係あるんですか?」

「そっか、須藤くんは知らないのか。じゃあ、今から山田さんと一緒に説明するね。山田さん!」

 私が呼ぶと、山田さんが机の中から2枚の写真を取り出した。

「お嬢さん。はい」

 1枚目の写真は、スポーティーな格好を着て、元気な笑顔を向けている女の子。タレントでもおかしくない雰囲気だ。

「そして2枚目です」

 2枚目は、真っ白なひらひらのワンピースを着た、大きなたれ目の女の子。安部真理愛のものだ。その写真を見た瞬間。

 頭がくらくらして、一瞬目の前が真っ暗になった。山田さんが支えてくれる。

「ええっ!気絶なんですか!?」

「その通り。私はいつからか、環境の影響からか、こんな体質になっちゃったんだよね…」

「『マリ*ルリ』は勿論のこと、今まで、うちの事務所がアイドルを生み出すことができたのはお嬢さんのお陰なんだ」

「そうだったんですか」

 須藤くんは納得したようだ。

 いつかアイドルのプロデュースをするためにも。明日も第六感働かせるぞ!


 翌日。私は、マリ*ルリの二人と一緒に、須藤くんに送ってもらって、渋原公園にやって来た。公園内は満開になった桜並木が目立ち、その下に出店が立ち並び、数え切れない程の大勢の人々で賑わっている。そんな中、公園の中心部に位置するショーステージで、全席を埋めたお客さんに囲まれて、マリ*ルリのライブ&トークショーが始まった。私は観客席の後ろに立って見ている。

「皆さ〜ん、こんにちは〜♪」

「今日のライブは春らしいこの新曲からっ!『Flora(フローラ)』です!」

真理愛はピンク、瑠璃香は水色の花柄の衣裳で歌う。まるで妖精のように、ステージでキラキラと輝く二人の姿は、観客だけでなく通りすがりの人までも笑顔にしていく。こんなアイドルを私もつくりたい!

 その時だった。ステージの裏の方から罵声(ばせい)が聞こえた。

「ふざけんなっ、てめえ!」

 驚いて、思わずそちらの方を向くと、スタッフTシャツを着た、背の高い、栗色ロン毛の男の子が叫んでいた。その男の子を見た瞬間。

 あ、見つけた。頭がくらくらしてきた…。

くっきりした二重、潤いのある唇。表情は怒りに満ちているものの、彼はかっこよかった。

「は?俺は事実を言っただけなんだけど?人の話をまともに聞けないなんて役立たずだ、って」

 その男の子と喧嘩けんかしている、同じスタッフTシャツを着た男の子も、背は相手より低いが、赤い髪と通った鼻筋が目立ってかっこよかった。…二人目。

 赤毛の男の言葉にロン毛の男が言い返した。

「なんだと!?ちゃんとここまで運んだじゃんか!まだ文句あるのかよ!」

「俺が言いたいのはそれからだ。俺は左から3番目の段ボールの山に置いておけと指示したが、お前は従っていなかった」

「いちいちこまけぇんだよ!」

 そうしたら、喧嘩を見ている大観衆から背の高い別の男の子が表れた。真っ白なスーツの中に青いシャツを着ている。

「まあまあ、その辺にしといたら?今、君たち、ある意味で目立っているよ?」

…えっ金髪のロン毛、切れ長の二重、高い鼻。かっこいい男の子が三人?

ロン毛の男が金髪の男に叫ぶ。赤髪の男も続く。

「そんなこと良いんだよ!」

「その態度が恥さらしだ」

「はぁ!?」

 するとまた大観衆から男性が出てきた。グレーのスーツに黄色いネクタイをしている。被っていた羽根つきの黒いハットとヒョウ柄ののサングラスをとると話し始めた。

「こんな所で喧嘩はやめときや。東京は、洗練された大都会ってイメージやったけど、全然ちゃうな。こんな奴がいるところやったのは残念や」

 茶髪、大きな瞳。…四人目。立っているのがつらくなってきた。

「てめえも喧嘩売ってんのか!!」

 またしてもロン毛の男が怒る。って、どれだけ短気なの…!?ロン毛の男の腕を金髪の男が抑える。でもロン毛は暴れている。

 またまた、男性が出てきた。黒髪で、黒いスーツに紫のネクタイを締めている。

「やめろ。この不景気だ。少しでも仕事があるだけで有難ありがたいと思った方が良いんじゃない?」

きりっとした眉、高い鼻、大きな目。…五人目の登場に心拍数が上がる。ロン毛の男の感情もたかぶる。

「はぁ!?そういう問題じゃねーんだよ!」

「おい!他人まで巻き込むなよ!どこまでもお子ちゃまな奴だな!」

 赤毛の男がそう言うと、ロン毛の男が赤毛の胸ぐらを掴んで言った。

「てめえ!もう一度言ってみやがれっ!!」

 すると、もう一人。オレンジのジャージに真っ白なTシャツだ。

「もう喧嘩はやめよう!二人とも、そんなに怒っていると体に良くないよ!もっと、笑顔、笑顔!」

と、明るい声で言う。茶髪、筋肉、くりくりした目。…六人目。

 彼の思わぬ言葉にロン毛の男が少しひるんだ。

「なんだコイツ…?って、そう言われてもなぁ!赤毛野郎がうるさいんだよ!」

「…うるさいのはお前だ!生意気だしな!」

「んだとてめえ!」

 またロン毛の男が赤毛の胸ぐらを掴むと、赤毛の男もロン毛の胸ぐらを掴み、今にも乱闘が始まりそうだ。金髪と茶髪の男がロン毛の腕を抑え、紫ネクタイとオレンジのジャージの男が赤毛を抑えている。

 するとまた男の子がやって来た。赤いタータンチェックのシャツにデニムのオーバーオール姿。肩にはギターケースらしきものを掛けている。

「もうやめてよ。みんな困っているよ!」

と、間に入ろうとする。

 うるっとした目、スッとした鼻、ふわふわしていそうな頬。…七人目。もう我慢できない!

 私は、もう誰も来ないことを確認すると、七人に思いきって話しかけた。

「お取り込み中すみません!」

「え??」

 七人が一斉に私の方を向く。その瞬間、私の脳内に落雷が起こった気がした。

 気を確かに…我慢、我慢…あと少し言ってから…

「七人とも…アイドルに…なりませんか…?」

 私はそう言い切ると、意識がなくなりその場に倒れた。

「おい、大丈夫か!?」

 と、ロン毛の男の声がしてから覚えていない。


 その代わり、夢を見ていたようだ。


 夢の中で、私は泣いていた。なぜか、子供の姿で。

 すると、男の人がやって来て、笑顔でこう言った。しかし、目が隠れていて、顔がよく見えない。

「栞織ちゃん、何泣いてるの?早くおいでよ」

 さっきのオーバーオールの男の声に似ていた。

 彼は私の手を引き、何やら眩しいドアの向こうへ連れていった。

「ほら見て!綺麗きれいだよ!栞織ちゃんが(つく)った世界!」

 ドアの向こうはステージだった。客席は全て埋まっている。照明が眩しく、思わず目を細める。手を引いた彼と別に男性が六人、立ってこちらを向いている。しかし、またしても、顔はよく見えない。

 子供の私は彼らに聞く。

「お兄さんたち、誰?」

 彼らは口角を上げて言った。

「俺たちは…Super(スーパー)Starsスターズだよ」

 “Super☆Stars”?

 そう聞こうとしたが、夢は途切れてしまった。


 目を覚ますと、私はきれいな病室にいた。あの後、私は病院に運ばれたようだ。ベッドの横の窓には青空から太陽の光が差し込んでいた。お昼が近いみたいだ。

 私が横たわっているベッドの周りには、公園で会った七人の男性が並んで座っていた。

「あっ、気が付いた?良かったーっ」

 オーバーオールの男が、笑顔になってそう言った。お礼を言って、スカウトしなきゃ!

「助けてくださりありがとうございました」

「どういたしまして。やって来たと思ったら、いきなり倒れたから驚いたけど、意識が戻って良かったよ。」

 金髪の男がにこやかに言う。

 私は「恩人」たちに自己紹介をした。

「紹介が遅れました!私は『スタービレッジプロダクション』の一人娘、星村栞織と申します!」

「スタービレッジプロダクション!?」

 会ったばかりのはずなのに、七人の声がハモる。やはりこの七人に決まり!

「七人とも、うちの事務所からアイドルユニットとしてデビューしませんか?」

「は?七人ってこの七人??」

ロン毛の男が聞く。私は大きく頷いた。

「私の体があなた達に反応したんです」

「それが理由で、気絶して倒れたのか…。しかし、アイドル、か」

 紫ネクタイの男が苦笑をしながら言う。無理かな、いきなりだったし。

「…いいよ」と、紫ネクタイの男。

「OK!頑張るよ!」と、オレンジのジャージの男。

「丁度就職先を探していたんや。ありがとな」と、茶髪の男。

「…嫌じゃない。イベントスタッフよりも給料はましになるしな」と、赤毛の男。

「こんなにかわいい女の子が言うなら断るどころか、むしろやる気になっちゃうな」と、金髪の男。

「俺が必要なら入ってやっても良いけどな」と、ロン毛の男。

「CDデビューできるならやるよー」と、オーバーオールの男。

 やった!一気に集まった!

 でも、特徴で言い分けるの面倒になったな…。名前を聞かなきゃ。

「…で、あなた達の名前を教えて。こっちから。」

私はオーバーオールの男を指した。

赤堀奏太あかほりそうたです!21歳です。シンガーソングライター志望です!」

 シンガーソングライター志望!?アイドルじゃ駄目かなぁ?その次はロン毛の男。

桃井悟ももいさとる。元ヤンの高3でーす」

 元ヤン!?だからあんな口調だったんだ。次は金髪の男。

高水間隼斗たかみずま はやとです。今はホストをやっていますが、栞織ちゃんが誘ってくれたアイドルの方が良いので、辞めるつもりです」

ホスト!?また経歴が独特で…。続いて、茶髪の男。

金山雅貴かなやままさきです。金山グループの長男で、次期跡取りです。家が赤字なので、出稼ぎをしに上京しました」

 彼はそう言いながら名刺を取り出した。金の字で「金山グループ」と、その下には黒い明朝体で「次期代表取締役社長 金山雅貴」と書いてある。金山グループって、聞いたことあるけど…。って、赤字!?逆に出稼ぎをしに来ちゃ駄目じゃないの!?次は紫ネクタイの男。

後藤直哉ごとうなおやです。サラリーマンでしたが、今日、リストラされてしまいました…」

 リストラ!?それは大変!でも、スカウトして良かった!その次は赤毛の男。

杉本慎之助(すぎもとしんのすけ)、フリーター暦3年です。一応ダンスを習っています」

 3年もフリーターやっているの!?でも、ダンス習っているから、グループの戦力になるかも!最後はオレンジのジャージの男。

「どうも、日向康平ひゅうがこうへいです!体操でオリンピックを目指しています!康ちゃんと呼んでください!」

 体操でオリンピック!?だったらアクロバットに期待できる!それにしても、ものすごいハイテンションだなぁ…。

 こんなに個性的な七人を私はスカウトした。彼らのプロデュースを私がやる。彼らに振り回されている自分を想像し、吹き出しそうになった。

 すると、後藤直哉くんが聞いた。

「星村さんはこれからどうするの?あと、俺たちはどうしたらいい?」

「今から、チーフマネージャーの山田さんに、迎えに来てもらいます。皆さんも、私に同行して、事務所に来てくれませんか?」

 私は、傍らの机にあった白いスマートフォンを持ち、山田さんに電話をした。

「もしもし、栞織です。須藤くんの方から聞いているとは思いますが、今起きたので、もし予定が空いていたら、迎えに来てくれませんか?マイクロバスでお願いします」

「はい、山田です。お迎えですね、かしこまりました。ちょうど予定が空いているので行きますね。それにしても、マイクロバスとは。一体何人連れて来るのですか?」

「七人です!」

「七人!?大変そうですが、楽しみになってきましたね!お嬢さんの夢が叶って本当によかったです」

 山田さんは、両親が仕事で忙しいときに、幼い頃から面倒を私の見てくれた、育ての親のような存在。話したことがあるので、私の夢も知っている。

「はい!ありがとうございます。ではまた」

 そう言って私は電話を切った。そして彼らに言っ

た。

「さあ!今からチーフマネージャーの山田恭太郎さんのお迎えが来ますので、少しお待ちください」

 それから5分後。山田さんから電話があった。

「着きましたよ」

「はい!今から行きますね」

 私は電話を切り、彼らを連れて病室を出た。受付を済ませ、マイクロバスに乗り込んだ。

 その10分後。事務所に着いた。

「さあ、着いたからこっちへ来て!」

私は彼らを社長室へ案内した。お母さんが待っている。

「お母さん!『大型新人アイドル』七人連れてきたよー!」

「あら、七人も?」

 お母さんは書類を見ていた目を上げ、七人の方に向けた。

「みんなかっこいいわねー。でも、全員からOK貰ったの?」

「そうだよ!」

「すごいわね」

「うん!」

「これから大変そうだけど…」

 と、お母さんは部屋全体を見た。私もつられて見ると、七人が自由にやっているのが見えた。

 桃井くんと杉本くんは、先程の喧嘩の続きをしようとしている。日向くんは須藤くんと彼らをなだめている。金山くんは、山田さんに、先程私に渡した名刺をまた渡そうとしていて、後藤くんがそれを止めている。そんな二人に、にこやかに話しかける赤堀くん。イベントから帰ってきていたマリ*ルリの二人を傍らに、楽しそうに話しかける高水間くん。

 呆れたような溜め息をついて、お母さんは言った。

「これから忙しくなるわねぇ、プロデューサー」

「上等よ!」

「そう言えば、グループ名はどうするの?」

「もう決まっているよ!『Super☆Stars』!」

 私がそう言うと、桃井くんが言った。

「はぁ?ベタすぎじゃね?」

「皆さん、流星のごとく現れたし、星のように輝いているからいいじゃないですか。お母さんはどう思うの?」

「プロデューサーの言うことに文句は言えないわよ。ネーミングセンス抜群だわ」

 赤堀くんが私に話しかけた。

「栞織ちゃん、プロデューサーなの?」

「はい」

 お母さんも言う。

「私の自慢の娘だから、頼れるはずよ」

「そっか。じゃあ、タメ口でいいよ。俺のことは『奏太』って呼んで」

「うん、わかったよ。奏太」

すると、他の六人も言った。

「俺のことは、悟と呼べ」

「悟、ね」

「僕は『くん』付けがいいな」

「じゃあ…隼斗くん」

「俺は何でもええよ」

「雅貴くん」

「俺も何でもいいかな」

「直哉くん」

「俺はこういったあだ名がないから、勝手に作っても文句は言わない」

「慎之助くん、かぁ…じゃあ、『慎ちゃん』!」

「僕のことは…」

「康ちゃんって呼ぶね!」

 最後まで言わせてよー!と、康ちゃんが言った。その瞬間、社長室にいた人全員が笑い出す。この人は、いじったらもっと面白くなるんだな、勉強になった!

 笑うのをやめたお母さんがいたずらっぽく言った。

「よーし、今日はSuper☆Starsの結成記念で、ステーキ食べに行っちゃう?」

 それを聞いた悟と奏太が、「やったぜ!」「わーいっ!」と、大喜びした。


 美味しいステーキを、昼ごはんに食べ、事務所に帰ってきた後、私は彼らを集めた。

「七人には、明日から、『アイドル合宿』として、1ヶ月間、私と一緒に生活してもらいます!」

 私がそう言うと、悟が不機嫌な顔で反論した。

「何でそうしなくちゃいけないんだよ!」

「文句言わないでください!アイドルについて、まだわからないことばかりのままで、みんながデビューなんて無理です!」

「つまり、就職したばかりの時の『オリエンテーション』みたいなことか」

「まあ、そんな感じかな。だから、明日、朝6時にこれを持って事務所に集合してください」

 私が彼らに渡した紙には、「着替え、洗面用具、入浴用具、財布、携帯電話、その他自分が必要なもの」と書いてある。それに加えて、奏太には「ギター」、慎ちゃんには「ダンスができる服装」、康ちゃんには「体操ができる服装」と書いた。それぞれの特技を生かすために。ステーキを食べに行移動時間に準備しておいたのだ。

「はぁ!?栞織、お前!6時って早すぎるだろ!」

「朝からやることがあるの。早起きは三文の徳って言うし、いいでしょ?」

「えーっ!!」

 あっ、また七人の声が揃った!これから楽しみ!

「私はやることがあるから、これで。また明日!」

 「えーっ!!」 

 あははっ、また揃っているよ!えず、一緒に頑張ろうね!“Super☆Stars”!

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